2009-06-27

“夢”か“悪夢”かマグネシウム・エネルギー社会

6月13日のエントリー「新エネルギー:マグネシウム(Mg)の可能性を探る!」で予告したとおり、今日はこの新エネルギーを追究してみたいと思います。
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この車、水素で走ります。(写真はウィキペディアよりお借りしました)
まだ市販はされていませんが、実はこの車、現在爆発的に売れているハイブリッド車とは、ちょっと次元の異なる可能性を秘めた車なのです。
ん?
本当かって??
最後まで読んでいただければわかりますよ 🙄                                        
■水素はエネルギーにできるのか?
さっきの車のエンジンはガソリンの代わりに水素を燃やせるように改造したものです。ハイブリッド車のような特殊な機構はもってません。
そうです。
水素さえあれば現在の技術で比較的簡単にエンジンは動かせるのです。
もちろん、エンジンが動きさえすれば発電機も回せますので電気も作れます。
しかし、この水素を作り出すのが難しいんですね。
現在は天然ガス(メタンガス)を分解するなどして作ってますが、
だったら天然ガスをそのまま使えばいいじゃん、ってことであんまり主流にはなってません。
また、供給インフラも整備する必要があります。
ガソリンスタンドの代わりに水素ステーションもいりますし、
家庭や工場へは水素パイプラインを整備しなければなりません。
ん〜、かなり無理っぽいですね。。。
                                                                  
■水を分解して水素を作る
こうした水素エネルギーのもつ課題を、一気に解決するのが「マグネシウム・エネルギー社会」の肝なんです。
水素は水からも作れます。
H2O(水)からO(酸素)を奪えば、H2(水素)になるからです。
簡単ですね。
そしてこの水の分解に使用するのがマグネシウムです。実験室でもできます
そういえば、理科の実験でやったことがあるような気が。。。
とにかく、マグネシウムがあれば(←水はあるので)水素が手に入るってことです。
                                                                  
■マグネシウムはどこにある?
現状では、小川遊水地@blogさんによると

マグネシウムを燃料とみなせるといっても、それ自体の産出量が少ない。現在、マグネシウムの多くは、中国で多量の石炭を消費して精錬されている。おびただしい二酸化炭素を排出するし、価格も安くはない。燃料として使うのは難しい。

ということなので、何か他の手段を講じる必要があります。
もっとも可能性があるのは海水です。
海水を天日で干せば「にがり」ができますが、この中の塩化マグネシウムを分解してマグネシウムを精製すればいいんです。
しかし、「にがり」からマグネシウムを精製するにも多大なエネルギー(熱)を要するようです。
(どのくらい必要なのかは、調べましたがわかりませんでした。研究中?知っている人いましたらお願いします。)
                                                                    
■太陽表面温度を超える温度を地球上で作り出す!
この膨大な熱(←たぶん)が必要となるマグネシウム精製に、太陽光を活用しようというのが、東京工大:矢部 孝 教授の考えです
太陽光をレンズや反射鏡で集めれば高温は作り出せます。2000度から3000度までは達成できるようです。しかしこの温度ではマグネシウム精製は難しいようです。
そこで、これをさらに上昇させ、太陽表面温度6000度を超える2万度という超高温を作り出そうというのが「太陽光励起レーザー」という技術です。
この超高温を使ってマグネシウム精製を行おう、ということですね。                         
                                                                             
■波長を整理しエネルギー効率を高める!
エネルギーというのは「波」です。光にせよ、音にせよ、熱にせよ、すべて「波」として伝達されてゆきます。
しかし、実際のエネルギー=「波」は、さまざまな波長が混在しているので、お互いが干渉しあっています。そして干渉することで打ち消しあい、ロスを生じています。
太陽光も例外ではありません。
なので、より効率的にエネルギーを取り出すためには、干渉を起こさせない工夫があればいいわけです。
そしてこの波長の混在を整理し、同一の波形に収斂させた光が「レーザー」なのです。
つまり「太陽光励起レーザー」とは、太陽光の特性にあったレーザー媒質を開発し、極めて効率的に太陽光エネルギーを活用する技術、ということになります。
太陽表面温度6000度を超える2万度という超高温を作り出す秘訣はココにあります。
※「レーザー」について、もっと知りたい方はこちらがわかりやすいです。                                              
                                                                      
■太陽光エネルギーの貯蔵庫としてのマグネシウム
                                                             
マグネシウムと水を反応させると水素が手に入る、というのは前述のとおりですが、同時にマグネシウムは酸素元素と結合して(すなわち酸化して)酸化マグネシウムになります。
この酸化マグネシウムから酸素を奪えば(すなわち還元させれば)もとのマグネシウムと水に戻ります。
そして、両者を反応させれば水素と酸化マグネシウムに、、、、
と永遠に続きます(笑)
この還元過程にも多大なエネルギーを要するため、これまではこのサイクルが現実的ではありませんでした。ところが、ここにも「太陽光励起レーザー」による超高温が活用できるらしいのです。
すなわち、太陽光エネルギーを超効率的に取り出せる「太陽光励起レーザー」技術が確立できれば、マグネシウムの酸化⇔還元を継続でき、あたかも永久機関のように燃料(水素)を得ることができる、ということになるのです。
すごいですね。
実際には太陽光エネルギーを超効率的にマグネシウムに貯蔵している、ということですが。(なので永久機関ではありません。悪しからず。)
 
■燃料不要!
ここで最初の車を思い出してください。
あの車に、マグネシウムと水、太陽光励起レーザー装置を搭載すればどうなるでしょうか?
太陽の光さえ当たっていれば、何の補給もなしに走り続けることができますね。
昼間のうちに必要なマグネシウムを確保できる容量があれば、もちろん夜も走れます。
走行中にできる酸化マグネシウムは還元され、水はそのままで、それぞれが再利用されるため、理論的には廃棄物は出ません。
もちろん、エンジンを大型化or多数設ければ発電所にも使えることも、冒頭に掲げたとおりです。                                                                      
                                                             
■通常の太陽光発電とどこが異なるか?
繰り返しになりますが、「太陽光励起レーザー」による超効率的な太陽光エネルギーの活用、という点です。
波長が混在したままの太陽光エネルギーを使用しようとする、既存の太陽光発電とは立脚点の次元が根本的に異なる、ということができます。
それはすなわち、端末の装置規模やその製造コストにつながってゆきます。すべての投資が劇的に縮小する、ということです。
もちろん、今後の研究に期待される部分はまだ大きいですが、理論上は実に画期的で可能性に満ちたモノだと感じます。
■一番のメリットは何か?
市場原理という、悪魔のサイクルに強烈なブレーキをかけられることです。
当面のイニシャルコストは必要ですが、前述のように最小限に抑えることができるでしょうし、なにしろ
ランニングコストがかかりません。
さらに付け加えるならば、環境破壊が急激に縮小するため、これに便乗した環境ビジネスが悉く不要になることが挙げられます。
金貸しの寄生する市場はすでに縮小段階に入っていますが、残されたよりどころである「エネルギービジネス」とその対になっている「環境ビジネス」がなくなってしまう、ということです。
つまり、大衆にとっては『夢のエネルギー』
金貸しにとっては『悪夢』ということです。 😈 😈 😈
こりゃ、間違いなく妨害されますね、金貸し&そのシモベたちに。
ハイブリッド車や太陽光発電にマスコミ報道が集中しているのは、そのハシリかも知れません。
気をつけましょう。

List    投稿者 ohmori | 2009-06-27 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?1 Comment » 

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コメント1件

 Felli Fellie | 2009.12.30 20:40

>そうした事態に対し、本来そういった社会問題に答えを出すべく統合階級(政治家やマスコミ)は一向に答えを出そうともせず、傍観者を決め込んだままだ
日本を良くするために答えを出すべき人たちが傍観者になっている。
この人たち、このこと自体が問題だと気付いてないのかな?
どうしたら気付かせられるのでしょう??
認識形成は遊びではなく、社会に役立つ・みんなのためになる生産活動だからこそ、本気で取り組むことができるんだと感じました。
答えの供給者を増やし、社会をより良く変えていくために。私たちができることをもっと知りたい・やっていきたいです。
今後の追求、楽しみにしています☆

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