2022-09-19

円安の構造とドルの行方

円は3月からドルに対して25%下落。
直近で、FRBの利上げ、スイス・イギリスも利上げが予定されており、円安がさらに進む可能性が高い。今後を見るために、円安が進む構造について以下整理してみた。

★円安への構造的変化と外為の変動要素

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けっこう複雑で、
①貿易収支の赤字化(特に日本の高齢化 →貯蓄率低下 →国内消費化による構造的変化)。
※マイナス金利のスイスフランは、米ドルに対してほとんど下がっていない。
これは貿易収支が黒字であることが大きい。

②他通貨に対しての、通貨発行量の多さ。2013年からの異次元緩和による円安。
※ドルに対して弱いのは、ドル以上に円の発行量が多いので、その分通貨価値が下がる。

→吉田繁晴さんの記事にあった、ソロスチャート:日米の月間マネタリーベース比率(日銀/FRB=1ドルあたりの円供給量)・・・が面白い
https://lets-gold.net/chart_gallery/soros_chart.php

/usr/local/wp/kane/blog/wp content/uploads/2022/09/soros chart

/usr/local/wp/kane/blog/wp content/uploads/2022/09/monetary base

 

 

③米ドルとの金利差:米ドルとの関係では、ほぼ金利差に連動して円が下がっている。

④米財政赤字をファイナンスし、ドルを買う日本(米国債買い、米株買い・・・)。対外純資産411兆円。民間は、円の下落基調が高まるほど円売り→ドルを買い →さらに円安。

⑤短期的には、貿易赤字のためのドル買い(資源輸入の代金はドル建てで支払い。)

1970年~2011年東日本大震災・福島原発事故までは、日本は貿易収支黒字。その主な理由は貯蓄率の高さ。その後の生産人口減と、国内消費割合の増による貿易収支の構造的な変化。

そこに、日銀による異次元緩和による日本の財政ファイナンス →通貨量拡大 →通貨価値下落。

以上、上記①・②の、貿易赤字と財政赤字の2つの構造的な要因がベースになっている。
さらに今年からの資源高による、貿易収支赤字基調の定着。加えて短期的に金利差が効いている。
従って、円安基調は変わらない。※資源高が一定納まると円が戻る可能性はある。

★ドル側から見ると
・ドルの強み:基軸通貨故の必要性。石油など資源の取引はドル建て。かつ金融バブル化による資産価値急膨張(負債増大の裏返し)による、価値上昇→投機を狙い、世界中からお金を吸引。

・ドルの弱み:究極の貿易赤字国。インフレによる実質下落。金利を上げることで、ドルの価値を引き揚げ暴落を防いでいる。金利が高いということは信用が低いことの証でもある。
しかし、それによって返済額が雪だるま式に増えていく。
※2020年コロナにより、FRBもドル増刷(4兆ドル、ソロスチャート参照)。長期的には増刷した通貨は、価値が下落する。

現在、ドルは利上げと投機的な動きでドル高になっている。
しかし、既に
利上げ→通貨量の収縮 →バブル収縮・不良債権化 →金融危機 の過程に入っている。ドルが不良債権化していく。ウクライナの狙いもここにある。中国を始めとする新興国がドルから引いていく→ドルの暴落過程へ。
※米国を破産させるには、ドルを売ればいい。ドルの金利が高く儲かっている間は、ドルは売らない。不良債権化し始めたらドル売りが始まる。2013年?

従って、当面円安は続く。2013年各国がドル売りに転じた時から対ドルでは円高に転じる。しかし、貿易赤字・財政ファイナンスは続くので、他通貨に対して円安基調は続く。

★日本は円高政策に転換すべき時だが、構造的な要因を変えるのは容易ではない。
・米国債と株などドル資産の売却。
・為替介入によるドル売り→円買い。
・貿易黒字を一定確保することが国益に叶う。どうするか?
日本の弱さは生産人口の少なさ → スイスの政策は参考になる。(多様な進路と大学進学率の低さ、財政支出の低さ=公務員が少ない?)。

by タロウ

List    投稿者 inoue-hi | 2022-09-19 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?, 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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