2011-11-28

「ユーロ統合どうなる?」〜第3回ユーロ国の現状〜

さてこれまで「ユーロ統合」どうなる?を扱っています。

第1回〜ユーロ統合したのはなんで

第2回〜ユーロ統合の構造的欠陥


 


>もともと、ユーロ圏各国は金融政策としては利害が一致していたものの、歴史事情もあって、政治面、経済面、財政面では一枚岩ではありませんでした。にもかかわらず、国々を市場次元で統合しようとしたものだから、ほころびはいたるところで出てきます。市場は国家から養分を吸いとり、いずれは共倒れです。

次回は「ユーロ各国の現状」を詳しく見ていきたいと思います。(第2回ユーロ統合の構造的欠陥より)

 

ということで、今回はユーロ国の状況を見ていきましょう。
まずユーロ圏の主要3国であるドイツ、フランス、イタリアとギリシャについて、名目国内総生産(GDP)はユーロ統合によってどう推移してきたのでしょうか?

各国とも傾きの差はあれ、1980年からずっと右肩上がりですね。国内生産が安定的に上昇しており、特に変化は見えません。ドイツは90年の東西統一で、一段上昇しているのが見て取れる程度でしょうか。

 


これをUSドル換算で見てみると、あら不思議・・・・とその前に。いつもランキング応援有難うございます。それでは今回もランキング応援ポチっとよろしくお願いします。


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では元に戻って、ドイツとフランス、イタリア、ギリシャの名目GDPをUSドル換算で見てみましょう。


1999年のユーロ統一を皮切りに、各国とも少し下降気味だったGDPが急激に上昇しているのが分かります。これは世界市場価値(対USドル)で見ると、ユーロの通貨価値が上昇しているからでしょう。確かにユーロ統合は、ユーロ圏各国の世界的競争力を高めている要因と言えるようです。

 


さて23年11月15日現在、ドイツの第3四半期国内総生産(GDP)は、前期比△0.5%、同じくフランスは△0.4%を達成したと発表されました。
しかしユーロ圏債務危機が深刻化しており、アナリストは先行きは厳しいと見ているようです。もちろんその要因はギリシャを発端とするユーロ危機です。

 


そのギリシャの第3四半期のGDPは前年比▼5.2%で、第2四半期▼7.4%よりはマシにはなっているものの、依然として危機状況は収まっていないようです。

 


●それでは改めてギリシャが破綻するとどうなるのでしょうか?

 


まず、ギリシャの国債誰が買っているのかを見てみましょう。
少し古いですが2011年6月16日国際決済銀行出典のデータです。(単位:ドル)












◇欧州の金融機関
フランス567億4000万
ドイツ339億7400万
イギリス140億6000万
ポルトガル102億8600万
オランダ 50億 300万
イタリア 40億8500万
オーストリア 33億5100万
スイス 28億6400万
ベルギー 19億 900万
・そ の 他 40億4500万








◇欧州以外の金融機関
アメリカ 94億4600万
日 本 16億3100万
インド    2200万
・そ の 他  4億9500万

フランスとドイツの金融機関が大量に購入しているのが分かります。

 


★したがって、ギリシャが破綻し、万一この国債が紙切れになると、フランスとドイツの金融機関が大打撃を被ることになります。

 


そしてフランスとドイツだけでなく、イタリア金融機関もギリシャが破綻すると当然、大打撃を受けます。またイタリアは元々借金が多く、政府負債比率は日本(GDP比233%)、ギリシャ(同166%)に次ぐ第三位(同121%)なのです。

 

さらにユーロ不安から欧州から資金引き上げがされると・・・・。

元々借金だらけ + ギリシャ破綻で金融機関に大穴 + 海外からの資金引き上げ

という三重苦で、イタリアがやばい状況に陥るのです。

 


●それでは次にイタリアが破綻するとどうなるのでしょうか?

 

同じく誰がイタリアの国債を買っているか見てみましょう。
少し古いですが、2011年のデータです。(単位:ドル)








◇欧州の金融機関
フランス4102億3800万
ドイツ1649億3200万
イギリス688億7100万
スペイン357億9400万




◇欧州以外の金融機関
アメリカ 440億8500万
日 本 410億


イタリアの国債を買っているのは、またしてもフランスとドイツの金融機関です。イタリアはGDPでギリシャの7倍と圧倒的に大きいので、その額も桁違いに大きい。

 

★したがって、イタリアが破綻し、国債が紙くずになると、またもやフランスとドイツの金融機関が大打撃を被ることになるのです。
実際、イタリアの10年国債の利回りは急騰し、23年11月9日に危険水準と言われる7%を上回り、ベルルスコーニ首相が辞任に追い込まれる騒ぎとなりました。

 
ではイタリアの次は・・・・・・・・という風に玉突き的に経済破綻が引き起こされていきます。
結果としてユーロ経済圏を言わば牽引してきたドイツ・フランスの経済がガタガタになってしまうため、その影響はユーロ経済圏のみならず世界に波及してしまうのです。

 

また23年10月28日、民間が保有するギリシャ国債の50%の元本減免(ヘアカット)で欧州連合(EU)と銀行側が合意したが、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場関係者の間では、大きな問題となっている。

 

CDSとは大雑把にいって債務保証という位置付け。通常なら国債への元本減免ということはデフォルトであり、債務保証が発生しCDSの支払いがあってしかるべきところ。
だが今回は民間が自発的に50%のヘアカットや債務免除を行ったと言うことで、このデフォルト範疇外、つまりCDSの支払いは行われないのだ。もちろん大きな政治的圧力があったことを市場は問題視しており、さらに今後のCDS市場に大きな影響があることは必至だ。

 


その場しのぎのツケがさらに大きなツケとなって表れることは枚挙に暇がない。迷走を続けるユーロ圏は、今後一体どうなっていくのでしょうか?

List    投稿者 goqu | 2011-11-28 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?No Comments » 

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