2014-02-21

【特集:デフォルト研究】(9)シリーズまとめ

いよいよ、本特集も最終回です。
これまでの調査、研究をもとに、まとめをし、昨年10月に問題になった米国債デフォルトはどうなるのか?を予測してみます。
とりあえず、2月の米国債デフォルト危機は回避されたようですが、果たして危機は去ったのでしょうか?金貸しの手口から考えてみます。
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米国FRB
過去投稿はこちらをごらんください↓
(1)デフォルトの歴史 
(2)デフォルト事例(日本の終戦直後) 
(3)デフォルト事例(ロシア財政危機) 
(4)デフォルト事例(アルゼンチン財政危機) 
(5)’13年総括、デフォルトスキムの整理 
(6)バランスシートって何? 
(7)日銀のバランスシートはどうなっている!?
(8)帳簿上の処理で借金帳消しは可能か?
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これまでのデフォルトの歴史的考察、事例分析を踏まえて、結局、デフォルトとは何なのか?を考えてみます。

●デフォルトとは何なのか?
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スペイン無敵艦隊の敗北

15世紀の大航海時代以降、経済の覇権は、スペイン・ポルトガル→オランダ→英国→米国へと移ってきている。
17世紀の終わりには、金貸しが中央銀行を支配し、金貸しが国家に金を貸すようになって、実質上、金貸しが国家を支配するようになってきている。
大胆な仮説になるが、近代の国家は、実質上金貸しに支配されてきたという観点に立って、デフォルトとは何なのか?その本質を考えてみたい。
・金貸しの起源は、金の預かり商。持ち運びに不便で盗難の危険のある金は金庫に預かり、その代わりに、取引の決済に便利な「金の預かり証」という紙切れを発行した。
「金の預かり証」は金主の求めがあれば、金と交換しなくてはならないが、全ての金主が交換を要求するわけではないので、一定の比率(準備率)で金を準備しておけば、その何倍もの「金の預かり証」を発行することができた。(信用創造、金兌換制度は建前)
・最大の貸付先が、戦費の調達に窮した国家であった。国家からすると、自分が保有している金や租税調達力を超える資金を調達できるので、金貸しは便利な存在だった。
・そのようにして、金貸しは、とうとう国家に紙幣発行権を認めさせ、中央銀行を設立する。
・国家は、金貸しが発行する紙幣と引き換えに国債を発行して、金貸しから金を借りる。
・国家が戦争に勝っている(外国から収奪している)うちは、国家も戦利品や損害賠償などで儲かるので、国家は金貸しに金利を支払うことができ、デフォルトはしない。
・戦争勝利(収奪)の成果として、国家から武器商人や軍人などに支払われた利益(金を含む)は、一部は消費されるが、残りは金貸しに預金される。金貸しは、国家からの支払い金利で儲かり、さらに預金された利益(金)を元手に、さらに商売を拡大させることができる。
・しかし、国家が戦争に勝てなくなる(外国から収奪できなくなる)と、金貸しに対する金利が払えなくなり、やがてデフォルトに追い込まれる。
・国家は、担保として保管していた金を金貸しに取られてしまう。
・金貸しからすると、実物経済の利潤率が下がり、デフォルトになれば貸し倒れが発生することになるが、それまでに戦争で大儲けをしているので、元々は単なる紙切れにすぎない貸付金が貸し倒れになっても大して損はない。むしろ、国家から手に入れた金、武器商人などから預かっている金などを元手に新たな商売をする(金融経済化して利潤率を上げる)ことが可能。
※近代の金融市場では、デフォルトに乗じて(その仕掛けとして)、空売り等の逆張りで儲けることも可能。
・そのようにして、金貸しは覇権国家への寄生→デフォルト→次の覇権国家を育成・寄生を繰り返す。
以上の考察から仮説を立ててみると、
・金貸しは国家に寄生する寄生虫である。
・寄生先である国家がデフォルトしても、金貸しは困らない。次の寄生先があれば生き延びて、儲け続けることができる。
・覇権国家の衰弱⇒デフォルトに追い込み、次の覇権国家を育てて乗っ取るのが金貸しの戦略。
つまり、デフォルトとは、金貸しが寄生先である覇権国家を乗り換えるための仕掛けである。

リンクより引用>

この投稿を参考にすると、いずれ、金貸しは米国を見捨てて次の覇権国家に寄生先を乗り換える戦略であると考えられるのではないでしょうか?

※実は、帳簿上の処理だけで国の借金はチャラにできます。デフォルトをさせるもデフォルトを避けて軟着陸させるのも金貸し次第。手の内は金貸しに握られていると言えます。理論的には帳簿上の処理でデフォルトは回避できるにも関わらず、打ち出の小槌(通貨発行益)を国家に渡したくないために、デフォルトという手法を使って人々を騙しているだけなのです。
【特集:デフォルト研究】(8)帳簿上の処理で借金帳消しは可能か?

●2月米国債デフォルト危機はどうなる?
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米オバマ大統領とイエレンFRB議長
債務上限引き上げ法成立=来春までデフォルト回避−米
懸念されていた2月の米国債デフォルト危機は、とりあえず回避されました。時間稼ぎをしているものと思われます。しかし、借金だらけの米国経済でそんなに時間稼ぎができるとも思えません。時間稼ぎのカラクリはどうなっているのでしょうか。

>米国FRBの量的緩和縮小の方向を、大きく補うのが日銀による、月間8兆円($800億に相当)の、異次元緩和という円の増発です。この円の増発は、国内金融機関が所有する預金の増加です。
>この金融機関で増加した円は、米国の金利が上がると、ドル買い(円売り)に向かうマネーです。あたかも、FRBから、日銀がマネー増発のバトンタッチを受けたように、思えます。
株価の茶番より引用>

米国経済が好調であることを理由に金融緩和は縮小されていますが、その代わりに日銀に異次元緩和をさせ、マネーをジャブジャブ供給させています。そして、日銀から供給されているマネーで、日本は米国債を買わされています。その実は、米国債デフォルトのリスクを日本国債のデフォルトリスクに転化させている構造です。

●米国はいつまで時間稼ぎができるのか?

>21世紀はアメリカの時代である。日本が出る幕はない。(中略)日本は増々アメリカ支配が強まることになる。
>しかし2025年位にどん底を迎えた我が国は方向転換を行い奇跡の回復を成し遂げる。アメリカは21世紀後半急速に衰退し22世紀初頭覇権の移行が起こることになる。
>日本の覇権も1世紀100年で中国が取って代わることになる。さらにインドもその実力があるという。
文明と経済の衝突 —村山節+浅井隆より引用>

長期的に見ると米国覇権の衰退→覇権の移行は避けらず、時間稼ぎはいつまでも続けることはできません。上記参考投稿では22世紀初頭覇権の移行が起こるという説ですが、それは、歴史の法則から見て、遅くともその頃までには米国は確実に衰退するという見方だと思われます。

●まとめ
金貸しは国家に寄生する寄生虫。米国の覇権衰弱を見越して、BRICS(中心は中国)を育てるのが金貸しの寄生戦略。次の覇権国家で儲けられるようになるまで、悪あがきをして時間稼ぎをすると思われます。
結局、金貸しの時間稼ぎによって、2月米国債デフォルト危機は回避されましたが、危機が去ったわけではありません。いずれ米国債デフォルトは必至です。
時間稼ぎのカラクリとして、日銀に異次元緩和をさせ、米国債デフォルトのリスクを日本国債のデフォルトリスクに転化させています。このまま行けば、米国債デフォルトより先に、日本国債の方がデフォルトするかも知れません。
日本がどん底から回復できるかどうかは、日本人の本源性=共同体性がどれだけ再生できるかによりますが、当面はデフォルトに追い込まれる必然構造を見抜き、いかに生き残るかの追求を続ける必要がありそうです。

今回の特集はいったん以上で終わりますが、今後に向けての更なる追求課題を挙げておきます。いずれどこかで取上げたいと思います。続きをお楽しみに。
●残課題
★覇権の移動はなぜ起こるか?
→スペイン→オランダ→英国→米国の覇権移動の検証。(スペインデフォルトは明らか)
★デフォルトとバブルの関係?
★覇権国のデフォルトと周辺国(後進国)のデフォルトとの関係?
→日本国債デフォルトが先かor米国債デフォルトが先か?
★反金貸しのクーデター説(国家紙幣への転換→デフォルト回避)の可能性?
→今回の議論は、従来の金貸しの戦略分析に基づく予測。しかし、最新の議論では、悪あがきをする金貸しの暴走に対して歯止めをかけようとする動きあり?
Ex.米国国防総省(ペンタゴン)、アジア(東南アジアの金主>欧州金主?)などで反金貸しの動き?

List    投稿者 yukitake | 2014-02-21 | Posted in 08.金融資本家の戦略No Comments » 

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