2009-01-21

日本の貿易収支(長期動向)、貿易立国という理念とその実現

2008年の秋以降、日本の貿易収支が赤字に転じ、貿易立国(貿易黒字を稼ぐ)の構造が揺らいでいます。 
 
今回は、貿易収支の長期推移を見ながら、貿易立国という理念が何故必要だったのか、それが、何時段階で実現したのかを簡単に見ていきましょう。 
 
最初に、1950年から2008年までの日本の貿易収支を図にしてみました。 
 
なお、左右の図の縦軸(貿易収支の赤字額・黒字額)の目盛が違うのに注意して下さい。
また、2008年は、秋以降の貿易赤字への転落を見るために、1月〜9月と10月〜12月上中旬に分割してあります。 
 
日本の貿易収支の長期推移(単位:10臆円)
bouekishusi01.bmp 
 
図からどんな事が読み取れるでしょうか。 
 
大きくは、以下の2点が読み取れますね。 
 
①1950年〜1968年までは、日本の貿易収支は赤字だった。
②1980年位から2007年まで、約30年に渡って、貿易黒字を確保してきた。
 
 
それでは、図の左側(1950年〜1970年)を詳しく見ていきましょう。 
 
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慢性的な貿易収支赤字の戦後復興期、高度成長期 
 
まず、1950年〜1970年の貿易収支を少し詳しくした図を見てみましょう。 
 
日本の貿易収支・1950〜70年(単位:10臆円) 
bouekishusi02.bmp 
 
今の常識では考えられませんが、1950年代、1960年代は、慢性的な貿易赤字でした。そして、常に外貨不足に悩んでいました。 
 
日本が戦後復興をしていく上で必要な生産拡大、工場投資に必要な設備や機械は、主に米国や欧州から導入する必要がありました。
この設備・機械の輸入負担が大きいので、常に、貿易赤字だったのです。 
その為、少し景気が拡大し、企業が設備投資(機械輸入)を増やすと、直ぐ貿易赤字額が膨らんでしまい、もっている外貨が不足します。外貨が不足するので、それ以上の工場投資ができなくなり、景気停滞が始まります。
この「貿易赤字の拡大・外貨不足」→「工場投資の抑制」→「景気の停滞」のサイクルが、戦後の経済復興、高度成長期の特徴でした。 
 
ここから、外貨不足を解消したい、輸出でもっと外貨を稼ごうという「貿易立国」、「貿易黒字=絶対的な善」という意識が、政府や企業に刻印されました。 
 
貿易収支の赤字基調を脱したのが、概ね、1969年です。 
 
 
2度のオイルショックを乗り越えて、大幅な貿易黒字国に 
 
1970年以降の貿易収支の図を、少し詳しくした図を見てみましょう。 
 
日本の貿易収支・1970〜2008年(単位:10臆円) 

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1969年に貿易黒字基調に転換しましたが、1973年と1979年に、二度のオイルショックが襲いました。原油が大幅に値上がりし、大幅な貿易赤字に転落してしまいました。 
 
50年代、60年代の外貨不足がやっと解消しかけた時期に襲ったオイルショックと貿易赤字で、「貿易立国」「貿易黒字=善」の意識が、政府や産業界・企業に脅迫観念となりました。 
 
このオイルショックへの対応において、国を挙げ、企業努力を総動員した結果、1980年代の大幅貿易黒字へと転じます。
1981年からの貿易黒字の拡大スピードはすごいですね。
その後、増減はありますが、90年代、2000年代と安定した巨額の貿易黒字で推移しています。 
 
日本のバブル景気、その崩壊という問題はあったものの、「貿易立国」「巨額の貿易黒字の確保」という観点では、2007年までは、順調に推移していたとも言えます。 
 
この「安心感」が、最近の貿易収支の構造(特に、米国を中心とした先進国の自動車・映像家電に依存した輸出構造)の点検が、経済省(旧通商産業省)や産業界で、おろそかになっていた様に思います。 
 
最後に、貿易の収支比率(貿易黒字額/輸出額)の推移をあげておきます。 
 
bouekishusi04.bmp 
 
第二次オイルショック後の1986年以降、バブル崩壊後の1991年以降では、収支比率は30%にも達しています。輸出額の3割が黒字(稼ぎ)となっていたのですね。
それに比べると、最近は、収支比率が10%程度に低下しています。輸出している割には稼ぎ(黒字)が少ないのです。 
 
明日は、貿易赤字に転落した2008年後半を分析してみます。 
 

List    投稿者 leonrosa | 2009-01-21 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?2 Comments » 

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コメント2件

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