2009-04-06

G20共同声明をどう見るか

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G20金融サミットが閉幕しました。2010年末までの総額5兆ドルに達する各国の財政出動が世界経済を4%押し上げ、大規模な雇用を創出するとの見解を示すなどの共同声明を受け、マスコミは概ね「画期的」「景気刺激を最優先」といった論調で報じています。
今回発表された声明を受けて、世界経済がどこへ向かおうとしているのか、考えてみたいと思います。
まずは共同声明を見てみましょう。
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まずは少々長いですが、共同声明の骨子を外務省HPから引用します。

・世界的な危機には世界的な解決策が必要。市場原理、効果的な規制及び強力な世界的機関に基づく開放的な世界経済が重要。
・本日の合意により、IMFの資金を7500億ドルに3倍増、2500億ドルの特別引出権(SDR)新規配分を支持、国際開発金融機関による1000億ドルの追加的貸付を支持、2500億ドルの貿易金融支援を確保、最貧国向け譲許的貸付のためIMF保有金売却益を活用。全体として信用と成長及び雇用を回復させるための1.1兆ドルのプログラムを構成。これは、各国がとっている措置とあわせ、前例のない規模の、回復のための世界プランとなる。

1.成長と雇用の回復
・我々は前例のない、連携した財政拡大を実施中であり、これにより何百万もの雇用を維持・創出。来年末までに財政拡大は5兆ドルに上り、生産を(累積で)4%拡大。我々は成長を回復するために必要な規模の継続した財政努力を行うことにコミット。
・多くの国で金利は大胆に引き下げられてきており、中央銀行は価格の安定と整合的に、非伝統的な手法を含む、あらゆる金融政策の手法を活用しながら、必要とされる間、緩和政策の維持することをプレッジ。
・貸付と国際的な資金フローの回復がなければ、成長回復のための政策は効果をあげない。流動性供給、金融機関への資本注入、不良資産の問題への対処のため、銀行システムに対しこれまで大規模かつ包括的な支援を実施。
・共同して行動することによりインパクトは拡大。更に、国際金融機関、貿易金融を通じ1兆ドルを超える追加的資金の提供に合意。
・IMFは2010年末までに世界の成長率は2%超に上昇と予測。我々は回復及び成長を確保するために必要なあらゆる行動をとることにコミット。IMFに各国の措置の定期的な評価を要請。
・財政の長期的持続可能性及び価格安定を確保。

2.金融監督及び規制の強化
・金融セクター及び金融規制・監督における大きな失敗が危機の根本原因。強力で整合的な監督・規制枠組みを構築すべく行動。
・(ワシントン首脳会合での)「行動計画」を実施中。今回「金融システムの強化」についての宣言(付属文書)を発表した。
 1:金融安定化フォーラム(FSF)を引き継ぐ金融安定理事会を設立。早期警戒を実施する
   ためIMFと協働。
 2:規制・監督をシステム上重要なすべての金融機関・商品・市場に拡大。ヘッジファンド
   が初めて対象に含まれる。
 3:賃金と報酬に関するFSFの厳格な新原則を支持し、実施する。
 4:景気回復が確実となれば、銀行の資本の質・量・国際的整合性を改善。過度のレバレ
   ッジ防止。好況時の資本バッファー積み増し。
 5:タックス・ヘイブンを含む非協力的な国・地域に対する措置を実施する。国家財政及び
   金融システムを保護するため制裁の用意。本日OECDが税に関する情報交換の国際
   基準に反する国のリストを公表したことに留意。
 6:評価・引当基準の改善及び単一の質の高いグローバルな会計基準の実現に取り組む。
 7:規制監督及び登録を信用格付会社に拡大。
 8:財務大臣に対し、上記決定の実施を完了するよう指示。金融安定理事会及びIMFに対
   し、進捗状況を監視し、11月の次回財務大臣会合に報告するよう要請。

3.世界的な金融機関の強化
・新興国及び途上国も挑戦に直面。8500億ドルの追加的資金を国際金融機関を通じて利用可能とすることに合意。
 1:各国からの2500億ドルの当面の融資は、最大5000億ドル増強される新規借入取極
   (NAB)に組入れ。必要であれば市場借入を検討。
 2:国際開発金融機関による融資を、少なくとも1000億ドル増加。
 3:IMFの新たなフレキシブル・クレジット・ライン(FCL)を歓迎。
・世界経済に2500億ドルの流動性を注入するSDRの一般配分、第4次協定改正の迅速な批准を支持。
・国際金融機関の権限、業務範囲及びガバナンスを改革することに合意。
 1:2008年4月合意のIMF出資比率・発言権改革パッケージの実施にコミット。次期
     出資比率見直しを2011年1月までに完了。
 2:世銀の発言権・代表権改革に関する勧告の2010年春までの合意を期待。
 3:国際金融機関の長及び幹部の、開かれた、透明で実力本位の選出。
・持続的な経済活動を促進する、主要な価値と原則の必要性に合意。このような憲章を次回の会合でも議論。

4.保護主義への対抗と世界的な貿易・投資の促進
・貿易は25年間で初めて減少。貿易・投資の再活性化は、成長回復に不可欠。
 1:ワシントンの誓約を再確認。いかなる違背措置も速やかに是正。誓約を2010年末まで延長。
 2:国内措置の貿易・投資への悪影響を最小化。金融保護主義に逃避せず。
 3:あらゆる措置をWTOに迅速に通報。四半期毎に公開で報告。
 4:貿易・投資の促進と円滑化のためのあらゆる手段をとる。
 5:貿易金融支援のため、2年間で最低2500億ドルを利用可能とする。
・ドーハ・ラウンドの野心的でかつバランスのとれた妥結にコミット。そのため、モダリティに関するものを含むこれまでの進展を基に更に進めることにコミット。
5.万人のための公平で持続可能な回復の確保
・公平で持続可能な世界経済の基礎を築くことを決意。
 1:ミレニアム開発目標、ODA公約達成へのコミットメントを再確認。
 2:低所得国が利用可能な資金を500億ドル増加。
 3:IMF保有金売却益及び余剰資金を活用して、今後2〜3年にわたり、最貧国のために
   60億ドルの譲許的かつ弾力的な追加的資金を供給。
 4:国連に最貧層・最脆弱層に与える影響の監視メカニズム設置を要請。
・成長への刺激、教育・訓練への投資・積極的な労働市場政策により、雇用を支援。国際労働機関(ILO)他に各種行動の評価を要請。
・強靱で持続的かつ環境に優しい回復という目標に向け、財政刺激策を利用。
・2009年12月のCOP15での合意達成へのコミットメント。
6.コミットメントの遂行
・我々のコミットメントに関する進捗をレビューするため、本年末までに再度の会合を持つことに合意。

この骨子でのポイントは、IMFの出資比率・発言権改革パッケージの実施にありそうです。この方針をめぐる見解は、大きく二つに分かれます。
まずはブログ「武蔵野経済研究室」から

これで、少なくとも、発展途上国・東欧諸国はIMFの支配下に完全に収まることになったと思う。タックスヘイブンについては、具体的に言うとマカオのことを指すと個人的には考えるが、これによって、国際闘争の場において、ついにロシアに続き、華僑までもが陥落したのだと思う。
残された勢力は、ロシアの一部とイスラム原理主義勢力のみとなったように思う。あるいは、この先何年かの間に、ついにそれらの残された勢力さえも陥落することになるのであれば、”彼ら”の画策するグローバリゼーションは、あるいは本当に成功することになるのかも知れない。

共同声明の内容は、“彼ら”=国際金融資本家たちの思惑どおりだ、という意見です。
一方、この声明を受けて、国際金融資本家達の敗北の可能性を示唆する記事があったので以下に紹介します。
ブログ「Benjamin Fulford」より

G20の声明を分析すると、闇の権力の大きな敗北であったように見える。特に注目するべきところは、IMFの1.1兆ドルの新しい資金だ。この中にはIMFの2500億ドル分のSDRが含まれる。要するに米連銀ではなく、「発展途上国の参加する改革されたIMFが新国際通貨を発行する権利を持つ」という意味だ。そして世界が全体で5兆ドルを危機のために貸すことになっている。このお金はおそらくブッシュ一派が盗んだお金である可能性が高い。このお金が先進国や発展途上国の一般市民のために使われることになる。
さらに金融特区の村八分がはっきりと明言されている。「銀行の秘密の時代が終わり」という声明の文章の通りになれば、闇の権力が動かしていた莫大な秘密のお金は各国の政府に管轄されるようになる。
しかしまだ謎が多い。特に気になるのは1500兆ドルの金融派生商品をどうするかというのが見えてない。またオバマ大統領が13の銀行のトップと秘密会議をしたが、その13の銀行はイルミナティの13の家族の代理であった。この人達がどうなるかがまだはっきり見えてない。更に声明が曖昧であるため、詳細が決まる過程で抜け道が作られる可能性が高い。実施の段階まで見極めるまでは気を緩めることが出来ない。
また残念なのは国際報道をみると、日本の存在が全くない。やはり日本の植民地奴隷政府は世界に馬鹿にされている。

共同声明には【IMF出資比率・発言権改革パッケージの実施】について論じられている。これはIMFの改革を意味しており、現在、拒否権17%を保有しているアメリカの支配下からIMFが開放される可能性を示しています。であれば、ベンジャミン・フルフォード氏の言うとおり、国際金融資本家達の敗北の可能性は十分考えられます。
とにかく、今後はIMFの改革がどのように進められていくか、ここが最重要ポイントになりそうです。

List    投稿者 heineken | 2009-04-06 | Posted in 07.新・世界秩序とは?, 08.金融資本家の戦略8 Comments » 

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コメント8件

 zoli | 2009.10.02 2:57

異議ありですね
現政権の法務担当することになった強烈な左の婆も、新自由主義の人達も一緒です。
両方とも自分の主張を正当化したり論拠を求めるとき、世界ではとか国際基準ではなど同じ事言っています。
過去の法務委員会、メディア上等等嘘だと思うなら調べてください。皆、気持ち悪いほど世界だとか有名な学者だとかに論拠を求めます。よってそういう論理で主張しているから、否定的少数派ではありません。
そもそもその論理自体が発生論的誤謬で無効です

 kidami | 2009.10.03 22:37

>zoliさん
コメントありがとうございます。
Wikipediaによると、新自由主義の人って、小泉純一郎、東国原知事などがいるんですね。
そういった有名人とか、存在感ではなくて、純粋な「数」として「少数派」ということだと思います。私の周りにも、ネット右翼等の知人は見当たらないんですよね^^;
多分、大多数の日本人には受け入れられにくいから、上位の学者や、国際基準という肩書きやブランドにすがって正当化しているというふうに私は解釈しました☆

 コバヤシ | 2009.10.03 22:39

暴走の構造って、上層も下層も同じなんですね。
下層階層の人の暴走は、警察や検察が取り締まり、警察や検察など特権階級の暴走は、マスコミが取り締まってきたように思います。
でも最近目に付くマスコミの暴走は誰が取り締まるのでしょう?

 huji | 2009.10.03 23:12

制度を作る側の人間が、与えられた枠組みでしか判断できないって…それで、日本の行方が左右されると考えると本当恐ろしいですね…

 kidami | 2009.10.03 23:23

>コバヤシさん
コメントありがとうございます☆
マスコミの暴走・・・最近では、民主党新人議員の過去の暴露がありますね。本当にみんなが知りたいのは、そんなことじゃないのに・・・
共認支配力が強いマスコミですが、彼らを取り締まるというか、彼らに代わる新しい共認ネットワークを作っていくことが重要だと思います(^^)

 kidami | 2009.10.03 23:52

>hujiさん
コメントありがとうございます♪
日本のリーダーたちが与えられた枠組みでしか判断できないのは、確かにとっても恐ろしいですよね。
身分制度はなくなったんだから、試験制度もなくなっていいんじゃないかなと思いました。仲間の中でのリーダーは、「この人がいい☆」というみんなの評価があって決まります。現代社会でリーダーを決める時も、試験ではなくて、みんなの評価で決まるような、新しい方法が必要ですね!

 uk hermes | 2014.02.01 21:05

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