グローバル経営の落とし穴〜誤った経営方向性への警告〜
最近、日本のあらゆるところで不祥事やミス爆発が続発している。
一流企業の製品だから「信頼できる」という時代は、すでに終わってしまったのかもしれない。
例えば、年間21兆円(日本の国家予算の約4分の1)の売り上げを誇り、全上場企業のなかでダントツの広告宣伝費(年間1千億円以上)を誇っている世界企業トヨタ。
しかし、実は驚くことに欠陥率100%、それも3年連続で100%を超えている。
リンク→ トヨタのリコール台数と販売台数の推移(国内)
欠陥率100%とはどういうことかといえば、売っている台数よりも、リコール届出で回収・修理しなければならない欠陥台数のほうが多いという状態のことである。
←路上で炎上したトヨタ車
売り上げを伸ばしているとはいえ、なぜこのようなことになってしまったのだろうか?
市場が縮小する現代で、企業が生き残るためにとった戦略=「グローバル経営」に大きな落とし穴があるようだ。
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市場が縮小していく現代社会では、国内だけの需要では到底売り上げを伸ばしていくのは困難である。そのため企業は生き残りをかけ、生産基盤を海外に移転し、「リストラ」や「コストダウン」を推し進め、「グローバル経営」をひたすら目指している。しかし、悲しいかなその努力もむなしく、今まで日本が築き上げた「技術に裏付けられた信頼性」は徐々に崩れ始めているのだ。
「株式日記と経済展望」〜トヨタ自動車の欠陥車の爆発的増加はアメリカ式経営が原因だ〜←リンクの投稿に注目したい。以下転載
日本経済が抱えている問題点をトヨタ自動車に例をとれば分かりやすいと思う。行きすぎたコストダウンが部品の信頼性を低下させて、従業員の未熟練化が進んだ事で欠陥車を爆発的に増大させている。部品の信頼性が低下したのはアメリカや中国に部品工場を展開させて、国内においても過酷なコストダウンが欠陥部品を生んでいる。
トヨタ自動車本体や系列化の子会社では利益が増大しているにもかかわらず賃上げは低く、非正規社員の増加が組み立てや欠陥部品を生んでいるのだ。輸出企業全体でもユーロ高などで笑いが止まらないほど儲けているのに従業員の給与は上がらなかった。上がったのは役員などの報酬などで所得格差が広がっている。これは従業員のモラルの低下を招く。
確かにミクロ経済で見ればトヨタ自動車で従業員の低賃金化を続ければ会社の利益は増える。しかし低賃金で働く多くの従業員は自動車を買うことが出来ずに、マクロ経済から見れば正しい経営方法ではない。労働組合の賃上げストはもはや死語になってしまった。「ストをすればトヨタ自動車は中国に移転する」と脅せば組合はストを自粛せざるを得ない。
グローバル経済が進んで日本企業は猫も杓子も中国に進出して国内工場をたたんできた。しかし中国も国内開発を優先する為には元を切り上げて行かなければならないし、従業員の賃金もうなぎのぼりに上がってきている。もはや中国に進出してもコスト削減にはならないのですが、こうなる事は株式日記でも何度も書いてきた。
トヨタ自動車の車種の中には中国製のエンジンが積まれているものがある。このように中国製やアメリカ製の部品が使われるようになれば、生産性は上がるが製品の信頼性は落ちる事になる。一昔前のトヨタの自動車は高品質で売れてきたのですが、最近は欠陥車のリコールが爆発的に増えている。しかしテレビなどではこのようなニュースは報道されない。
日本では構造改革と称して規制緩和が行きすぎて、従業員を対象としたリストラが進んだ。国際競争力をつけるためには当然の政策ですが、利益が上がっているにもかかわらず従業員へ所得が転移せず役員報酬や株式配当に使われるようになりました。アメリカ式の経営手法が日本企業でも実践されて従業員のリストラが進むようになりました。
しかし非正社員化も裏目に出てきて、景気が拡大してくると熟練労働者の人材不足が露呈してトヨタ自動車のような欠陥車続発を起こす事になる。キャノンなども偽装請負などで非正社員化が進んで業績は好調なようですが、トヨタのような欠陥商品を続発させる基盤は出来ている。確かに正社員より派遣社員や請負社員の方がリストラしやすいが質は必ず低下する。
アメリカのような新自由主義経済を真似たのではアメリカのように生産の空洞化を招くだけであり、情報産業や金融産業だけでは一国の経済は成り立たない。ドルをいくら切り下げても海外に出た工場はアメリカ国内には戻らないし戻れない。なぜなのだろう?
アメリカでは中国製品なしには生活が出来ない。しかし中国製品への信頼は低下してきている。熟練労働者はいったん消滅すると再生する事は困難なのかもしれない。アメリカにしても中国にしても熟練労働者を養成する風土に向いていないからだろう。労働者の流動性が激しいからだ。中国では1円でも給料が高いと他の工場に移ってしまう。日本にこのような風潮が出来たら元に戻る事はないだろう。
日本はあくまでも生産工場は国内に止めておくべきだろう。そうしないとアメリカの二の舞いになるだけだ。品質で勝負すれば日本製品は世界に勝ことが出来る。トヨタやキャノンはどちらの道を選択するのだろう。欠陥車の大量リコールはトヨタにとっては悪しきグローバル経営の警告にもなっている。
転載終わり
このようなトヨタの不祥事は、誤った経営方向性(悪しきグローバル経営)を示す警告になるのは間違いないだろう。そして、グローバル化を推し進めている企業は、いずれ同じ問題に直面することになる。
市場原理にまかせた経営方針をとっているだけでは、もはや企業は集団(企業)を統合しきれなくなっている。
それどころか、国内の技術や人材の能力も劣化し、企業の底力は国内外から崩壊しつつある状況に置かれている。
そもそも、市場があって経営があり、企業が成立しているのでは無く、集団(企業)があり、健全な経営(生存方針)があって、市場(企業や製品への信頼性)も形成されるのではないだろうか?
市場原理にまかせた経営方針をとっていく限り、企業の寿命を伸ばすどころか、このままでは逆に寿命を縮める結果になりかねない。
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コメント3件
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