2010-08-24

シリーズ「活力再生需要を事業化する」12〜農業は医療や教育と同じく人類(集団)にとって不可欠の事業であり、脱市場原理の最先端可能性といえるのでは?〜

今年3月〜6月までお送りしてきた「活力再生需要を事業化する」シリーズに引続いて、るいネットより秀作を中心に毎週お送りしていきたいと思います。
改めて、前回までの内容をご紹介します。
新シリーズ「活力再生需要を事業化する」〜活力源は、脱集団の『みんな期待』に応えること〜
シリーズ「活力再生需要を事業化する」2〜ワクワク活力再生!
シリーズ「活力再生需要を事業化する」3〜老人ホームと保育園が同居する施設『江東園』〜
シリーズ「活力再生需要を事業化する」4〜企業活力再生コンサル〜
シリーズ「活力再生需要を事業化する」5〜企業活力再生需要の核心は「次代を読む」〜
シリーズ「活力再生需要を事業化する」6〜金融、ITビジネスはもはや古い?!新しいビジネス“社会的企業”〜
シリーズ「活力再生需要を事業化する」7〜社会起業家の歴史・各国の状況
シリーズ「活力再生需要を事業化する」8 〜社会的企業を支える「アショカ財団」〜
シリーズ「活力再生需要を事業化する」9〜『生産の場として、儲かる農業』が、みんな期待に応えるのでは?〜
シリーズ「活力再生需要を事業化する」10〜就農定住の成功事例 山形県高畠町〜
シリーズ「活力再生需要を事業化する」11〜農業参入が企業の社会的使命となる〜
次代の活力源は、脱集団の「みんな期待=社会的期待」に応えること、という認識の元、既存集団の枠組みを超えた取組み・コラボなどの事例紹介、変化する企業の取組み〜社会事業としてのビジネス(海外・日本の事例)、その終着点としての農業事業・企業参入の可能性、といった流れで紹介してきました。
同じ「活力再生需要を事業化する」のテーマのもと、第1回である本稿は前回終盤でご紹介した「農業の可能性」について迫っていきます。
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円高、デフレ、国の借金増加、不況・・・限界を迎えている現代の市場。これらの問題を乗り越えるべく、新たな可能性として「活力再生事業」の視点から、市場を塗り替えていこうと日々追求しています。
市場を超える枠組みとして農業を捉えなおす、新たな認識をるいネットの秀作投稿からご紹介します。

農業は医療や教育と同じく人類(集団)にとって不可欠の事業であり、脱市場原理の最先端可能性といえるのでは?
31505 「超国家・超市場論13 人類の新たな活力源=圧力源」 四方勢至
>また、既に動物的な生存圧力を克服した共認社会では、環境その他の人類的課題に対する期待・応望の同類圧力=共認圧力が解脱充足と並んで主活力源となり、人々の期待に応える政治や哲学や科学や芸術が主活動となる。
 貧困が消滅して以降、それまでのように生きるための食糧を生産するという課題は希薄になっていく。食べるだけならば、世界中から安く農産物が輸入されてくる。人件費が日本の1/10、あるいは規模において数百倍以上の大規模農業の効率性と比較すれば、単純にコスト競争では歯が立たない。しかし、多くの人はだからといって国内の農業をやめてしまっていいわけではないと感じている。
 しかし、そこが鮮明になっていないが故に、結局は安い商品に淘汰され、結果として利益もほとんど残らず、農業は儲からないというようなマイナスイメージとなってしまっている。
 ただ、実際に農業をやっている方の意見としては、儲からないのは市場原理の中、価格競争圧力によって低価格構造から脱しきれなかったり、豊作や不作で需給バランスが崩れ価格が大きく乱高下することも計画的に経営を続けていくことが難しい原因となっているとのこと。
 要は、安定した価格(別に高額でなくともよい)で継続的に購入してくれる顧客さえいれば、農業は今でも充分に成立するはず。そのためには安定した販路を構築する必要があるわけですが、そこで評価されるのは商品そのものというよりは、作り手の姿勢であり、その背後にある状況認識や課題設定にあるのではないか。
 その状況認識と課題共認によって追求され導き出された「答え」に人々は共鳴し、その作り手の事業を応援したくなる(つまりは、農産物を購入する事で)。そういった信任関係にまで高められなければ、結局は価格が安いという「金銭的メリット」だけで様々な小売店や直売ネットと比較され、安定した関係にはいたらない。
 とすれば、信認に基づく販路開拓とはすなわち、「農業を取り巻く社会状況認識→課題共認→答えの追求→実現態としての農業事業」という認識を発信し、その内容に共鳴共感し協働してくれる人たちの共認域を拡大していくことと同義なのではないか。
 よって、もっとも重要なのは「何の為に農業をやっているのか」「社会にとって何故農業が必要なのか」への答えなのではないかと思います(商品の売り方や営業方法などはその前提の上に議論されるべき課題)。


下は、前シリーズでも取上げた図解です。農業を取巻く問題と意識潮流、高まる農への期待感を記したものです。
画像の確認
農作物には、工業製品と比較したときに決定的な価格格差がある。安定した価格、安定した販路の実現のためには、生産者の取組み姿勢の背後にある状況認識や課題共認から導きだされる「答え」そのものにカギがある。
そのためには、シンプルな疑問「何の為に農業をやっているのか」に対する答えを明確に提示する必要があり、その答えが確かなものであればあるほど、共認域は広がっていく構造にあるのです。
そして、

>つまり、共認社会の同類闘争は、人類的課題に応える創造競争=共認闘争となる。(政治であれ哲学であれ科学であれ芸術であれ、提起された認識は共認の獲得を目的としており、最終的には社会共認となることを目指しているので、創造競争は本質的には共認闘争である。)
 上記の観点に立って考えれば、農業とは人類が狩猟採集生産に続いて営み続けてきた本源的な事業であって、近代になってから発展した諸事業(工業品=車や電化製品、印刷やマスコミ業、外食産業等)とは歴史が違う。人類の集団にとって切っても切り離せない食糧生産を担う事業であり、これは貨幣によって取引されるはるか以前から存在していたものであるといえる。
 例えば、医療や教育、介護などと同じように市場原理だけでは統合できない集団課題という位相にあるのではないか。だから、市場原理に任せるだけでは、需給バランスの変動によって価格が大きく下落や高騰したりするといった問題構造を常にはらんでしまう。
 では、これは国によって管理すればいいのかというとそういうわけではない。現在の医療や教育、介護と同様に財政悪化の要因となるだけだと考えられる。つまりは、「(集団にとって)必要か否か?」というみなの共認圧力(評価圧力)のもとに晒されなければ、品質低下や非効率、あるいは価格吊り上げなどの問題を防げない。また、共認圧力(外圧)不在では携わっている人の活力(内圧)も上がらない。
 農業はモノ(食糧)の生産業ではなく、それを行なうことを通じて活力を再生していく「活力再生事業(=集団再生事業)」と同じなのではないか。その萌芽は、露店においてこれからの社会に必要とされる仕事の筆頭として介護や農業が挙げられたり、若者や定年後の人たちの就農意識の高まりにも見られるように思う。
 農業とは、人類や集団にとっては不可欠なものであって、事業そのものが自然に親しみ(自然循環系を再生し景観や保水力を維持するという点ではもっとも有効な環境保全=環境対策ともいえる)、そして種を蒔いて収穫するという人類の本源的な充足に直結し、その共同作業を通じてお互いの共認充足も得られ、また子供や老人というように世代を超えてともに働く(役に立つ)実感も得られ、何よりも命にとって必要な日々の糧をまかなっていく余業をもって代えがたい本源的な営みなのではないかと思います。


前段の問いに対する答えとして、そもそも農業とは、本源的な営みであり、また集団にとって不可欠な事業であるとの認識に至ることができます。
同時に、農業は単なるモノの生産業ではなく、活力を再生する側面を持つ。農に対する社会的期待感が高まる現在は尚更です。

>人類的課題に対する期待と応望を主活力源にして創造活動を営み、評価収束による創造競争(=新たな同類闘争)によって圧力=活力を高め、その同類闘争を同じ評価収束⇒評価共認によって統合する社会、これは原始人には夢想だにできなかった社会である。
 市場原理の統合限界(価格価値以外の安全性の問題、食糧自給確保という国家防衛、近代工業型農業による土壌汚染=化学肥料や農薬多用)が顕在化し、このままでは永続できないというところが顕在化しつつある。市場原理にそぐわない農業こそ、市場原理に代わる共認原理(「自分からみんなへ」「必要か否か?」等)によって運営することが求められている「社会事業」なのではないかと思います。


従来は市場社会ではペイしない=そぐわないとされた農業にこそ、(共認原理社会に移行した日本においては)共認充足を媒介とした活力再生事業としての可能性がある、旧態依然とした需要発(の経済理論・思考)では出てこない、供給発の認識が社会閉塞を打ち破ってくれるのです。

List    投稿者 pipi38 | 2010-08-24 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?1 Comment » 

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コメント1件

 hermes australia | 2014.02.02 14:04

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