2010-05-08

「私権の失速・私権体制の崩壊」シリーズ(5)…大破局の真相

これまでのシリーズ(1)〜(4)で「貧困の消滅→私権の消滅→性の衰弱」の内容を扱ってきました。今回は、引き続き、性が完全に衰弱する前段階で残存する性権力支配が社会を全面崩壊させる構造について扱いたいと思います。
 
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引き続き、実現論 第3部:滅亡 ニ.市場の崩壊から引用してゆきましょう。

’29年と21世紀初頭の大きな違いは、もう一つある。
’29年は、生産人口の過半が農業に従事していた。大地に根を下ろした農業とその村落共同体は、秩序安定性が極めて強い。
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たとえ都市=市場の秩序が混乱しても、人口の過半が住む農村の秩序は(貧困→娘の身売りまで追い詰められても)崩れない。むしろ、失業者の何割かを実家=農村が吸収した。
要するに、人口の過半が住む農村(農業)という社会秩序の安定基盤、かつ市場破綻の受け皿が存在していた。
 

1929年の大恐慌、アメリカの状況は前回記事で取り上げました。
では、日本ではどんな状況だったのでしょうか?
同時期に凶作に見舞われたこともあって、ウィキペディアなどでは悲壮な記述が目立ちます。
しかし、集団が解体されていたのであれば暴動などが起こっているはずですが、そういった記述は見当たりません。
やはり、日本の農村の秩序は崩れていなかったようです。
昭和恐慌と農村

恐慌期、大野郡小山村は村長の強いリーダーシップのもと、農民の理想郷「極楽村」の建設を目標にかかげて、たいへんユニークな施策を実践した。「読み書きは出来ても、働くすべを教えてくれない学校は何にもならぬ」をモットーに、「愛汗喜働」の精神を養う「農民魂打込み」教育に力を入れた。軍人にとっての銃器と同じく、農民にとっての農器「鍬」の重要性を唱え、鍬を用いた農民教練や農民ダンスを考案した。さらに、恐慌の危機から脱出するために農民団結の必要性を訴え、各人各戸が信仰する仏教宗派をこえた絶対的な価値としての「皇室尊厳」をアピールした。
そして、こうした運動が、国家を底辺で支える「皇国農民」の規範を作り上げ、結果的には戦争遂行の基盤となる農村体制を構築することになった。
 

昭和恐慌期農村中堅青年の自己修養

世界恐慌が日本農村に波及する昭和5年(1930)からはロ日本農業を支える米と繭の価格急落や家計補充の柱である賃労働兼業収入の急減によって農家経済は壊滅的打撃を被り,農村は解体の危機に瀕した。慢性化する農村不況の中で,農村経済を圧迫する日本資本主義1寄生地主制が抱える矛盾(階級対立や農工間較差の拡大)が農村青年にもより鮮明に把握された。農村青年は,農村民の離農・厭農,都市流出問題と相俟って台頭した農本主義イデオロギーの影響を受けて自給自足,勤倹節約などによる農村自救へと方向づけられていく。
世間でどれだけ不況対策が高唱されようとも,一向に改善されることのない現状を実感した彼らは,結論的に「農村を打開振興せしむるものは,我々農村青年自身」「自給自足に帰れ」というように農村の自力更生へと自らを向かわせることに解決策を見出すしかなかった。そうした農村自救の考え方は,自給肥料の発想にはじまり,次第に生活のあらゆる部分に広がっていった。農村に留まるしかない彼らが行き着いた不況への対応策は,自給自足による支出削減と労働量の増大となって表れたのである。
 

昭和恐慌で疲弊した農村の経済更生運動 七郷村と古里・馬内地区

こうした状況の中で政府は、国内的には1932年(昭和7)に疲弊した農村の救済をめざして経済更生運動に取り組むことになった。埼玉県ではこれを受けて農山村経済更生委員会(会長 県知事広瀬久忠)を発足させて、同年度経済更生計画樹立町村として30か村を指定し、1933年(昭和8)年度には35か村、34年度に31か村、35 年度24か村、36年度32か村、指定は計152か村におよんだ。
七郷村は1933年に経済更生村に指定された。七郷村経済更生委員会の委員長は栗原侃一村長であった。青年団長田畑周一が技術員に採用され、彼に阿部豊作、市川武一、藤野菊次郎が協力して運動の推進にあたった。彼らは熊谷農学校出身で、経済更生運動を中心になって担った。翌年34 年には「比企郡七郷村経済更生計画」がつくられ、5月1日が更生記念日に定められた。この計画に沿って、生活改善とともに農産物の増産とその統制が打ち出された。増産については自給経済を目標として灌漑用水の確保(特に溜池)、農作物の品種改良などによる増収、養蚕の充実、肥料の自給などが計画された。共同作業所、採種圃、指導圃などもつくられた。統制については米・小麦・蚕繭などの共同販売。生産用品・家庭用品などの共同購入が行われた。
農家小組合は農事実行委員会として再編された。第一農事実行組合、第二と番号をつけ、七郷村に22の農事実行組合が成立した。
七郷村の経済更生運動は1935年(昭和10)に富民協会から、36年には帝国農会から表彰された。
 

参考になりますね
では再び実現論 第3部:滅亡 ニ.市場の崩壊に戻ります。

だが21世紀、農業人口は5%も居らず、村落共同体は破壊され尽くしている。もはや、安定基盤も受け皿も存在しない。 

食糧が高騰し、取り付け騒ぎが全銀行を襲い、企業の5割が倒産し、失業者が6割に達するという事態を治めることが、農村(人口)という安定基盤も受け皿もない条件下で、国家や支配階級に出来るのだろうか。 %E5%80%92%E7%94%A3.bmp

企業の5割が倒産、失業者が6割に達する、とはどういうことなのでしょうか?
国境を越えた金融・資本市場の発展 (国際金融・資本市場の急成長)

近年、世界各国において、金融・資本市場が実体経済を上回る規模で急速に成長している。
民間機関の調査によれば、世界の金融資産規模(証券・債券・公債・銀行預金の総計)は、近年急増しており、2006年には総額167兆ドルに達している(第1-1-24図)。その成長のペースは31 1996年から2006年の11年間で年平均9.1%と、同期間の世界の実体経済の名目GDP成長率(年平均)5.7%を大きく上回っており、実体経済に対する比率は、1990年の約2.0倍から2006年には約3.5倍へと拡大している。
 

「実態以上に膨らんだ経済が破綻する」ということは「実態に見合った経済規模に戻った」と換言できるのではないかと思います。
つまり実態経済より2倍(1990年)〜3倍(2006年)まで膨らんだ金融バブル経済が破綻すれば、その差分の仕事が消滅し、失業者が発生する、ということではないでしょうか?
2010年5月8日現在、世界的に株価が暴落し始めていますが、ついに最終局面に差し掛かっているのかも知れません。
こうした危機に対して支配層が採った政策は、基本的に市場延命です。公的資金を注入して企業や銀行を援助する、というあれですね。「バブル」は必ず弾けることは、ちょっと考えればわかるにも関わらず、です。

彼らは、こうなる事が分かっていながら認識転換できず、従って何の展望もないまま、闇雲に市場拡大を続行してこの事態を招いた。 

彼らが、何の展望も示せなかったのは当然である。 

なぜ彼らはそうなってしまったのでしょうか?

性権力支配(特にその支配共認)による私権の衰弱と性欠乏・物的欠乏の衰弱は、誰にも止めることの出来なかった性権力支配の必然的帰結であり、そして私権および性欠乏・物的欠乏の衰弱とは、性闘争→私権闘争を究極かつ最大の活力源としてきた私権時代の終焉に他ならないからである。 

私権時代において、支配層は性権力の支配下にあります。世の中を支配しているように見えますが、さらにその外側に支配構造が存在しているというわけです。
この2重の支配構造がどうやってできたかというと、
①本来の男女関係が包摂されていた本源集団が解体されはじめた
 ↓
②代わって一対一の男女関係を基本とする婚姻規範が導入された
 ↓
③本源集団を失った女の不安が元となり一対一の関係の中で男を懐柔⇒要求し始めた
 ↓
④男はこれに迎合しはじめた
日本の場合は、昭和初期くらいまでは本源集団が残っていましたが(冒頭の昭和恐慌時の農村)、①〜④を繰り返すことによってしだいに本源集団は解体され西欧化が進んでゆきます。
このような男女関係を社会レベルで総和したものが市場社会(女主導の解脱・消費社会)ということです。
というわけで、市場社会においては支配層(♂)といえども、根底的には女の支配下におかれていることになります。
しかし、女の要求には限界があります。
飽きるとかあきらめるとかではなく、もっと物質的な限界です。
つまり、一定以上豊かになると、それ以上はなかなか望まなくなる状態。または男のほうが要求に応える気力がおきなくなる状態。
車やブランド品の売れ行きがめっきり落ち込んだ現在が、まさにこれですね。
巷では経済破局の影響で車やブランド品が売れなくなったと喧伝していますが、まったくの逆。
市場を牽引していた性権力の衰弱が市場を縮小させ、縮小する市場をムリヤリ延命させる行為=バブル化が経済破局を引き起こしたというのが正解です。
この基本構造に気付かない限り、支配層には絶対に答えは出せませんよね。

つまり、支配階級とその支配共認は、もはや社会を統合する資格と力を失ったのであり、そもそも返済不能な国家赤字=国家破綻が象徴している様に、既に統合不能に陥ったからこそ、この大破局を迎えたのである。 

続きます

List    投稿者 ohmori | 2010-05-08 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?2 Comments » 

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