2011-08-19

震災後の日本経済どうなる?〜5.各種産業の被害をフローで見る〜

第1回目 1.人的被害の大きさ
第2回目 2.物的被害の大きさ
第3回目 3.今後の世界経済予測:前半
第4回目 4.今後の世界経済予測:後半
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このシリーズは、明治維新や敗戦にも匹敵する歴史的出来事という見方もある東日本大震災と福島原発事故の長期的な影響を受けて、日本人の意識と政治・経済構造を、大きく変えていく必要があるとの考えに基づいて連載しています。
 
第1回目と2回目では、震災によって受けた損害を、人とモノにわけて見てきました。
途中に世界経済予測を挟み大きな視点を持った上で、今回は、震災を受けたあとの生産がどのように変化するのか、そのフローについて現在分かりうる範囲から推察していこうと思います。
 
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被災地における産業を大別し
農業
2漁業
3商工業

に分けて、フローを見ていきます。
1農業
まず、東北三県の農業の特徴をウィキペディアから引用します。
岩手県
平成18年農林水産統計によると、農業産出額は2,544億円。食料自給率は106%であり、北海道や青森県、秋田県、山形県などと共に、自給率100%を超える数少ない県の一つである。広大な面積と、山岳に囲まれた地形のため、地域によって気候が大きく異なるところがあり、特性に応じてさまざまな形態の農業が営まれている。
宮城県
平野部では、米(ササニシキ、ひとめぼれなど)が主であるが、南部の沿岸地域では、海洋性気候によって宮城県内においては温暖であり、奥羽山脈・阿武隈高地(亘理丘陵)に雪雲が遮られて冬季の晴天率が高いことを利用し、イチゴなどのハウス栽培もおこなわれている。また、松島丘陵(特に利府町)では梨の栽培が盛ん。
福島県
2009年の都道府県別の農業産出額は福島県が2450億円となり、金額では全国7位である。この内、米の948億円(全国5位)と野菜の546億円を含めた耕作物、つまり耕種の産出額は1931億円。
なお、資料によれば、全国都道府県別による農業生産高は1位が北海道、2位が茨城県、3位が千葉県、あと鹿児島県、宮崎県と続きますが、上記で紹介したように、3県も、農業生産では国内で重要な位置を占めていることがわかります。その農地が、津波による甚大な被害を受けました。
これら三県の津波による冠水率は、
岩手県  1.2%
宮城県 11.0%
福島県  4.0%
と、宮城県が1割を超える被害を受けました。冠水した農地が、元通りに回復するには、瓦礫撤去と除塩作業で、短く見積もっても3年といわれています。
これらかから、農業生産におけるフロー損失は、以下のようになります。(値は平成20年度の各県経済計算(名目)より引用)
岩手県:農業生産 128,826(百万円) × 1.2% × 3年間 =  4,637(百万円)
宮城県:農業生産  83,848(百万円) × 11.0% × 3年間 = 27,670(百万円)
福島県:農業生産 125,467(百万円) ×  4.0% × 3年間 = 15,056(百万円)
                                     合計  47,363(百万円)
ざっと473億円のフロー損失となります。

しかしながら、上記グラフを見ればわかるように、生産額は農業の占める割合は小さく、そういう意味で経済的な影響はあまりないものと言えます。
重要なのは、十分な食料の供給が当分の間、滞るということでしょう。
2漁業
次に漁業を見ていきます。同じく特徴をウィキペディアから引用します
 
岩手県
水産業では、三陸海岸周辺が、黒潮による豊かな漁場として知られている。リアス式海岸の岩礁は、ワカメや海苔といった海藻類の養殖にも適しており、ワカメとあわびの養殖で、生産高全国1位の規模を持つ。
 
宮城県
全国有数の水揚げ高を誇る漁港がある。その他、塩釜港の漁獲高も多い(近海マグロが多い)。松島湾や三陸海岸の入り江では、カキ・ホタテ・ホヤなどの養殖漁業も盛ん。仙台市の沖合い2km辺りでは海苔の養殖も行われている。県内の主要港は、遠洋漁業(マグロ、以前はクジラも)の基地としても機能している
 
福島県
主要水産物は郡山市の養殖鯉、いわき市のカツオ、目光、相馬市のホッキ貝、アサリ、海苔、浪江町、旧鹿島町の鮭、県内各所のニジマスなど
 
漁獲高でみると宮城県は全国3位、岩手県は全国9位、福島は13位を誇っており、いわば日本漁業の屋台骨と言える地域です。
 
 
その漁港と漁船が、津波により壊滅しました。
被災漁港数は 凡そ3県で260港、被災漁船数は3県で18,610隻にも及びます。
港や船の再建もさることながら、当面は放射性物質による海洋汚染がひと段落するまで、この地域での漁業は難しそうです。一旦それを5年と仮定します。
 
これらかから、漁業生産におけるフロー損失は、以下のようになります。(値は平成20年度の各県経済計算(名目)より引用)
 
岩手県:漁業生産  26,077(百万円) × 5年間 = 130,385(百万円)
宮城県:漁業生産  47,871(百万円) × 5年間 = 239,355(百万円)
福島県:漁業生産 13,321(百万円) × 5年間 =  66,605(百万円)
                               合計 436,345(百万円)
 
ざっと4,363億円となります。農業生産フローのほぼ10倍です。
 
もちろん全生産高に占める割合は、少ないですが、これも農業と同様に、日本産の魚の全国への供給が、相当期間滞ることを意味します。 
 
 
3商工業
 
最後に商工業です。
震災直後は、津波の影響で東北に点在する多くの工場が大打撃を受けましたが、今日では持ち直してきているようです。
 
 
以下、8月18日のニュースより

7月の貿易黒字725億円 自動車輸出回復で2カ月連続
財務省が18日発表した7月の貿易統計速報(通関ベース)は、輸出から輸入を差し引いた貿易収支額が725億円の黒字となった。サプライチェーン(供給網)の復旧を受けて自動車輸出の減少幅縮小が寄与した。黒字は6月に続き2カ月連続で、黒字幅は6月(速報値)の707億円からわずかに拡大した。
 7月の輸出額は前年同月比3・3%減の5兆7819億円と、5カ月連続のマイナス。半導体等電子部品が15・0%減など依然として震災の影響は残るものの、自動車は3・8%減とほぼ前年並みにまで回復した。鉱物性燃料が36・7%増、金属加工機械が38・3%増と輸出を牽引(けんいん)した。
 輸入額は9・9%増の5兆7094億円と19カ月連続で増加した。原粗油が19・1%増、液化天然ガスが47・6%、石油製品が46・6%増となるなど、資源価格高騰が影響した。

 
 
まず、2ヶ月連続で貿易黒字なのは注目すべき点でしょう。7月の伸び率は前年同月比-3.3ですが、昨年7月の伸び率が23.5である点から考えても、この値はほぼ通常値と見ることが出来ます。
 
しかし、グラフを良く見てみると、輸出と輸入の差額は、先月先々月の黒字であっても差引は前年同月に比べて10分の一程度に留まっており、かろうじて黒字を達成したというところでしょう。また円高差益による黒字とも言えそうです。
 
とは言え、これだけ短期間で回復しているのは、驚きです。全国的なサポートの賜物でしょう。一方で、福島原発事故による長期的な影響は無視できませんが。。。。
 
福島原発による長期に及ぶであろう様々な影響は、気になるところですが、次回は震災復興への道程を、阪神淡路大震災の例を見ながら、考えていきたいと思います。
 

List    投稿者 heineken | 2011-08-19 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?4 Comments » 

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コメント4件

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