2011-04-14

経済破局を超えて、新しい政治経済への仕組みへ 第14回 アングロサクソン資本主義を超えて震災復興を

今回の大地震、大津波による被害からの復興には、巨額な資金が必要になります。災害復興に対しては、全国民は積極的な応援の構えをみせています。勿論、復興に必要な国家資金の投入についても、賛成が多数を占めています。 
 
 rikuzentakada.bmp 
 
陸前高田市の広田湾の被災状況。
写真は、河北新報の津波“挟撃”半島分断 陸前高田・広田半島で「水合」からです。 
 
震災復興の第一次補正予算が組まれようとしています。その姿勢は、財務省主導のケチケチ路線です。 
 
復興資金を日本は十分もっています。既存のマネーフローを大転換させれば、復興資金は生み出せるのです。 
 
今回は、タブーとなっている外国為替特別会計の米国債(海外資産)を復興資金に使う手立てを考えてみます。 
 
勤勉な日本が、戦後営々と稼ぎ、蓄積してきた富の一部が、海外資産です。この資産を、救国のために使わなくてどうするかです。 
 
そして、より根本的な問題点と解決策を考えてみます。 
 
1.震災被害と復興資金は数十兆円が必要 
2.政府が管理する海外資産・外為資金の半分を引上げ、50兆円を生み出す 
3.アングロサクソン資本主義=民間銀行の信用創造を破壊し、中央銀行を国有化すれば、すべては解決 
4.復興資金は、社会集団・共同体の再生にこそ使う 
 
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1.震災被害と復興資金は数十兆円が必要 
 
国民新党の亀井静香代表は、復興資金として100兆円を用意する必要があると主張しています。復興資金としてどれぐらいが必要なのでしょうか。 
 
阪神淡路大震災からの復興との比較で、同志社大学の林敏彦氏が被害総額15〜20兆円という試算を発表しています。 
 

[東京16日ロイター] 震災被害検証など公共政策・ミクロ経済学が専門の林敏彦・同志社大学大学院教授は16日、東日本大震災の被害総額について、阪神淡路大震災を上回る15〜20兆円と推定されるとした。 
 
復興費用には、土地の浸水被害などが大きいことから民間資金よりも国の財政支出のウエートが阪神淡路大震災当時より高まるとみて、総額で7.5兆円程度の財政支出が必要になるとの分析を示した。 
 
林教授は、阪神淡路大震災の復興ファイナンスなどの研究実績があり、現在は「ひょうご震災記念21世紀研究機構」の研究統括を兼任している。 
 
今回の大震災での被害総額について、林教授は死者の数が1〜2万人にものぼる可能性も報じられており、阪神淡路大震災当時の6000人を大きく上回ることや被害地域が広域にわたることなどから、阪神淡路大震災を上回ると見ている。 
 
「阪神淡路大震災では、インフラや建物などの直接被害は10兆円程度だったが、今回は15─20兆円にのぼる可能性がある」と分析。国内総生産(GDP)に対する被害総額の割合は、関東大震災と伊勢湾台風に次いで大きくなる可能性があると述べた。 
 
また林教授は、復興段階の付加価値ベースの事業費用は、阪神淡路大震災の時には約8兆円と推定している。うち民間資金が7割、公的資金は3割だったことから、復興段階での民間資金の役割が大きかったと分析。しかし今回の大震災では、「土地の被害状況からみて、阪神淡路大震災よりも公的資金の割合が高くならざるを得ない」と見ている。 
 
こうした被害総額の大きさや復興段階での国の支援の必要性からみて、国の財政資金の投入は、阪神淡路大震災の際よりも大きくなりそうだと林教授は指摘する。 
 
阪神淡路大震災の際には、5年間で5兆円が震災対策として支出されたが、「今回は国の支援の割合が高くないと難しい。財政資金は阪神淡路大震災の際の1.5倍程度は必要になるだろう」と見ており、7.5兆円程度にのぼる可能性もありそうだ。 
 
大規模な震災対策財政支出の財源について、林教授は「消費増税や復興国債の発行などが考えられる」とした。復興国債は関東大震災の時に発行され、海外投資家にも購入を要請したが、発行条件は日本にとって著しく不利だった。林教授は今回、復興国債を発行するとしたら、日本の財政への信認が低下しているもとで「発行条件が厳しくなる恐れもある」と指摘した。 
 
インタビュー:大震災の被害総額15〜20兆円=林同志社大教授

林氏の試算は、3月15日段階で行なわれていますが、その後、人的被害と産業被害がより大きい事が確認されて行っています。 
 
ですから、被害総額は、林氏の試算である15〜20兆円では納まらずに、数十兆円(30〜40兆円)或いは50兆円を超える可能性もあります。 
 
一方、近代経済学者(市場主義者)である林氏は、復興国債については、昔の関東大震災の事例を持ち出して、復興国債による資金確保は難しいとしています。 
 
しかし、本当にそうでしょうか。林氏が意識的に避けている、日本の海外資産、とりわけ外国為替特別会計がもっている海外資産(米国債)をあてれば、数十兆円の資金は生み出せます。 
 
 
2.政府が管理する海外資産・外為資金の半分を引上げ、50兆円を生み出す 
 
政府が、米国債を大量に保有している仕組みは以下の通りです。 
 
政府(財務省)が、貿易決済に必要な外貨を手当しているのが「外国為替準備特別会計」(以下、外為特会と略す)です。戦後の外貨(ドル)が乏しい時に、民間に代わって政府が外貨を保有してきたのです。 
 
80年代以降の円高基調に対して、為替介入(円高の阻止、ドル安の回避)として、この外為特会を使って、ドル買介入を繰り返しました。 
 
ドル買介入は、円を手当し、その円でドルを買う行為ですので、国内から何兆円もの円を政府が調達する必要があります。 
 
80年代は、既に政府に資金余力がなくなっているので、円の調達は、3ヶ月ものの『政府短期証券』を発行して調達しました。買い手は、銀行・生保・JA等です。 
 
その仕組みは以下の通りです。 
 
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外為特会は、ドル買介入するほど、『政府短期証券』という債務(借金)が膨らむのです。 
 
21年度末の外為特会の規模は、総額115兆円、『政府短期証券』の発行残高は106兆円です。保有する外貨(外貨預金、外貨貸付、外貨証券=米国債)は、87兆円(1兆ドル超)です。
リンク 
 
政府(財務省・外為特会)は、民間部門(銀行、保険会社)から100兆円もの資金を調達し、米国政府とドルを支えているのです。 
 
外為特会は、弱体な民間部門に代わって外貨を確保するのが目的であり、民間部門が力をつけた現在は、大幅に規模を縮小できます。 
 
政府として確保しておく外貨は、数千億ドルの規模で十分です。しかしながら、日本政府の保有する外貨が、実質米国政府支援、ドル支援を担っているので、外為特会の縮小ができなくなっているのです。 
 
以下のプロセスで、外為特会を縮小し、その資金を復興資金に振り向けることが可能です。 
 
外為特会の米国債を5千億ドル、6千億ドル売却し、それに相当する40兆円、50兆円の『政府短期証券』を償還する(民間に資金を返済する)。 
 
そして、この民間資金40兆円、50兆円を「震災復興国債」として、改めて調達し、復興資金として活用する。 
 
やろうと決断すれば、日本政府が管理する外国資産(外貨)を、今回の復興資金に振り向けてことができます。 
 
しかし、市場原理主義、アングロサクソン資本主義に現在の政府、財務省、経済学者は洗脳されて、外為特会もその元で運営させています。彼らは、決して、外為特会に縮小には動かないでしょう。 
 
 
3.アングロサクソン資本主義=民間銀行の信用創造を破壊し、中央銀行を国有化すれば、すべては解決 
 
アングロサクソン資本主義が、政府と国民からどのように権限と富を奪っているかみてみましょう。

私は最新書「アングロサクソン資本主義の正体」を読んでまさに「目からうろこ」の感動を覚えました。 
 
ビル・トッテン氏はこの本で「アングロサクソン資本主義」の「根本的な欠陥」を探し当て根底的な批判とそこからの脱出方法を明らかにしています。 
 
彼の言う「アングロサクソン資本主義」の根本的な欠陥は、国家(政府)が「マネーの創出権と破壊権」を民間銀行に委ねてしまっていることなのです。民間銀行が勝手に「信用創造」することでバブルが発生し、勝手に「信用破壊」することで恐慌が起こるのです。 
 
バブルと恐慌が周期的に繰り返されるたびに犠牲となるのは常に一般大衆と国家(政府)であり、民間銀行は肥え太る構造になっているのです。 
 
ですからこの「アングロサクソン資本主義」の「根本的な欠陥」を取り除けば、今世界中の国民が苦しんでいる苦難(不景気、失業、借金、自殺、就職 難、貧困)が解決されるのです。民間銀行から「信用創造・破壊権」を取り上げ中央銀行を国有化すればすべては解決するのです。 
 
民間銀行から信用創造・破壊権を取り上げ中央銀行を国有化、すべては解決する! 

民間銀行(ウォールストリート、ロンドンシティ、東京の民間銀行)がもっている信用創造(マネーを生み出す仕組み)とそれを支えている中央銀行の仕組みを、中央銀行の国有化を介して破壊すれば、問題は解決するとビル・トッテン氏は主張しています。

以下に本の中で重要と思われる部分を抜き出して箇条書きしますのでお読みください。 
 
(1) 多くの人はマネーお金は政府、あるいは中央銀行がつくっているものだと思っていることだろう。しかしそれは大きな勘違いなのだ。マネーは民間銀行によってつくられ市中にばらまかれている。マネーサプライを決定するのは政府や中央銀行ではなく民間銀行なのだ。 
 
<以下一部略:レオン> 
 
(3) むしろ現在では銀行にマネーの創出と破壊を委ねていることによる弊害が顕著になっている。1930年の世界大恐慌も日本のバブル経済の派生とその崩壊もアメリカのITバブルもそして今回のリーマン・ショックも銀行がマネーを創出権を握っていることが根本的な問題だ。 
 
(4) この金融システムの欠陥は私たちの暮らしに重大な影響を与えている。景気の動向によって勤める企業の業績が左右され、収入が増減するのはもちろんのこと、カジノ経済の甘い誘惑によって人生の歯車を狂わされた人は決して少なくない。 
 
(5) 「信用創造」とは何か? 
 
ある人が銀行に100万円を預金した。銀行は預かったお金を貸し出すわけだが、預金者が預金の引き出しをする時のためにある程度のお金は プールしておかねばならない。その割合は決められているのが法定準備金というもので、この法定準備金が仮に10%だとすると、10万円を取っておいて残り90万円を貸し出せる。 
 
そこで銀行は90万円をA社に貸し出し、A社の口座に90万円を振り込む(ここで振り込むというのは、前述したようにコンピューターの端末を叩いて90万円と記入するだけだ。)銀行は90万円の預金のうち10%の9万円を残し、81万円をB社に貸しだし、B社の口座に81万円を振り込む。さらに、81万円の預金のうち90%にあたる72万9000円を貸し出しに回し・・・ということを繰り返していくと、およそ1000万円の通帳マネーを生み出すことができる計算になるのである。 
 
(7) さらに言うなら、信用創造と言えば聞こえはいいが、銀行に入ってきた現金は最初の100万円のみで、増えていった預金残高は銀行が通帳と帳簿に記載しただけだ。銀行は100万円の現金から1000万円を生み出したことになる。そして、無から生み出したお金に利子をつけて貸しているのである。 
 
(9) 信用創造というシステム、または帳簿マネーというのは、主に貸出しベースであり、最初は数か国だけで行われていたが、今では全世界で行われている。その結果、通帳マネーの増減が好景気や不景気に及ぼす影響の大きさは過去にないほど大きくなり、世界的に悲惨なものになる可能性がある。このシステムを変えない限りそれは計り知れない脅威を私たちにもたらすことになるであろう。 
 
民間銀行から信用創造・破壊権を取り上げ中央銀行を国有化、すべては解決する!

震災復興の財源論は、民間銀行に信用創造(マネーサプライの増減)を委ねている、アングロサクソン資本主義からの根本的決別を合わせて行なう必要があります。 
 
日本銀行の国有化、政府紙幣の発行を介してです。 
 
そうでないと、復興過程で、民間銀行・金貸しがまた肥え太ることになります。 
 
4.復興資金は、社会集団・共同体の再生にこそ使う 
 
また、復興資金は、破壊された社会集団の再生に向けて、使っていく必要があります。

今一般の人々は、人が生きていくためには支えあう仲間が必要で、お互いに支えあうという行為自体が、何にも勝る充足の源であるという状況になっています。そして、この悲劇的な震災を体験した人々は、ますますその意識が覚醒しているように見えます。これが、暴動のおきない本当の理由です。 
 
そうであれば、まず真っ先に必要なことは、お互いに支えあうことを実現する基盤である共同体の再生です。具体的には、自らの町をどのように復興していくのかを考えを実践していく組織を作ることです。そして、それを実現するための資金を彼らに提供することです。 
 
そうすれば、彼らが未来に向けて考えることや復興にかかわる具体的な作業を行うことなど、すべての復興活動を収入のある仕事=みんなの役に立つ役割、として位置づけることができます。そうすれば、何十年先の物的復興をまつこともなく、今すぐにでも仲間とともに未来を切り開いていくという充足から、心の復興が実現します 。 
 
本当の復興政策は共同体の再生を支援すること

 
 
アングロサクソン資本主義は、お金を扱う事を特権階級(民間銀行、政府・経済官僚、マスコミ、経済学者)が簒奪している社会です。
この社会では、国民の復興支援への想・資金拠出は、彼らの力を強めることにしかなりません。 
 
彼ら特権階級がタブー視している「外為特会」の数十兆円を、国民監視のもとに、復興資金に転換させ、その資金を元にして、社会集団・共同体の再生、破壊されたインフラの再建を行なっていく必要があります。 
 
次回は、このような大転換が可能である、日本人の特異性・縄文体質について扱います。 
 

List    投稿者 leonrosa | 2011-04-14 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?2 Comments » 

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