2007-04-28

安定成長をうたう、IMFの世界経済見通し2007年4月

IMFは、毎年2回「World Economic Outlook」と題した、世界経済の見通しを発表している。
最新のものは、2007年4月11日に発表された「World Economic Outlook・April 2007」である。
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概要版が、日本財務省の仮訳が出ている。
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概要版のイントロ部分

先ごろの金融市場の一時的混乱にもかかわらず、世界経済は2007年、2008年にかけて依然、高い成長を維持すると見られる。米国経済は以前予想されたより鈍化しているものの他国への波及は限定的で、世界経済は持続的に成長していると考えられる。インフレ・リスクも和らいでいる。景気の先行きに対するリスクは総じて6ヶ月前と比べると低減していると思われる。しかし、金融リスクへの懸念が高まっており、景気の見通しは依然として下振れリスクのほうが大きい。

「金融市場の一時的混乱」は、2月の上海発の世界株式連鎖暴落、3月の米国住宅バブルの崩壊に伴う、サブプライムローン会社の倒産、株価急落を指している。
世界経済は、高い成長率を維持するとしているが、一方で、リスク分析を詳細に行っている。
まずは、数字が並ぶが、今後の経済成長率の見通しを紹介しておきます。
世界の2007年・2008年のGDP成長率(%)

 国 別  2005   2006   2007   2008 
 世 界 計     4.9    5.4    4.9    4.9
 先進工業国    2.5    3.1    2.5    2.7
  米 国    3.2    3.3    2.5    2.8
  ユーロ圏    1.4    2.6    2.3    2.3
   ドイツ    0.9    2.7    1.8    1.9
   フランス    1.2    2.0    2.0    2.4
   イタリア    0.1    1.9    1.8    1.7
  イギリス    1.9    2.7    2.9    2.7
  日 本    1.9    2.2    2.3    1.9
 アジア    9.2    9.4    8.8    8.4
  中 国   10.4   10.7   10.0    9.5
  インド    9.2    9.2    8.4    7.8
 中南米    4.6    5.5    4.9    4.2
  ブラジル    2.9    3.7    4.4    4.2
 中東欧    5.5    6.0    5.5    5.3
 アフリカ    5.6    5.5    6.2    5.8
 中 東    5.4    5.7    5.5    5.5
 ロシア    6.4    6.7    6.4    5.9

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「世界経済見通し」の第1章「世界見通しと政策課題」の中で、経済成長に対するリスク要因を分析している。
該当ページは、Chapter 1. Global Prospects and Policy Issues の13ページの図 Global Risk Factorsです。
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最大のリスク要因は、米国の住宅セクター(住宅バブル崩壊の波及)で、世界経済全体に対して、マイナス0.06%の引き下げ圧力と見ている。2006年9月見通しでは、マイナス0.08%としていたので、リスクが少なくなったというのが、IMFの見解である。
3月の住宅ローン会社の倒産、株価暴落、住宅ローン市場の縮小で、調整局面の第一弾がクリアしたので、リスク度を少なく見積もっている。
その他のリスク要因では、インフレーション・物価の急騰(マイナス0.04%)、原油の供給不安(マイナス0.04%)、貿易・経常収支の不均衡(マイナス0.03%)、国際的な資金の暴走(マイナス0.04%)を上げている。
上記の5つのリスク要因を単純に足しても、マイナス0.3%となり、2007年の世界全体の経済成長4.9%に比べると、余りリスクが大きいようには見えない。
しかし、米国住宅バブルの影響調整の第一弾は、本当に終わっているのだろうか。
また、上記のリスクは、相互に連関しており、複合的に派生した場合のリスクはもっと高まる可能性がある。
IMFの公式見通しでは、世界経済は持続的に経済成長を行うとする。
しかし、各リスク要因の小規模な波風で、巨大な資金が地球規模で駆け巡り、それによって、米国を拠点とするファンド(投資銀行とそこに集まる資金)が、莫大な利益を取っていく。
カジノ経済化した「世界経済」は、マクロな成長維持とミクロなリスク(変動)の両側面で動いていることを見て行く必要がありそうです。

List    投稿者 leonrosa | 2007-04-28 | Posted in 08.金融資本家の戦略5 Comments » 

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