2011-01-15

経済破局を超えて、新しい政治経済の仕組みへ 第4回:架空の経済成長 金融デリバティブはネズミ講

このシリーズの第1回「同じ過ちは繰り返すな」第2回「欧州の国家・金融危機」では、市場が弱肉強食の世界であり、金融危機でさえ強者=金貸したちが肥え太り、負担は国家=国民に押しつけられていることを扱いました。
 
しかしそれは、金貸しのモラルだのといった問題以前に、彼らが棲息する場である「市場」が、社会全体を取り込んだ”だまし共認”によって成り立っており、それこそが市場の本質であり支配力の源泉であることを、第3回「市場の本質は、徹頭徹尾”だまし”である」で突き詰めました。
 
今回はさらに、『金(ゴールド)相場の映すものは?』「船井幸雄.com」の超プロ・K氏の金融講座)を引用しながら、現在の市場経済システムがいかに歪んだものになっているのかを明らかにします。

長期の金価格(1978〜現在)
(画像は、三菱マテリアル「金価格データライブラリー」 からお借りしました。)
 
1.金の異常暴騰は、市場経済システム崩壊の前兆
2.金融デリバティブはネズミ講
3.ここ10年で金融危機の規模は100倍へ
 
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1.金の異常暴騰は、市場経済システム崩壊の前兆

しかしおかしくありませんか? そのデフレの中にあって、もっともインフレに敏感と言われている金(ゴールド)が上がり続けているではありませんか? 一体なぜでしょうか?
もう1999年後半の安値1トロイオンス250ドルから見ると、5倍の1,250ドルを超えてきているのです。

1960年代からの超長期データは、るいネットの「便利データサイト」リンク集の「経済指標指数グラフ」が便利です。
 
(「経済指標指数グラフ」は、主要国の株価、為替、NY原油、ロンドン金、国内金、地価、公定歩合、経済成長率、焼死者物価指数が1972年を100とした指数でグラフ化してあります。物価上昇率=GDPデフレーターで除した実質価格で長期暦年比較が可能で、しかも毎月データが更新されています。社会情勢年表も含めて1枚に集約されており、国際経済を分析する際に力を発揮する優れものです。)
 
GDPデフレーターで除した実質価格を40年間の長期データで見ても、現在の金価格は異常であり、ロンドン金は1972年の6倍の水準に暴騰、第2次石油ショック時の水準を超えるのも時間の問題です。

毎日、相場を見ていて値動きを追いかけていれば、上がるのも下がるのも、それは一つの変化に過ぎないのですが、このように10年スパンで他の値段との推移を比べてみると、金(ゴールド)の相場の異常性がわかります。
これはもう構造的に水面下で何かが起こっているのだ! ということを感性として感じるべきでしょう。値段が常に動いている相場というのはある時は上がったり、下がったりするものですが、金(ゴールド)は10年に渡って上昇を続けているのです。この10年の間、下がった年はないのです、そんなことは今までなかったことです。何かがおかしい? 変わってきているということを感じなければいけないのです。
そしてそれは、私も何度も指摘していますが、我々の今のシステムの根幹となっている印刷されている紙幣への信頼が、世界中で音を立てて崩れていく絶対的な流れが存在している中での一コマだということです。金(ゴールド)が上がっているのは、今の資本主義システムが崩壊に至る流れをそのまま映し出しているだけであって、この流れは止まらないのです。加速していく手前なのです。

日本の税収は37兆円しかないのに、その27倍にあたる1000兆円という国家債務を抱えています。消費税増税が議論されていますが、たとえ消費税を20%にして、税収を30兆円引き上げたとしてもとうてい返せる金額ではありません。むしろ増税することによって一気に景気が冷え込み、市場経済システムを一気に崩壊させてしまう可能性が高いです。
 
この状況は日本やギリシャだけの問題ではなく、世界中の国々が巨額の債務を抱えているのです。
 
それに加えて、今回の金融危機で巨額の損失を抱えた企業を救うために、今後、膨大な資金が国家の債務として積み上がります。
 
AIGがデリバティブで5兆円の損失を出しましたが、日本でも、金融機関、地方自治体、さらには大学までもがデリバティブで巨額の損失を出しています。それらの総額がいったいいくらになるのかは、いまだにはっきりしていません。
 
それにしても、金融工学とかデリバティブを推奨していた竹中平蔵が教鞭をとる、慶応大学も365億円の損失を出したのは、皮肉なことです。
2.金融デリバティブはネズミ講

実体経済に対して金融が肥大化しすぎて、この収拾をつけるのは不可能、何しろ実体経済は5,000兆円、金融の方はその4倍の2京円です。かつては1対1だったのです。それだけでは止まらず、プラス、デリバティブの6京円という実体経済の12倍のお化けがまだ水面下に潜んでいます。これも全く減っていません。
なぜ、金融が実体経済の4倍になったと思いますか? なぜ、デリバティブの総額が実体経済の12倍まで膨らんだと思いますか?
答えは、“ネズミ講”なのです! どんどん大きくしていかないと続かなくなっていたのです。膨らませるしかないのですよ。金融はそのもの事態が肥大化して自己増殖するしかなかったのです。

少し補足をします。
「実体経済」とは、ここではGDPのことを指しており、世界のGDP合計が約5,000兆円です。
「金融資産」とは、現金・預金・有価証券・貸出金などの形で保有する資産のことで、GDPの4倍もの金融資産が存在しています。
金融危機の引き金となったCDSやABSなども「デリバティブ」の1つですが、少ない資金で何倍もの投資を可能にする商品であり、これはほとんどバクチと変わりがありません。そのバクチへの投資が、実体経済=GDPの12倍にも達しているのです。
3.ここ10年で金融危機の規模は100倍へ

1997年、LTCM(ロング・ターム・キャピタル・マネージメント)が破綻して、これを救うためにFRB(米連邦準備制度理事会)は米国大手金融機関に300億円ずつ拠出して、計3,600億円を集めて、この問題を収めました。また同じく1997年、アジア危機から当時の韓国が国家破綻の危機に陥って、IMF(国際通貨基金)は1兆円緊急融資したのです。当時の1兆円は膨大な額だったのです。
それから13年経ち、どうですか? みなさんの貨幣の感覚は変わりましたか? 給料は上がりましたか? 物価は? ほとんど日本では変わりませんよね。
ところが世界における貨幣感覚は数倍ところか100倍に変化したのです。ユーロ圏の支援金額を見てください。90兆円ですよ。ほぼ100兆円です。また2008年の米国政府の金融支援も70兆円だったのです。およそ桁が13年前と二つ変わったのです。13年で100倍です。
一体、世界はどこまで資金があるというのでしょうか? 一体、どこまで中央銀行は紙幣を刷ることができるのでしょうか? 限界点はどこでしょう?
でもわかりますね。もうネズミ講が最終局面に来ようとしているのです。

先進国の経済成長が停止した中で、それでも利益を生み出すために金貸したちが考え出したのが金融市場であり、デリバティブなどの金融工学なのです。
 
しかし、デリバティブはお金を増やすものではありあません。総額は変わらず、お金を取りあうだけ、ゼロサムゲームの丁半バクチなのです。だから、参加者が増えれば増えるほど利益も大きくなり、必然的にネズミ講と化していきます。
 
その結果が、金融市場バブルであり、バブル崩壊によって生じた損失を穴埋めするための資金は、各国中央銀行が用意できるレベルをはるかに超え、国際機関であるIMFですらもはやどうすることもできないレベルに達しています。(現に、IMFが用意している資金は50兆円に過ぎません。)
 
「もはや打つ手はない」という状況判断が、金の異常暴騰を引き起こしているのです。
にも関わらず、国家は「増税」や「新分野開拓による経済拡大」によって景気は回復する、といった甘い予測を立てています。増税では焼け石に水どころか逆効果に成りかねないことは、上述したとおりですが、次回は、実体経済を成長させる施策が残っているかどうかを検証してみます。

List    投稿者 watami | 2011-01-15 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?2 Comments » 

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コメント2件

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