2013-09-13

新たなバブルが始まった?(13)〜バブルにもならない政権演出と国富流出の仕掛け〜

2020年の東京五輪開催が決まった。「アベノミクス第4の矢」などといった表現も登場したが、浮かれている場合ではないどころか、日本の致命傷となるおそれすらある。これまでの記事を振り返り、この間の日本の置かれた状況をまとめ、このシリーズの締めとしたい。

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IOC総会での安倍のウソが日本の首を絞めるか・・?

1.プロローグ
2.70年以降バブルの崩壊構造 日本〜世界経済 パート①
3.70年以降バブルの崩壊構造 日本〜世界経済 パート②
4.知ってる?アベノミクス
5.日銀の真の狙いは?
6.外国人投資家の正体とは?
7.米株と米債を支える日本の“異次元金融緩和”
8.衆院選→参院選の不正選挙でお上を見限り、自分たちで生きてゆく⇒自考思考が生起した
9.核武装を前提とした原発政策
10.「ジブリ作品を真に作りたかったのは誰なのか?
11.TPPを巡る安倍政権と米戦争屋
12.消費税増税の本当の目的は?

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◆仕掛けはオバマ再選→衆院解散から始まった
改めて、この1年の相場(日経・NYダウ・円ドル)の推移を振り返ってみる。
下の3つのグラフは、まるで同じグラフ2つと、それを上下逆にしたグラフに見えるほど、全く同じ動きをしている。これを見ると、アベノミクス相場は、オバマが再選を決め(11/7)、衆議院解散があった(11/16)昨年11月半ばに始まり、日経平均が暴落した今年5月23日に転機があったことが分かる。日本では衆院解散が仕掛けスタートの号砲で、安倍政権は既定路線だったということだ。
 
日経平均

NYダウ

円/ドル

 
第11回の記事でみたように、現在、安倍政権の背後にいるのはおそらく米戦争屋である。従って、安倍政権をつくったのも米戦争屋である。彼らは銀行屋寄りのオバマ再選でさらに居場所を狭められ、日本の政権支配を固めに入ったと考えられる。
 
では、今年の5月下旬には何があったか?グラフの印象は“弾が尽きてしまった”である。ニュースを繰ると、「日本郵政社長が6月退任を明言(5/19)」、「米で26個の竜巻発生(5/20)」、「みんなの党、維新との協力解消決定(5/21)」などとあり、深読みするなら、維新の会の扱いが決まり、2ヵ月後の参院選の路線が確定したため、限界まで続けてきた上げ相場を引っ込めたということではないか。その表向きの理由として、竜巻が起こされたというのは考え過ぎか。
 
 
いずれにしろ、安倍政権誕生から今年夏までの上昇相場は、7月参院選のねじれ解消によって安倍自民党政権が磐石にするなるまでの演出に過ぎなかったのではないかと考えられる。
 
◆TPP推進の見返りとしての政権と核武装論
米国支配層(戦争屋)が安倍政権を支援する理由は当然、日本のTPP参加、消費税増税を滞りなく推進させることだろう。しかし、改めて何故、以前1年で退陣してしまった安倍なのか。
 
第一期安倍政権は小泉政権の後継として米戦争屋にも認識されていたと考えられるが、僅か1年で本人が辞任、その後、日本の政権は1年と持たない短期政権になってしまった挙句、小沢民主党に政権を獲られてしまった。小泉は政権を“与えるだけで”戦争屋のためによく働いたが、それだけでは足りない、とジャパン・ハンドラーたちは学んだのではないか。

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安倍の第1期政権以降、日本では1年と政権が持たなくなった
 
安定した傀儡政権をつくるには、為政者に対して、政権以外の「見返り」も与えておく必要がある。安倍政権の場合、それが、第9回記事でみたように安倍が目指していると目される憲法改正・核武装路線の容認ではないだろうか。この路線は「米国」としては容認できるものではないが、国家から離反しつつある「戦争屋」にとっては、ビジネスチャンスの拡大でもあり、日本が軍国化・核武装しても構わない。それが、賞賛と批判のちぐはぐさという米国の安倍政権評価にも現れている。
 
ちなみに、第10回記事で取り上げたジブリの「風立ちぬ」の2013夏上映が公表されたのも、昨年12月13日という、衆院選の3日前だ。
 
◆日本はどうなる?
2020年東京五輪の招致決定は、大衆の大方の予想に反したものだったが、五輪もまたTPP推進の見返りの一つなのだろう。安倍首相の福島原発に関する安全性の主張がほとんどウソであることは、選考者側も重々承知のはず。放射能まみれの五輪になったとしても、TPPがスムーズに進む方が重要ということだろう。
※ちなみに、IOC(国際オリンピック委員会)委員には、サウジのサウード王、モナコ大公、オランダ国王など中東や欧州の王族が名を連ね、2000年からはヘンリー・キッシンジャーが名誉委員に就任している。
 
以上、自民政権成立からここ数年の金貸し(戦争屋)のシナリオは、次のようなものだろう。

①政権・核武装・五輪を見返りに、TPP推進政権としての安倍政権を擁立。
②さほど豊富ではない金融資金で半年間、株高を演出。TPP参加の地固め。
③5月で株高演出の弾が切れるも、何とか取り繕い、参院選でねじれ解消。
④株演出に次ぎ、五輪期待の勢いで消費増税を敢行。
⑤五輪の開発ピークまでにTPPで海外資本参入の道筋をつける。
⑥オリンピック施設などの公共事業の利益は海外資本が持っていく。
⑦日本収奪システムの完成。

 
加えて、福島原発の汚染水問題は今後数年のうちに、国産品の禁輸や賠償金という形で日本経済の首を絞め始めるだろう。
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アベノミクスは、バブルにすらならない金貸しの新たな収奪システム完成のための演出装置に過ぎない。2020年までの7年間が、日本の正念場になるのかも知れない。

List    投稿者 s.tanaka | 2013-09-13 | Posted in 08.金融資本家の戦略No Comments » 

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