2009-08-20

8月11日なんでや劇場その2、世界の経済破局、その突破口は?

その1『ドル・米債暴落は起こるか』に続き、ドル暴落・米国の秩序崩壊(殺し合い)発生以降を扱います。世界破局への突破口はどこにあるのかです。
展開は、以下の通りです。 
 
4.経済破局の状況下で、各国・地域の秩序維持はどうなるのか?
秩序崩壊の危険度の高い国家群はどこか。秩序維持できるのはどこか。 
 
5.縄文体質(本源性)をもっている日本は秩序維持できる。本当にそうかなのか?
最近の特権階級の暴走、戦争を待ち望む「プロレタリア型右翼」の登場をみると、縄文体質は変質しているのではないか? 
 
6.安定収束、保守収束の意識浮上が意味するものはなにか?
特権階級の暴走、プロレタリア型右翼の登場の背後にある意識状況を固定し、破局後の突破口を探る。 
 
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4.経済破局の状況下で、各国・地域の秩序維持はどうなるのか? 
 
世界の国家・地域を「覇権国家(自己中度合)」、「脱貧困(私権意識の解消度合)」の2軸を立て、秩序維持の見通しをみてみた。 
 
ノート4「アメリカ崩壊後の世界、秩序が維持できるのはどこか?」から 
 
正当化観念を駆使して戦争を繰り返してきた覇権国家であるイギリス・米国、歴史的に中華帝国を形成してきた『東洋の覇権国家』である中国は、国内秩序が崩壊する可能性が大きい。

他方、戦争の歴史が短く、縄文体質の残る日本は秩序が維持できる可能性が相対的には高いといっていいだろう。また近年の格差の拡大という問題はあるものの相対的に貧富の差が小さいというのも日本が秩序を維持できる可能性を高めている。

  
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アジア・アフリカは本来、日本同様、原始的な体質が残る国々ではあるが、戦後欧米支配の結果、言いなりとなった指導者が多いこと、それもあって、今だ貧困を克服できていないため、世界的暴動は、庶民の暴動→軍事政権の樹立と国内対立の引き金を引くことになる惧れがある。

アジアとアフリカでは若干様相が異なると思う。
アジア(東南アジア・南アジア)では、農村の集団性を濃厚に残しており、それが秩序維持の基盤となる。
対して、アフリカ諸国は、欧州諸国による植民地分割による人工的な国家域であり、常に国家内の民族分裂を引き起こしている。また、商品農業の浸透で農村域が流動化しており、秩序維持基盤にならない。

ソ連崩壊の経験を持つロシア、豊かさと戦争への反省のあるヨーロッパ諸国は微妙なところではあるが、少なくとも支配層は乗り越えられると思っているだろう。

他方、貧しいながらも、欧米による覇権国家支配への抵抗免疫が強く、砂漠地帯の貧しさ故に本源性(規範性の高さ、市場依存性の弱さ、一夫多妻にみられる相対的に原始的生活風習)が比較的守られてきたイスラムは日本に次いで秩序維持の可能性が高い。
今後、イスラムの可能性を含め、各国の民族性研究が不可欠なテーマとなるだろう。

5.日本の縄文体質は大丈夫なのか? 
 
ノート5「アメリカ崩壊、日本の秩序は維持できるのか?」から

日本の欠点は、欧米支配への反省がイスラム以下という点であろうか。共認回路の方は日本人の縄文体質を信用したとして、問題は観念の方である。特に、「プロレタリア型右翼とは何者か?」「格差社会の突破口」でも検討したように、アメリカ発のネオコン思想に指導層が支配され、下層階級の一部には「排外主義」と「中産階級へのルサンチマン」が鬱積している。この潮流が社会を混乱に陥れる可能性は否定できない。
格差社会の突破口1〜永井氏の掲げるリバタリアニズムは騙しでしかない。
「プロレタリア型右翼」とは何者か?

日本は、近代社会の形成にあたって、国・社会の観念内容が欧米支配観念に洗脳されていった。明治維新では、鎖国国家・自給自足国家であった江戸社会を捨て去り、脱亜欧入とい支配観念で突き進んだ。
敗戦後は、覇権国家米国の占領下で、「自由」「民主」「個人主義」という社会観念に染まっていったのである。

もう少し、広く意識潮流を分析するならば、プロレタリア型右翼という現象は、意識潮流の一部でしかなく、「匿名空間=インターネット」によって加速された限定的な潮流である。
他方、旧来からの社会破壊分子であるところの左翼的要求運動は衰退する一方である。
人々の意識潮流は、体制破壊的な右翼化でも、左翼化でもなく、むしろ、その中間において、専ら秩序維持、安定と保守を旨とする方向へ向かっているように思われる。
節約や食糧自給への関心のたかまり、目先とはいえ試験制度へと収束し、能力収束を高めていっている流れは、明らかに一昔前の左翼的な要求主義の潮流とは真逆の実現収束、秩序収束の流れである。
勿論、この試験制度が生み出す新たな格差社会=身分社会が、プロレタリア型右翼を生み出していることは確かだが、それは実現収束、秩序収束の向かう先である試験収束が間違っているからであり、より基底部にある安定・保守収束→実現収束、秩序収束に応える、確かな実現先となる観念、社会制度(例えば、官僚制にかわる参勤交代制)を提起できれば突破可能であろう。

6.安定収束、保守収束の意識浮上が意味するものはなにか? 
 
ノート6「充足→安定・保守収束に応える実現力が問われている」から

安定・保守収束→実現収束、秩序収束のさらに根底をなすものは貧困の消滅に起因する充足収束の潮流であろう。貧困の消滅によって外圧が低下すると充足収束が上昇し、社会の安定を重視する女原理主導の社会となる。これは、弓矢の発明によって外圧が低下した採取生産時代と同じ構造である。
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勿論、試験収束→新たな身分制度が生み出す弊害である特権階級の暴走がもたらす警察国家的色彩や厳罰主義(男原理)は、安定・保守収束の基盤をなす充足収束(女原理)とは相容れない。従って、家庭の主婦の中からも「こんな無能な官僚を量産するだけの試験制度でいいのかしら」という疑問の声が聞かれるようになった。社・共はだめだけど、自民党もダメ、という意識は、「充足→安定・保守収束」が次なる収束先を探索中、ということであろう。 
 
目先に流れがちな「充足→安定・保守収束」という女原理を、確かな収束先へと導いていく本物の実現力=「男原理」が試されている。

 
劇場レポートからは離れるが、北欧諸国についての若干の考察。 
貧困の消滅、外圧低下は、北欧諸国でも生じている。しかし、これらの国家は、福祉国家実現へと向かった。 
 
外圧低下による充足→安定収束だが、その安定の単位が「個人」なのである。北欧型の安定・保守収束は、個人の安定・保守を「社会システム」が保障する仕組みへと向かったのである。中間に「社会集団」が欠落している。 
 
日本の安定・保守収束には、「社会集団」の再構築を含めて観念内容が求められるのであろう。 
 

List    投稿者 leonrosa | 2009-08-20 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?2 Comments » 

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コメント2件

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