貸し剥がしが行われているのに、なぜ大手行の貸出金は増えているの(◎-◎;)???
銀行の業績悪化⇒貸し渋り・貸し剥がし→企業の倒産→景気悪化…
この波をどうにか食い止めようと、日銀はCPを買い取る政策を実施したりしている。
最近新たに銀行保有株を購入することに決まったようだ。(リンク)
“貸し剥がし”について調べていたら、意外な事実が見えてきました。
これだけ貸し渋り・貸し剥がしが増えているのだから、てっきり銀行の貸付額は減っていると思っていたのですが。。。
なんと 大手銀行の貸付額は増えている!???
あれ!?なんで〜〜〜〜〜!???
今日は、その謎に迫ってみたいと思います 🙄
まずは、基本の確認から 😀
[自己資本比率]=[自己資本]/[総資産]
[自己資本]…自分のお金で、返済する必要のないお金(株式発行時に株主から得たお金や過去の利益の蓄積など)
[他人資本]…他人から借りたお金で返済義務のあるもの(預金者からの預金)
[総資産]…銀行の保有する全資産(調達した資金(=自己資本と他人資本)を貸出したお金)
銀行は調達したお金(=自己資本+他人資本)を貸出金として運用していると考えることができます。
そのうち、自己資本が少ないと、損失を被ったときに他人から借りたお金を返せなくなる=倒産する可能性が高くなることが分かります。自己資本比率とは、“総資産(=貸付金)の割りに、損失に耐える自分のお金をいくら持っているか”を示し、これを元に銀行経営の安全性が評価されています。BIS規制により、国際ルールでは、自己資本比率8%以上の銀行しか国際業務は行うことができません。国内ルールは4%以上であればよいことになっています。(リンク)
金融破綻の影響で、企業の経営悪化→貸出金も返ってこないものが出てくるし、銀行の自己資産も▼するから、貸出金額を減らしてなんとか自己資本比率を保っているのではないかと思ったのですが、大手4行のディスクロージャーで貸出金と自己資本比率を抽出してみると…
【貸出金と自己資本比率】
三菱UFJファイナンシャルグループ(リンク)
H19年中間期 86,751,061(百万円) 12.54%
H20年中間期 90,445,118(百万円) 10.55%
+3,694,057(百万円) -1.99%
みずほグループ(リンク)
H19年中間期 66,118,200(百万円) 11.80%
H20年中間期 67,377,600(百万円) 11.45%
+1,259,400(百万円) -0.35%
三井住友ファイナンシャルグループ(リンク)
H19年中間期 55,025,706(百万円) 12.65%
H20年中間期 58,541,953(百万円) 12.50%
+3,516,247(百万円) -0.15%
りそなホールディングス(リンク)
H19年中間期 25,858,123(百万円) 5.8%
H20年中間期 25,637,236(百万円) 6.0%
-220,887(百万円) +0.2%
大手行のうち、りそなを除いて、H19年とH20年では、なんと貸出金が増えているんです!!!そして、自己資本比率はのきなみ▼…。
また、日銀が公表している2009年1月の貸出動向のデータを見てみると、408兆4115億円と、前月比4パーセント増です。(リンク)
『これって、なんでだろう???』と聞いてみると…。
社債やCPの発行でやりくりしていたが、金融破綻→信用収縮の結果、買ってもらえなくなり、大手企業が銀行に貸してくれと泣きつきます。(CPの発行額は、9月の13兆円/月から12月は9兆円/月に4兆円減、社債は1兆円/月から0.3兆円に約7千億円の減。)銀行側としては、大企業はお得意様。なので断れずに、お金を貸すことに。しかしもちろん銀行自体は融資金額を圧縮しないとダメだから、中小企業への貸し剥がしがおこり、中小企業がどんどん倒産しているようです 一日に3件ずつぐらい倒産が続いています…(リンク)今後どんどん銀行・企業ともに経営状況は悪化することは明らかなので、企業の倒産はどんどん増えていきそうです
おススメ記事:業界分析シリーズ第二弾〜金融危機:銀行の貸し出しはどうなってる?〜
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