国内製造拠点のこれからの役割
いざなぎ景気超えの主役と盛んに報道されている企業の設備投資の実態はどうなっているのだろう?
現代製造業のリーディング産業である自動車産業から、トヨタとホンダの生産体制を調べてみた。
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■国策と連携して生産拠点を展開しているトヨタ
・トヨタの本拠は愛知県にあるが、その理由は第2次大戦時の軍需産業の集積の一環として。
航空機などの生産拠点があり、労働力も供給される中でトヨタも生産拠点を展開した。
・現在、北九州にも一大生産拠点を持ち、生産規模を拡大しているが、ここでは旧炭産地域の余剰労働力の受け入れと旧炭産地域に提供される基金を有効活用するという背景があった。
・北九州の生産拠点では中国や韓国、東南アジアなどからの労働者が1/3を占め、日本で生産技術を学んだ後に、各国にあるトヨタの生産拠点でリーダーシップを発揮してもらうという体制になっている。
●トヨタはカンバン方式に代表される優れた生産システムを基盤に発展し、各国に生産拠点を展開している。かつて、国内製造業の空洞化が危機感を持って言われた時期があったが、トヨタの国内製造拠点は生産技術革新を担うとともに、海外拠点に普及させていくために現地技術者の教育も担うといった役割を果たしている。
■独立独歩で発展してきたホンダ
・ホンダは第2次大戦後に小さな町工場から出発した企業で、創立者の本田宗一郎の強力なリーダーシップの下で独自の発展を遂げてきた。
・2輪車の生産で世界に打って出、その後、1963年から4輪車生産開始。海外で売っていくために積極的に現地生産を進めてきた。ちなみに1982年には日系メーカーで初めてアメリカに生産拠点を置いた。
・2006年、ホンダは日産や現代などに世界生産台数で追い越されるようになってきたため、日米で新工場を建設することに踏み切った。
・国内での本格的な製造拠点は700億円を投じて埼玉県に設置される。2010年稼働予定で、当初は20万台の生産能力の最新鋭の工場といわれている。
●ホンダでは、これまでの「徹底した現地化」から「国内マザー機能の強化」へと舵を切った。
ホンダでは1ラインで8車種を生産する混流生産を開発しているが、世界的に進む生産技術の進化に対応するために、新機種の立ち上げや技術者の教育など、世界に展開する生産拠点のリーダーとしての役割を国内工場に担わせるという考え方だ。
同じ自動車産業でも、トヨタとホンダはまったく違う筋道で発展してきている。しかし、これからの国際分業体制の取り組みスタンスは共通しているようだ。
■トヨタとホンダの製造拠点立地に見られるように、自動車業界に限らず産業界全体が、開発部門と共により高度な生産技術開発や高品質な製品の製造拠点を国内に残し、物流の利便性や人材の確保或いは関連企業とのネットワークなどを含めた新たな可能性のある立地へと展開していることが伺える。
国内の物的需要が低迷する中、今や国内向けの生産だけでは生きていけない。
同時に、これまで蓄積してきた高度な技術を絶やす訳には行かない。
日本の成長を支えて来た高度な技術は、アジアをはじめ世界中に展開する生産拠点の先端技術の先導役として新たな役割を担うことが求められていると言えるようだ。
byわっと
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コメント4件
チウエ* | 2006.12.15 1:56
ゴクウさん、コメントありがとうございますw
さも日本経済は順調かのような印象を与えるのがやっかいですよね。
長く続けばいいってもんじゃないっ!
そもそも1965年〜1970年頃(各家庭に三種の神器が揃うまで)の経済指標が今も通用するのか大いに疑問です^^;
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金貸しは、国家を相手に金を貸す | “いざなぎ景気超え”を騒ぐワケ。
ゴクウ | 2006.12.13 19:11
確かにぃ〜。
“いざなぎ景気を超えた”ってのも、単に長く続いているというだけなんだよね。
“いざなぎ景気を超えた”言われると、スーパーウルトラ好景気かと錯覚するけど、決してそうではないんだよね。
政府を含めたマスコミの誇大広告そのものだと思います。