市場論・国家論15.21世紀の世界
実現塾の要約です。
戦後、ロスチャとロックが血みどろの闘いを繰り広げる中、市場の底流では彼ら金貸しを吹き飛ばして終うような大きな変化が生じていた。それは、工業生産力の上昇によって、次第に供給力が需要を上回り始めたという、文明史を覆すような(もちろん経済学が想定していない)人類史上の大転換期に入ったという事実である。
これまで人類は、ほぼ一貫して飢えの圧力に晒されながら生きてきた。そして、この飢えの圧力こそが、戦争を引き起こし、国家権力を生み出し、市場を拡大させてきた、それら全ての土壌となっていた。
しかし、’70年頃、まずは日・欧で「豊かさ」が実現され、貧困はほぼ消滅する。そして21世紀初頭には、遂に世界の供給力が需要を上回り、貧困の消滅の流れは決定的なものとなった。
そうなると、市場は拡大を停止するしかない。それに対して金貸しは、何とか成長を維持しようと国債経済(=バラ撒き経済=バブル経済)にのめり込んでいったが、それも所詮、金貸しの悪あがきに過ぎず、国債経済の破綻は目前に迫っている。
それだけではない。豊かさが実現すると戦争圧力が衰弱し、世界的な平和共認の圧力が上昇してゆく。その結果、国家レベルの戦争が不可能になり、だからこそロック(ネオコン)は「テロとの戦争」に活路を求めた訳だが、プーチンの勝利でそれも終結し、戦争不能の時代が目の前に広がっている。
戦争圧力が低下すると、多民族を無理に力で束ねた肥大国家は不要になる。従って、21世紀に入ると、世界中で民族収束の潮流が顕在化してきた。それが、プーチン・習近平・トランプを代表とする「民族自決」の新勢力の登場である。そして、ロシアの軍事技術がアメリカのそれを凌駕したことによって、’15年頃、世界はアメリカ支配からロシア・中国主導へと大転換した。
民族派新勢力の当面の共通目標は、金貸しの駆逐である。すでにネオコン(ロック)は壊滅状態にあり、残るは中央銀行とロスチャ・ヘッセンだけとなった。おそらく、新勢力は’18年中にも株価大暴落・ドル暴落・国債暴落の幕を引き、中央銀行を破産させると同時に、金(きん)に裏付けられた国家紙幣の発行に踏み切るだろう。そして、大衆の不安や暴動を抑え、国家紙幣に対する信認を確立するために、全国民に紙幣をバラ撒く基礎保障制度を導入するだろう。現在、すでに世界中の政府は大量の紙幣を金融市場にバラ撒いており、バラ撒く先を金融機関から国民一人一人に切り換えるだけなので、大きな問題はない。(おそらく、国家紙幣の発行も、基礎保障制度の導入も先進7ヶ国の共同声明という形で発表されることになるだろう。)
最後に、サボイ・デルバンコetc.旧金貸しは、これらの流れをどう見ているのだろうか?
彼らは、先進国の成長率の低下から、’70年代後半には市場の拡大停止→国債経済とその破綻→中銀の廃止と金(きん)に裏付けられた国家紙幣の発行を読み切っていたと思われる。そして、21世紀初頭には、国債経済が格差を拡大し、危機を招くことになると気付いただろう。
彼らが何よりも恐れているのは、無秩序な大衆の大暴動・叛乱である。150年前も、彼らが最も恐れていたのは貧困に喘ぐ労働者の大暴動であった。マルクスに「資本論」を書かせたのは旧金貸しだと思われるが、共産革命の下に労働者を結集させ、中央管理の完全福祉体制の中に囲い込む(もちろん反乱分子は粛正する)ことが金貸しの目的であったとすれば符号する。従って、ロックに共産革命をやらせたのは、サボイ等だったのかも知れない。とりわけ、中国革命は、共産主義嫌いのロスチャの支援はあり得ないので、サボイ→ロックの可能性が高い。
そんな彼らにとって、格差の拡大による大衆の不満の蓄積は、重大な問題となる。そこで彼らは、大衆の不満を解消する方策として、まずは自分たちのお膝元で基礎保障(ベーシックインカム)の実験に21世紀初頭から着手してきた。
従って、旧金貸しにとって、民族派新勢力の登場は想定外だったとしても、新勢力が行おうとしていることは全て旧金貸しの想定通りであり、むしろ旧金貸しが民族派新勢力に智恵を授け、力を貸していると見た方が正しいのではないかと思われる。
(その後は、民族収束の力が更に強まり、10~20年後には多民族国家の米・中は、3つor5つぐらいに分裂するだろう。もちろん、中近東の大半や、ロシアやイタリアやスペインやカナダの一部など、世界中で少数民族の独立が相次ぐことになる。)
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