2011-04-27

シリーズ「食糧危機は来るのか」12〜シリーズ総集編〜

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2月から追求してきた食糧危機シリーズ
シリーズ「食糧危機は来るのか」11〜『市民皆農の時代へ』という考え方 〜 の冒頭にも
>311・東日本大震災と福島第一原発事故によって、(不運にも)食糧危機が現実味を帯びてきました。
津波が農地へもたらした塩害、さらには放射能汚染による農地、漁業へのダメージは、今後の日本の食糧問題を深刻化させました。
>2月から始まった当シリーズでは、一貫して「食糧問題は市場経済と表裏一体であること」、また「農業という仕事そのものが社会or国家全体で取組むべきこと」を主軸に展開してきました。
>未曾有の事態に直面した今こそ、国民全員がこの食糧問題と向き合い、みんなで乗越えていく格好の契機と捉えなおすことができるのではないでしょうか。

とありますが、自分達の命の源を自分達の手で再度構築してゆく、そういう時を迎えたと思うと、読むのにも力が入ります
それでは、シリーズ「食糧危機は来るのか?」のシリーズ総集編をお送りいたします!!各記事をダイジェストにしましたので、ぜひはりきって復習を :D

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食糧危機問題の捉え方(切り口)
シリーズ1 〜食糧危機問題の捉え方〜
食糧危機問題と一口に言っても、人口増加問題、環境問題、自給率問題、先進国と途上国の問題等々、さまざまな要因が絡み合っています。
根本的な解決に向かうためには、そのような複雑な問題をどのように捉えていけば良いのか?を整理する必要があります。
そこでシリーズ一発目では、『食糧危機問題の捉え方』に着目しました。
■食糧危機問題の背後に市場あり
食糧危機問題を大きな視点で見たとき、そこには2段階の位相が存在します。それは「世界(地球上)における食糧危機問題」と「日本における食糧危機問題」です。
「世界における食糧危機問題」においては、「食糧生産量が確保されていたとしても、食糧として必要な地域にまわらない仕組み」が存在し、「日本における食糧危機問題」であれば、日本の自給率の低さの要因は、「作っても足りない」のではなく、「作らないから足りない」というところにあります。
そのどちらにも共通するのが『市場』です。
>食糧危機問題も、市場システムに組み込まれてしまっているということを、今ここで強く認識する必要があります。
これらはいずれも、市場と切っても切り離せない関係にあります。そもそも、世界人口の急激な爆発と格差問題が生じたのも、とりわけ近代以降、つまり市場拡大と軌を一にしています。

◆シリーズ2 〜食糧危機と市場経済は両刃の剣〜
GRAND THEORY VOL.9 『農から始まる日本の再生』を参考にした記事ですので、ぜひそちらも合わせてご確認下さい。
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状況認識(問題固定)
◆シリーズ3 〜輸出補助金というカラクリ〜

【農産物の市場化(=自由化)では、決して食糧危機の問題は解決できない】
農産物の市場化に付随する事例 ……輸出補助金
■輸出補助金という悪魔的な政策
輸出補助金の仕組みとは、先進国(アメリカやEU)の農家が、営農を再生産するために必要な目標価格(=A)を決めるのですが、国際市場で競争力を持つための市場価格(=B)は、Aより低い。そこでAとBの差額(A−B)は、全額政府が所得補填するというものです。このダンピング輸出により、先進国(アメリカやEU)の穀物は必ず国際競争力を持つという構造なのです。
  ↓
輸出補助金によって価格が低い(=競争力の高い)先進諸国の農産物が発展途上国の市場に流入。
  ↓
その市場において、発展途上国が生産した農産物が売れなくなり、農産物を輸入に頼るようになる。
  ↓
その結果、農産物の自給率の低下し、発展途上国における食糧問題の原因の1つとなっている。
【農産物の市場化(=自由化)では、決して食糧危機の問題は解決できない】のです!

◆シリーズ4 〜日本経済は再び国際収支の天井を迎えるのか〜
戦後しばらくの間、日本の経済白書には「国際収支の天井」という言葉が存在しました。
経済が成長していく過程では、輸入額がどんどん増えていくと、外貨のバランスを保つ為に輸出額を増やすことが必要になります。(輸入に必要なお金は外貨でかせぐ必要がある。)それが無理なら、国内需要を抑えて輸入額を減らすしかありません。つまり国際収支の赤字(輸入超過)を改善するために、国内が経済成長をしていても、無理やりそれを押さえ込むことが必要になるというものです。これが「国際収支の天井」。
簡単にいえば、輸出産業が育っていないから輸入が思うようにできない、つまり「売るものがないから買いたいものも買えない」という状態のことです。
そして今後の日本は、再びこの「国際収支の天井」という言葉を想起させられる事態となりつつあるのです。世界経済の状況や食糧価格の高騰から判断すると、日本の輸出額減、輸入額増の構図(TPP参加等)が浮かび上がってきます。
1.輸出額はこれからは大きく伸びない。
2.食糧・エネルギーの輸入額は増える。
3.外貨準備高もドル暴落が起こると、一気に目減りする。
つまり、もはや食糧(エネルギー)を輸入に頼っている時代ではなくなっているのです。

食糧危機の見方を変えてみると…
◆シリーズ5 〜食糧高騰は脱市場をもたらす契機となりうるか〜

現在、先物市場への資金の流入が主要因となって食糧高騰が引き起こされています。
実は、この食糧高騰は生産者の農業回帰を加速させる可能性があるのです。というのも、価格高騰が生産性(労働単価)を上昇させ生活基盤を与えることになるからなのです。
同時に、食糧インフレは消費者に自分にとって何が必要か否かの判断を半ば強制的に迫り、不要不急の幻想製品〜産業群は衰退する可能性が高い。
食糧高騰による消費意識の変化は、農業を中心とした生産の復活を促し、資本による支配を無力化する契機となる。つまり食糧高騰は、市場原理を変えるチャンスと言えるのではないでしょうか。
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小麦・トウモロコシ・大豆(ドル/ブッシェル、05年1月以降?11年3月第1週):06年までは各月、07年からは各週の最終取引日終値)
事例(可能性)
◆シリーズ6 〜食糧主権を憲法に規定する動き(1)新自由主義からの脱脚(その1)〜

日本の農業再生のための可能性探索として世界における新たな動向の紹介をしました。
第1弾は、米国をはじめとする先進国とその多国籍企業に食糧支配されていた南米のエクアドルの事例です。
食糧主権−「食糧主権は個人、コミュニティ、国家、民族の文化にあった安全な食糧自給を永続的に保証する国家の戦略及び義務である」−を憲法に規定するという新たな動きを取上げました。新憲法案には「新自由主義と対米従属=市場経済システムからの脱却」を掲げ、国による市場管理の強化、不安定雇用の禁止、教育と医療の無償化と共に、食糧主権を明記したその憲法は、国民投票で7割近い賛成を集め制定されました。
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※食糧主権とは?
 「食糧主権」という言葉は、世界69カ国、148の中小農業者・農業従事者組織により構成される国際的な農民運動組織「ビア・カンぺシーナ」(1992年設立)が最初に提唱したと言われている。
 各国が、輸出のためではなく自国民のための食料生産を最優先し、実行ある輸入規制や価格補償などの食料・農業政策を自主的に決定する権利のことを指している。
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しかし、権利を主張するだけでは、なかなか現実は変わらないということが明らかになりました。
◆シリーズ7 〜食糧主権を憲法に規定する動き(2)新自由主義からの脱脚:番外編〜
この記事では、311・東日本大震災を受け、番外編として津波による塩害が農地にもたらす影響についてご紹介しました。
◆シリーズ8 〜大規模な農業形態は日本の自給率改善につながるのか?〜
この記事では、農業の可能性探索第2弾として、欧米型の大規模農業の可能性の検証を行いました。
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 つまり、人力と畜力のみに依存していた農業はエネルギー投入1に対して10の産出をもたらしますが、米国農業は輸送や加工まで含めればエネルギー投入1に対して0.1の産出しかもたらさないわけです。米国型農業は、エネルギー収支で見れば、とてつもなく「非効率」で「生産性が悪い」のです。人間の労働力を省力化する代わりに、全てを石油ガブ飲みの機械で代替してきた結果です。
 石油の値段が安い限りにおいて、米国型農業が貨幣的な収支では「効率的」とされるわけですが、ピーク・オイルを迎えると言われる昨今にあっては、経済的な観点での「効率性」もいつまで続くか定かではありません。石油の値段が上昇を続ければ、遠からず人力・畜力農業の方が経済的にも効率的になる日がやってくるのです。
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一見、ローコストで効率的に見える大規模農業も、廉価な石油がふんだんに使えると前提があってのことですし、自然のサイクルから逸脱した様式であるため、長期的には自然環境を破壊していくことが、経済尺度から離れることで明らかになってきました。
貧困の消滅以降、日本においては私権(金や身分などの私的権益)への執着は薄らいでいます。それに変わって環境に対する意識や自分よりも周りのみんなへ意識が向きつつあり、経済的尺度のみの「大規模農業」は土地が少ないことも相まって本質的には日本に向いていません。
⇒以上のように、海外のやり方に可能性を見出そうとしましたが、どうも日本にフィットする農業・スタイルはなさそうです。
答え=方針
◆シリーズ9 〜兼業農家の必然性−世界に冠たる担い手システム〜 
行き詰る日本の農業のなかで、今まで疎まれてきた農業の『兼業化』 というシステムこそ、実は持続的な自給率改善の実現基盤が隠されているのです。
他業種との『兼業化』が可能になれば、今まで不足していた農業の担い手問題も解決できます。多様な担い手で農業を支えることができれば、そこから新たな農業の可能性の追求へ発展する可能性もあります。
一個人(家庭)ではなく、企業集団が兼業農企業として取り組むことができれば可能性が開けてきます。集団として取り組んでいることが、人員配置の弾力性を生み出し、持続性を高めることに繋がります。

⇒持続的な自給率改善の実現基盤が、多様な担い手を生み出す『兼業化』というシステム にあること、そしてそこに企業が参入していくことで可能性がさらに拡がることが見えてきました。
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◆シリーズ10 〜日本の農業に可能性あり!生産効率は飛躍的に向上している〜
①農作物生産量の推移 ⇒農畜産物の生産量は増加している!
②農業従事者の推移 ⇒農業者一人当たり生産量6倍になっている
◆シリーズ11 〜『市民皆農の時代へ』という考え方 〜
未曾有の事態に直面した今こそ、国民全員がこの食糧問題と向き合い、みんなで乗越えていく格好の契機と捉えなおすことができるのではないでしょうか。
・元来、他集団に食糧確保を委ねる集団などない
・浮き彫りとなった市場原理優先の社会構造
水や食糧そのものの安全性が問われ、また生産基盤たる土地も塩害や汚染で失う形となってしまった。何よりも雇用を含めた食糧生産基盤そのものを再生させなければならないという難課題に直面しているのが現時点の日本なのだということです。
⇒「市民皆農」の提起
国民全員が半専任(半農半X ※Xは別の業務)という形態で農業に携われば、高齢化後継ぎに悩む日本農家を救うことができ、かつ安定した雇用ともなる。生活費は通常業務で稼ぐことができるため、価格格差の問題も解消されます。
何よりも、震災や原発により、食の安全性に対する意識が高まり、国民の期待が食糧→農業に集まっています。

国民全員が農業を通じて統業を担いながら、社会を統合に参加していくことこそ重要。

いかがでしたか
日本が持つ“兼業”という担い方によって、食糧問題は突破出来る 個人単位ではなく、集団単位での兼業も視野に入れば、より生産基盤(担い手や質)も安定してゆきそうですし、なにより“食”というみんなにとって必要な根源的な課題を担うことによって、社会の当事者としての意識も高まってゆきそうです

List    投稿者 nakamenta | 2011-04-27 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?5 Comments » 

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コメント5件

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