2009-06-25

食料自立への道を探る9.南米農業国との協力関係どうする?

穀物市場を独占し市場価格を操る穀物メジャー、種子独占企業のモンスター振りは如何でしたか。農業輸入大国日本にとって、こんなモンスター穀物メジャーに対抗しうる手立てはあるのでしょうか? 
 
食料自立への道を探る9では、穀物メジャーを有すると同時に、世界のパン籠と呼ばれるアメリカに対して唯一対抗し得ると目される南米諸国の躍進の姿と、日本の取り組みを取り上げます。 
 
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 (出典:農林水産省「世界の食料需給の現状」平成19年12月) 
 
この図は農産物貿易収支額の推移を示したものです。既に貿易収支額(黒字)では南米諸国(この図では南アメリカ)が群を抜いていることが分かります。農産物輸出大国と言えます。 
 
南米農業国の中心は何と言ってもブラジルとアルゼンチンです。(中央のキューバカストロ首相は偶然です)
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   (ブラジルのルーラ大統領)             (右がアルゼンチンのフェルナンデス大統領) 
 
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南米農業国の躍進と米国との競合という視点での見解は、社団法人JA総合研究所理事長薄井寛さんの「世界の窓」から食糧問題を考えるシリーズ(その1)〜(その4)が大いに役に立ちますので紹介します。 
 
南米農業国の躍進と米国との競合(その1)
〜南米農業の躍進の背景に何があったのか〜
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国連食糧農業機関(FAO)の統計(FAOSTAT)によれば、1995 年から2005 年の間に、ブラジルなど上記4 カ国(hassii注:ブラジル・アルゼンチン・ウルグアイ・およびパラグアイ)の農畜産物輸出額は合わせて250 億ドルから520 億ドルへ倍増し、この期間における世界の同貿易全体の伸び率(48%増)を大幅に上回った。 
その結果、農畜産物の世界市場に占める4 カ国のシェアは5.6%から8.0%へ増え、その輸出額は米国にせまる勢いで増大している(1995 年の米国の農畜産物輸出額は623 億ドル、2005 年は653 億ドル)。 
特にブラジルの農畜産物輸出額は134 億ドルから308 億ドルへ大幅増。さらに、(表1)の「主要国の輸出量の伸び率」に示したように、4 カ国の主要品目をみると過去3〜4年に極めて高い伸び率で輸出が増えてきたことがわかる。 
2006 年以降の輸出の伸びが今後も続くとすれば、南米4 カ国が米国の農畜産物輸出額を追い抜くことはもはや時間の問題。少なくとも直近の金融危機が世界中に広まるまでは、「それほどの勢い」であった。

hassii注目事項:南米4カ国の農業輸出額が米国を追い抜いく。 
 
 
南米農業国の躍進と米国との競合(その2)
〜ブラジル・アルゼンチンの大豆生産費と為替変動を考える〜
リンク

90 年代に入り米国のシェアは確かに落ちてはきたが、ブラジル・アルゼンチン両国の大豆輸出が米国の地位を脅かすほどの水準に達したのは2000 年代の初め。米国の輸出量を初めて追い抜いたのは2005 年のことであった。 
トウモロコシの輸出市場でも3カ国のシェアの推移をグラフにすると、(表1)とほぼ同じようなものになる。まさに、米国と南米農業国の輸出競争にとって世紀の変わり目が大きな転換点になったのである。

hassii注目事項:大豆輸出量は、ブラジル+アルゼンチンが米国を上回る。 
 
 
南米農業国の躍進と米国との競合(その3)
〜「ブラジル・コスト」と米国の河川流通施設の老朽化〜
リンク

こうしたブラジル・アルゼンチンの輸送システムの近代化に重要な役割を果たしたのが穀物メジャー等の多国籍企業であった。 
カーギルやバンゲ、ADMなどは1990 年代に入り両国内の事業を本格的に開始。穀物・大豆農家への短期資金供与や農畜産物の集荷・加工・輸出、種子や肥料等の生産資材の販売などへ事業範囲を拡大するなかで、流通事業への進出をはかったのである。 
世界最大の穀物メジャー、カーギル社はブラジル進出でも先頭を切った。1948年に米国のロックフェラー財団との合弁企業をブラジルに立ち上げたカーギルは、1965 年に種子開発を中心にしたカーギル・アグリコーラ社を設立。現在ではブラジル最大の総合農業企業グループに発展したカーギルの現地法人がカントリーエレベーター等の集荷施設やバージによる河川輸送、港湾施設等へ投資し、まさに川上から川下までの事業統合を確立したのである。

hassii注目事項:しかし、ブラジル・アルゼンチンの農業輸出は穀物メジャーが牛耳っている。 
 
 
南米農業国の躍進と米国との競合(その4・まとめ)
〜米国農業、オバマ新政権の大型景気対策でブラジルを引き離すか〜
リンク

しかし、近い将来に「世界のパン籠」の地位がブラジルなどに奪われる可能性はないと筆者は考える。逆に今回の世界的な金融危機の深刻化が米国農業へ追い付こうとするブラジル農業を再び引き離すきっかけになると予測する。 
2009 年の1月現在、ブラジル南部とアルゼンチンの北部がラニーニャ現象の影響で1970 年代以来最悪の干ばつに見舞われている。昨年秋から年末にかけて播種された穀物と大豆の減産が危惧され、1月下旬のシカゴ先物市場では大豆価格がブッシェル当たり10 ドル水準へ押し戻される要因となった。
1月中旬にブラジル政府は2008/09 年度の穀物・大豆生産が前年度比で5%弱減ると公表したが、春の収穫まではまだ数カ月もあり、この程度の減少ではおさまらないとの観測も伝えられる。また、1月上旬にはアルゼンチンのラプラタ川の水位が水不足で低下し、大規模な穀物専用船は積載量を減らさざるをえないという問題まで生じている。 
さらに、米国のサブプライムローン問題に端を発した金融危機の影響が南米諸国の農場にまで広がった。ブラジルのセラード地域などの大規模農場は、カーギルなどの穀物メジャーから短期融資を受けて生産を拡大してきたが、金融危機と通貨リアルの大幅下落、信用収縮で、昨年末にかけての播種時期には多国籍企業の貸し渋りが起きた。また、リアル安による輸入生産資材の高騰で肥料の投入量が減り、単収減につながるとの見方もある。 
通貨不安とインフレがさらにすすめば、欧米企業の資本流出に拍車がかかり、「ブラジルの農業ブームは終わった」とする一部の悲観論が現実味をおびてくる。

理事長の読み方によれば、ブラジルやアルゼンチンも「世界のパン籠」アメリカの地位を奪うことは出来ないとの見解だ。むしろブラジルやアルゼンチンの躍進の裏に穀物メジャーの投資があり、金融危機によって打撃を受けるだろうとの予測だ。 
 
 
両国の農業政策はどうか? 
 
ケアンズグループに所属し、EUやアメリカの補助金付き農産物輸出を強く非難しているのが特徴だ。
ケアンズグループリンク 
 
ブラジル農業政策の特徴は、民間資金の導入、河川・道路・鉄道の輸送路開発整備等インフラによる運搬コストの削減、新しい農業地の拡大 を図っていることだろう。 
 
農林水産省>海外農業情報>ブラジルの農業概要に概要が示されている。
リンク 
 
アルゼンチンの農業政策の同様である。
リンク 
 
 
農業輸入大国日本はどうすれば良いのか?日本人として最も危惧する課題でもある。食料安全保障を考える上で、南米農業諸国との関係をどのように結べべきか?多いに悩ましいところだ。 
 
最後にJICAや総合商社の活動を通して日本の対応を見ておきたい。 
 
まずJICA(国際協力機構)の姿勢は、ブラジルセラード農業開発協力事業などを踏まえ、食糧安全保障確保を明確に意識して対応している。(だが、さらに戦略的になる必要があるかも?と思ったが)
リンク 
 
続いて、世界に誇る日本総合商社はどうしているか?南米の資源価値として(工業資源ばかりでなく)農業生産物も重要な位置づけとし事業への投資を行っている。 
 
三井物産の事業展開。
「世界で最も生産余力があるといわれるブラジルに注目してきた。そして2007年、広大な農地を保有するブラジル企業に出資、グローバルな食糧需要に対応する農業生産事業参入への第一歩を踏み出した」
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丸紅もブラジルやアルゼンチン企業との包括的提携を強めている。
「丸紅株式会社およびAMAGGI社(ブラジル マトグロッソ州)は、包括提携合意書を締結し、各分野での協力体制を強化することで合意致しました」
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ブラジルに先立つ。「アルゼンチンの大手総合食品企業MOLINO CAÑUELAS社との包括提携」
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「世界的な穀物商であるアグレンコ・グループとの間で、南米産穀物に係る日本・東アジア向けの10年間の優先的販売権を取得することで合意」
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JICAや商社がそれなりに動きだしているが、国家レベル・政府レベルで動き出している中国に比べると、出遅れていると感じるのです。 
 

List    投稿者 hassii | 2009-06-25 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?9 Comments » 

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