市場縮小の深層:2 市場を支えてきた「性の衰弱」
今回の「市場縮小の深層」シリーズでは「貧困消滅⇒市場縮小」の深層にある「私権の衰弱」と「序列原理の崩壊」に着目し、現代は時代の大きな転換点である事を詳らかにしていきたいと考えています。
前回の第1弾では、家庭(女)を中心とした要求主義、消費特権が市場を拡大し続けてきたが、この間に男原理社会が完全に崩壊し、女原理一色に染まった社会はその収束対象を見失い、ついに男女の性の吸引力が衰弱する構造を概括しました。
第2回はこの「性」の衰弱が貧困の消滅する1960年代後半からどのような社会現象として生起してきたかを見てみます。
性の徒花「ジュリアナ」リンク
クリックよろしく
今回も、るいネット「実現論」(リンク)からの引用です。
ハ.貧困の消滅→私権の衰弱→性の衰弱 (030304)
性の衰弱は、既に私権が衰弱し始めた’70年頃から始まっている。心中物語に代表される様な、私権の強制圧力との緊張関係から生じる性の自由への強力な収束力が衰弱したことによって、’70年頃から情熱をかき立てる様な恋愛が成立しなくなり、性をムキ出しにした官能小説やポルノ映画が主流に成っていったが、それは性の火(活力)が消える直前の最後の輝き(活力)だったのである。
※戦前は,お見合い結婚が主流だった日本。
約7割を占めていた、お見合い結婚は減り続け、2005年のデーターによると、
●見合い結婚は6% ●恋愛結婚は87% でした。リンク
※また、私権序列の鋳型に人々が嵌っていた第二次大戦前あるいは‘70年ごろまでは、最後は男女とも死に至る心中や、2人で他所へ駆け落ちするというように今では考えられないほど「性の活力」が旺盛でした。
代表的な心中物は江戸時代、近松門左衛門の「曽根崎心中」ですね。
リンク
ほかにも
・オーストリア皇太子情死事件 1889年リンク
・千葉心中 1917年(大正6年)リンク
・坂田山心中事件 1932年(昭和7年)リンク・谷中五重塔放火心中事件 1957年(昭和32年)リンク
また駆け落ちでは
・「世紀の大ロマン「山本権兵衛と山本満喜子」総理大臣の孫とナチス将校が駆け落ち」リンク
・井原西鶴 – 「好色一代女」リンク
・近松門左衛門 – 「心中天網島」リンク等キリがありません。
リンク
☆ところが、戦後生まれ世代が大学生になる‘65〜‘70年ごろになると、「反体制」「反管理」を謳う学生運動と相俟って自由恋愛が当たり前となり、一気に性の自由化が進みます。
カラーTVが普及する60年代後半からのTV番組での「性」を売りにした番組の変遷を見てみると、「性的商品価値」の移り変わりが分かります。
☆1960年代後半、まず裸と娯楽情報を売りにしたワイドショウ番組が登場します
・11PM リンク 1965/11〜1990/3。
日本初の深夜のワイドショー番組で大橋巨泉の司会で有名。24年半にわたって放送された。裸と遊び情報をが企画の目玉であった
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・ギルガメッシュナイト リンク1991/10〜98/3 11PMの後を受けた形で更に性描写が過激となった深夜番組、全裸の女性がごく普通に出演していた。
あまりの過激さにクレームが付き6年で終了
・『中山道』(なかやまどう) リンク は2004年4月から2004年9月及び2005年4月から2005年9月まで放映されていたロケ主体のバラエティ番組、露骨な裸は流行らなくなるが、下ネタを女性レギュラー陣に披露して反応を楽しむ男性陣といった極めてセクハラ的な構図が見える。
☆性風俗も百花繚乱です
○ポルノ
・日活ロマンポルノ 1971〜88
・ノーパン喫茶 1978京都で発祥
1981東京で大ブームとなる
・愛人バンク 1981発生、83年に売春宿と見做され規制され、衰退。
・ピンクサロン 1977年発祥
・キャバクラ 1980年代半ばに最盛期を迎える
※概ね1880年ごろいずれも一挙に衰退していった
☆若者向けの出会い系バラエティ番組も70年以降急増する
・プロポーズ大作戦 1973/4〜85/3(恋愛バラエティ番組)
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リンク・パンチでデート 1973/1〜85/3(同)
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・ラブアタック 1975/11〜84/10(同)
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・ねるとん紅鯨団 1977/10〜94/12(同)
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私権の衰弱が顕著になった’90年代に入ると、性はSMや3Pに最後の活路を求め、その刺激にも飽きると、もはややることが無くなって終った。こうして’95年頃から、遂に性の自由欠乏→性闘争(恋愛)そのものが急速に衰弱し始めた。
☆そしてやることが無くなった後に訪れたのがセックスレス(性活力の衰弱)の急増です
○「若い男性やはり「草食」化 16〜19歳、セックス無関心倍増(厚労省調査)」リンク
<16〜19歳の男性でセックスに「関心がない」「嫌悪している」との回答は合計で35.1%。08年の前回調査は17.5%でほぼ倍増した。20〜24歳でも11.8%から21.5%へと増加した。女性も各年齢層で上昇した。>
○「セックスレス の統計調査」リンク
対象は満16〜49歳の男女3000人。調査期間は2006年11月2日〜11月26日。回収率は51.9%。
調査の結果、婚姻関係にある人のうち1カ月以上セックスがないというセックスレス(日本性科学会の定義)が34.6%に上った。02年の調査では31.9%だった。
○「日本は世界一のセックスレス国」 リンク 今回の統計も最低の48回/年。 2007/6 最高はギリシャの164回
リンク
私権が衰弱して真っ先に関係耐力(厳しい自我・私権闘争に耐える関係能力)が衰弱して終ったので、互いの自我や要求に対応するのが煩わしくなってきた。その結果、衰弱した性に残された+よりも煩わしさの−の方が上回り、互いに相手を捨象する女捨象や男捨象が顕著になってきた。
その結果、
性闘争(恋愛)を土壌として肥大してきた性権力にとって、これは致命的である。全ての抑圧力を解体して終った以上、性権力もまた消え去るしかない。だが、私権統合から性権(力)統合へと移行した途端に(or 移行途中で)、当の性権力自身が消滅すれば、社会は全面的崩壊状態に陥る。だがそれは、同じく性闘争を究極の活力源としてきた私権社会が消滅する日と時を同じくする。それは、性権(力)こそが私権の原点であったことからも、当然の成り行きであろう。
日本でセックスレスが世界—多いというのも、日本が世界で最も早く平均的に貧困からの脱出(→私権衰弱→性の衰弱)を成し遂げたことが原因と思われます。(欧米にはいまだ深刻な貧富の差があるのはご存知のとおり)
つまりそれだけ日本は社会変革の最先端を行っているとも言えます。
人類は、「性の活力」に依拠しながらこれまで何千年に渡って市場経済を発展させ、社会統合を行ってきましたが、その肝心の活力衰弱を前にして次ぎの時代の活力は何かが問われています。
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コメント6件
みかん | 2012.01.11 0:23
梵さま♪
記事を読み、コメントを下さってありがとうございます★
ユーロ崩壊はみなさん避けて通れないと考えている方が多いように感じます。
崩壊後の中央銀行は、金貸したちの動きと密接に関わっているので、彼らがベンジャミン氏の言うように“最後の断末魔”となり支配が終わるのか?どうか?
要注目ですね★
投資一族のブログ | 2012.02.01 21:10
ギリシャのデフォルト確率って言うけどどう計算するの?
CDSは、一般読者の関心も高いようなので、少し解説的な記事を書いてみよう。プロ読者諸君は、ちょっと退屈だろうから今日は読み飛ばして欲しい。嫌味炸裂を見たい…
hermes bags ireland | 2014.02.02 7:16
replica hermes bags article 金貸しは、国家を相手に金を貸す | 2012年、世界はどうなる!?〜(2)最新書籍はこう読む!−ユーロどうなる!?〜
wholesale bags | 2014.02.10 0:16
金貸しは、国家を相手に金を貸す | 2012年、世界はどうなる!?〜(2)最新書籍はこう読む!−ユーロどうなる!?〜
http://www.tarmaun.com/ | 2014.03.13 16:09
金貸しは、国家を相手に金を貸す | 2012年、世界はどうなる!?〜(2)最新書籍はこう読む!−ユーロどうなる!?〜
梵 | 2012.01.09 18:41
参考になります。m(_ _)m
ユーロが崩壊した場合、各国のお金を印刷する中央銀行がどの様になるか?相変わらず金貸し達がそこを独占するのか?国家紙幣となるのか?その当たりがユーロ崩壊後の分かれ道のように思います。