金貸しは日本をどうする?〜日本の状況(5)外資系企業流入による市場支配と民族崩壊を画策する金貸し
このシリーズを通して横断的に存在するテーマとして、「外資誘致」がある。なぜ日本政府は外資系企業と外国人の受け入れを推奨しているのか?
最近の日本政府の動向から金貸しの目論見について読み解いていく。
■外資誘致によって日本経済にもたらす「表向き」のメリットとは?
そもそもなぜ外資誘致が望ましいのか? 一般的に言われているのが、外資系企業の生産性は日本企業よりも高いとされており、外資誘致を促進することで、生産性の高い外資系企業の経営ノウハウや技術が国内企業に移転されるメリットがあると言われている。
更に諸外国からの対日投資は、日本経済に新たな風を吹き込む原動力となり、地域経済の活性化、生産性向上による国内生産の押し上げ、ひいては雇用の拡大といった好影響が期待されるという。
つまりは「経済と雇用の安定」のための外資誘致。
果たして本当にそんな良い事ばかりが起きるのだろうか?
日本政府は外資誘致のために、「外資系企業」と「外国人」に対し優遇措置を講じている。まずは実際の施策を見ていこう。
■「外資系企業」に対する優遇措置
消費税増税で大衆の消費マインドが冷え込む中、外資誘致のための法人税減税を断行。今後も更なる減税を提唱している。
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法人税減税 (金貸しは日本をどうする?~日本の状況(2)税制改革で貧富の格差拡大と外資系企業の参入促進より) 日本は欧米企業と比べるとほぼ同等の税率だが、アジア諸国と比べると10%以上高い税率になっている。法人税をアジア諸国の水準に合わせることで外資系企業が参入しやすい法整備を進めているといえる。政府は法人税の実行税率を20%台に引き下げることを計画している。
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2014/9/5 甘利経財相、法人税「5年で6%弱下げる」(日本経済新聞 電子版より)
■「外国人」に対する優遇措置
さらには「移民政策」とも取れる外国人誘致にも積極的だ。 高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇制度 平成24年5月7日より、入国する外国人の活動内容を、「高度学術研究活動」、「高度専門・技術活動」、「高度経営・管理活動」の3つに分類し、それぞれの特性に応じて、「学歴」、「職歴」、「年収」などの項目ごとにポイントを設け、ポイントの合計が一定点数(70点)に達した外国人を高度人材とみなし、出入国管理上の以下のような優遇措置を与え、受入れ促進を図っている。
- 複合的な在留活動の許容
- 在留期間「5年」の付与
- 在留歴に係る永住許可要件の緩和
- 入国・在留手続の優先処理
- 配偶者の就労
- 一定の条件の下での親の帯同
- 一定の条件の下での家事使用人の帯同
国家戦略特区においては更なる優遇措置を導入予定だ。
■国家戦略特区内における「高度人材」以外の外国人優遇措置
国家戦略特区では、 たとえ「高度人材」ではなくても、2つの職業の外国人について優遇措置を検討している。
外国人家事労働者(家政婦)
安倍内閣が打ち出した成長戦略に、「女性が輝く日本へ」というものがある。その中に女性の就労を支援するため、国家戦略特区において在留資格のない外国人にも家事労働者に限り在留を認めるとしている。ただし家事代行サービス会社が外国人労働者を雇用して一般家庭に派遣することになり、個人での契約はできない。詳しい条件は現在検討中ということだが3年といった期間限定とされている。
外国人造船・建設就労者
2020年オリンピック・パラリンピック東京大会関連の建設需要に適確に対応するため、「緊急かつ時限的な措置」として外国人建設就労者を受け入れる。従事期間は2年間(外国人建設就労者が建設分野技能実習を修了して国籍又は住所を有する国に帰国後1年以上が経過している場合においては、3年間)を超えないこと、とされている。人材不足で喘ぐ造船業界にも適用される予定だ。
こうした単純労働の外国人流入を認めるこの政策には反発意見が大多数を占める。特に建設分野では安い労働力となり得る外国人就労者によって起こるであろう「日本人の低賃金化」が最も懸念されていることが大きな理由だ。
ここにきて「低賃金化」の議論に対し、政府から以下のようなものが発表された。
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造船・建設、「日本人並み給与」義務化へ 外国人労働者で政府(日本経済新聞 電子版より)
政府は来年度から受け入れを拡大する造船・建設業の外国人労働者について、同じ技能を持つ日本人と同等以上の給与を保証するよう企業に義務付ける。技能が似ている両業種で待遇面で足並みをそろえ、人材の受け入れで偏りが出ないようにする。3年間の技能実習で一定の技量を身につけた外国人が対象で、来年4月に運用を始める。
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たしかに日本政府は今年春に安倍首相自らが経団連に対し、賃金水準を一律に引き上げる「ベースアップ(ベア)」を打診するなど、賃金はむしろ上げたいはずである。なぜなら「低賃金化」が起こればインフレターゲット2%の目標に対しても実現性は低くなり、東京オリンピックまでの上昇基調を演出することは更に困難を極めるからである。
ではこのアナウンスにより、どんな事が起こるのだろうか?
日本人と同等の賃金を支払う義務、つまり途上国の外国人労働者からすれば一定の技能さえあれば「円」で多額の賃金が支払われるということである。これは移民が爆発的に増える可能性を示唆している。 企業が増え人が増え、国内で生産と消費が行われれば自ずとGDPは上昇する。こうして日銀までもが担保すると公表している東京オリンピックまでの「見せかけ景気」は創出されていくだろう。
■移民政策により起こる日本経済の空洞化
こうした外国人が経済指標の数値底上げをする一方で、日本の造船・建設業界は外国人労働力に依存せざるを得ない状況を迎える。抜本的な対策無く、その依存が進めば今度は「技術」が海外へと流出していく。
つまり数値上の景気動向は上向きだが、実態的には日本企業は国際競争力を奪われ弱体化する構図である。 当初に掲げていた外資誘致のメリットである、「生産性の高い外資系企業の経営ノウハウや技術が国内企業に移転される」というものとは全く逆の現象が起こり得ることとなる。
そして、国家戦略特区にはもう1つの側面がある。正規社員の解雇規制緩和論の導入だ。非正規雇用者(いわゆる派遣)の立場が弱く、企業がその派遣に依存するのは正社員の解雇要件が厳しいためであり、解雇しやすくすることで正社員と派遣の格差を是正し、柔軟に正社員雇用が出来る環境を目指している。一見すると聞こえは良いが、結論的には企業は社員を「解雇しやすい」環境を作るのである。
「労働力依存・技術流出・解雇要件緩和」の3つが合わさった日本の市場は、外資台頭でアメリカの市場原理が加速度的に伝染し、むしろ大衆の格差は拡大していくだろう。
しかし、一時的には外国人労働者によって生産力が補完され、各企業の売上は間違いなく上がる。こうした成功事例を基に「特区」という限定的なモデルから逸脱し、建設・造船業界や家政婦だけに限らず、「人手不足の業界」という植え付けに成功している介護や外食産業、サービス業など様々な業種に外国人雇用を推奨し、業種拡大・エリア拡大を繰り返していくことが予想される。
■外資誘致へ仕向けるキーマン
この外資誘致・移民政策を最も推し進めているのが、モルガン・スタンレーMUFG証券の日本担当チーフアナリスト、であり東欧ユダヤ系のロバート・フェルドマン氏である。
小泉政権時代から小泉・竹中氏両名とも交流は深く、有識者会議での発言力は強い。実際に2013年7月5・8・17・19日に行われた国家戦略特区ワーキンググループでは他者との共同提言も含め、実にフェルドマンの提言が約1/3を占めている。
実際、移民政策を推進しているのはほぼ彼一人の状態にも関わらず、政府が実現に向けて着手していることに誰も違和感を感じないのだろうか。 こちらを見ていただければ彼が移民政策だけでなく、「米国等との疾病分類の統一化」や「外国法規に基づく教育・金融・法律・医療機関等の認可の推進」など金貸しが収奪のメインターゲットに据える医療分野に積極的に進言していることが見てとれる。
◼︎まとめ
つまり金貸しの真の目的とは何なのか?
- 金貸し誘導による外資系企業・外国人誘致政策の導入
- 見せかけ景気は上昇するも外国人への労働力依存
- 日本企業の技術流出による国際競争力の弱体化
- 外資優位構造の確立、国内での外資の台頭
- アメリカ市場原理が浸透、雇用形態のアメリカ化
- 弱体化する日本に対する乗っ取り戦略
- 金貸しによる資力支配の増強
これから街には外国人が溢れ、日本人の雇用はより不安定化していき、金貸しは資力による支配力の強化を図るだろう。しかし、資力だけでは支配できなくなりつつある日本人の意識潮流を何とかしたいという焦りも感じられる。
金貸しはこういった収奪に付随して、移民を流入させて多民族国家に仕立て上げ、極めて操りにくいと言われる日本人の民族意識の崩壊も目論んでいるのではないだろうか。
さて、次回は金貸しが収奪のメインターゲットにしている「医療」について見ていきます。
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