2009-06-05

通貨は投資家が決める 〜為替取引実態と為替の変動要因〜

%E3%82%BD%E3%83%AD%E3%82%B9.jpg
為替を動かす 投資家ジョージ・ソロス
今日は1ドル100円、明日は1ドル101円、明後日には、1ドル99円と
日本の通貨「円」の価値は、毎日変動します
通貨の値動きは「為替」と呼ばれますが、

「為替」とは、本来、「立替」のことをいいます。
遠方に住む取引相手に対して現金を輸送することなく、債権・債務を決済する方法です。
金融大学

そして、我々がよく耳にする「為替」とは外国為替のことを指します。

外国為替は、海外との間で発生した債権・債務の関係を、現金を輸送することなしに、決済することをいいます。貿易が盛んになると、海外との間で頻繁にお金を受け取ったり、払ったりしなければなりません。その際の決済方法である「お金の立替払い」が外国為替です。金融大学

海外と貿易する企業にとっては、円が1円動くだけで、何百億円の得や損となります。
今回は、(外国)為替の値動きがどのように決まっているのかについて扱います。読んでみたいと思われた方は、ポチっとよろしくお願いします。

にほんブログ村 経済ブログへ


為替取引の実態
まず前提として、為替は円と外貨の交換の際に用いられますが、
円から外貨に交換する(売る)人が多い → 円の価値(人気)が下がる→「円安」
外貨から円に交換する(買う)人が多い → 円の価値(人気)が上がる→「円高」
となります。貿易会社が外国製品を買う際、その製品を売買するための通貨に交換する必要があります(=決済通貨)。アメリカ製品であれば「ドル」、欧州であれば「ユーロ」といった具合です。当然、日本製品を買いたい海外の企業はその逆となって、各通貨の為替取引が行われます。こうした企業間のやりとりを含め、日常生活における必要な海外とやりとりを「実需」と言います。
為替変動を考える上でまず知っておくべきことは、この実需取引の割合が全為替取引の数%しかないことです。残りの90%以上の為替取引は、国際資本取引によって行われます。
国際資本取引とは、平たく言えば巨額の資産移動です。
前述で貿易に関係する企業は、円が1円動くだけで、何百億円の得や損になると言いましたが、
これは企業だけでなく、莫大な資産を持つ資産家も同じです。
つまり、自らの資産をどの通貨で持っておくかが、非常に重要だと言うことです。
これから円が下がりそうだと見極めれば、円からドルへ資産を一気に交換します。
このように巨額の資本が毎日世界中を移動し、為替の価格(人気・不人気)を変動させているのです。
突き詰めて言えば、我々の使う「円」の価値や輸出入で儲ける企業の業績は、全てこの国際資本取引次第と言えるでしょう。
為替の変動要因
では、これまでの歴史を含め、為替の変動要因はどのようになっているのでしょうか。
この要因はいくつかありますが、「forexinformer」さんのページにわかりやすくまとめられていましたので、少々加筆・整理しご紹介させていただきます。

要因1.米国の政治・通貨政策による為替介入
歴史的に振り返ると、短期的な為替変動は、米国主導の通貨政策による。
1971:ニクソンショック(360円→308円)
1978:カーターショック(180円となり防衛索を導入、その後197円に回復)
1979年:連邦準備制度理事会議長に就任したボルカー議長の政策
1985年:プラザ合意(240円→120円)
要因2.国際資本移動を促す国際的な金利差(例:円キャリートレード)
前回の投稿にも書きましたが、国際的な金利差を利用し、国際資本は移動します。例えば、昨今の円の超低金利を背景に、一旦円を借り入れて、その円を売却してドルを買う。買い入れたドルを、高金利の米国国債のような投資によって資産を運用する。このような取引は金額が大きく、市場で行われると、市場レートを一方的に動かします。
要因3.中央銀行の市場介入
中央銀行は為替相場が行き過ぎた変動を見せた際に、相場の過熱感を静めることを目的に市場の動きと反対の取り引きを出してくることがあります。1995年4月に付けた79円75銭の後、「強いドルは米国の利益」をスローガンに、日米の通貨当局が共同してドル買いの介入を繰り返し、1998年に、ドルは一時147円台まで戻しました。このとき日米通貨当局は、行きすぎたドル高を是正すべく、ドル売りの介入を協調して行いました。複数の中央銀行が強調した介入は、相場を大きく動かす恐れがあります。
要因4.戦争・国際紛争・テロ国際的な資金移動を引き受ける為替市場において、国際政治の動きは見逃せないに要因です。
かつては、「有事のドル買い」という言葉があり、戦争や国際紛争が起きると、持っている通貨をとりあえず避難通貨としてドルに取り替えておこう、とする動きが見られました。しかし、アメリカが直接関与する戦争の場合は、ドルが安全である保証も無いため、その他の通貨に資産が動きます。2001年9月11日に、米国で起きた同時多発テロの場合においても、米国本土が攻撃されたということはかつてなかったことではありますが、ドルは売られ、買われたのは、中立国の通貨であるスイスフランでした。金価格も上昇しました。
要因5.景気動向と株価
景気の良い国へ資金は流入しやすく、好景気国の資本市場に世界の資金が集まる傾向があります。しかし反面では、景気の良い国は輸入量も増大するので、貿易収支は悪化しやすくこの面ではその国の通貨が強くなるには、限界もあります。また、国境を越えた資本取引が自由化されるにつれて、株価動向も見逃せなくなりました。特に機関投資家による投資対象として好調な株価を維持している国へ資金は流れやすい傾向はあります。

これらの国際資本取引は、昨今の景気の盛衰と共に、物価にも影響します。
何よりも違和感が感じさせるのは、我々の生活における通貨の価値が、投機市場に左右されている=握られているということではないでしょうか。みなさんはどのように感じましたでしょうか?

List    投稿者 orimex | 2009-06-05 | Posted in 08.金融資本家の戦略1 Comment » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kanekashi.com/blog/2009/06/934.html/trackback


コメント1件

 wholesale bags | 2014.02.10 13:45

金貸しは、国家を相手に金を貸す | 『商品市場の背後に性市場あり』 その2 ・・・ 壊れた男女規範がもたらしたものとは?

Comment



Comment