金貸し、窮地の暴略 その2 〜00年以降の金貸しの戦略と結果〜
前回に引き続き、今回はリーマンショック以後の世界の主要な事件について、金貸しの狙いとその結果について扱っていきたいと思います。
前記事では、ロックVSロスチャの闘争においてロスチャ優勢の状況であることを示しましたが、00年以降の世界の事件を見た場合に直近ではどうなのか?そもそも金貸しの戦略は上手く機能しているのか?を扱います。
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■イラク戦争
【概要】
2003年3月20日より、アメリカ合衆国主導でイギリス、オーストラリア、ポーランドの連合軍がイラクに侵攻したことで始まった戦争です。
経緯としては、2001年9月11日に起きた同時多発テロから、アメリカはアフガン戦争を開始、さらにはイラクへの強硬姿勢を強めていきます。2002年初頭には、ブッシュ大統領による一般教書演説において、イラク・イラン・北朝鮮は大量破壊兵器を保有するテロ国家であると名指して非難しました。
特にイラクに対しては、大量破壊兵器の拡散の危険を重視して2002年に入って政府関連施設の査察を執拗に行う一方、国際世論上も重要な役割を果たしたのが、訪米したイスラエルの首相が「フセイン大統領は核兵器を開発中である」とブッシュ大統領に訴えたことです。
そして、査察によってイラクからの報告書に記載のなかった12基の化学兵器搭載可能ミサイルが発見された、との報告があがり、それでも国連常任理事国であるフランスは慎重姿勢を崩さなかったものの、アメリカとイギリスは国連決議無しで戦争に踏み切っていきました。
【金貸しの狙い】
9・11から、アフガン侵攻、イラク戦争へ至る戦略はブッシュ大統領と米国ネオコン、裏ではデビッド・ロックフェラーが進めた戦争と言われます。特に戦争の機運を作り出すに至った9・11は、自作自演テロの疑いが濃厚であり、アメリカ国内でも世論が自作自演の可能性を肯定しているほどです。
金貸し(デビッド・ロックフェラー)の狙いは、一体何だったのか?
2000年9月にフセイン大統領は、原油の決済通貨をドルからユーロに変えると発言し、11月には変更しています。米ドルを通じて石油相場をコントロール下においていたデビッドは、これに大いに反発し、戦争を引き起こすに至ります。実際に、戦争終了後の2003年に、再びドル決済へと変更しています。
より直接的には、前FRB議長のグリーンスパン氏がその回顧録で以下の通り、イラク戦争の狙いを明らかにしています。「イラク戦争はおおむね、石油をめぐるものだった。だが悲しいかな、この誰もが知っている事実を認めることは政治的に不都合なのだ」
デビッドの狙いは、明らかにイラクの石油利権であり、支配であったと言えます。
・海外メディア9/11陰謀説の数々1
・なんで屋劇場『金貸し支配とその弱点』1〜市場の起源、原資拡大の方法、その真実の姿
【結果】
アメリカを主とする連合軍のイラクの制圧自体は、同年中に完了しましたが、戦争の理由とされた大量破壊兵器は全く発見されず、2004年9月にパウエル国務長官が「見つからないだろう」と断念する宣言を出しました。また、イギリスのブレア首相も国民から「騙した」と反発を浴びて退陣の憂き目に会い、オーストラリアの国防相は「侵攻の目的は石油だった」と発言するなど、イラク戦争が石油利権獲得のためにでっち上げられた戦争であったことが、世界的に明らかになりました。
そして、イラク国内の状況も極めて不安定になり、オバマ大統領が2009年に撤退を決めた後も、各部族・宗派同士の争いが絶えず、イラク国民からはかえって反米意識が高まる結果ともなっています。
【失敗】
ロックフェラーにとっては、石油支配どころか、復興事業もままならず、大量の資金を投入した割には全くの失敗に終わったという結果だと言えます。
中でも、テロや大量破壊兵器の存在をでっち上げて戦争を起こし、その目的が石油利権の確保であったという情報の拡散は、軍産複合体を力の基盤に支配を画策するロックフェラーにとっては、お家芸の「騙して戦争に持ち込んで支配する」手段が、今後は通用しない状況を自ら生み出しました。
また大量の資金の投入によって財政的にも追い詰められることになりました。
■地球温暖化〜CO2悪玉説〜
【概要】
温暖化問題が初めて世に広く知られるようになったのは、92年の「地球サミット」からで、その4年前にIPCC(気候変動に関する政府間パネル:世界中の科学者の報告を取りまとめるために、国連環境計画UNEPと世界気象機関WMOが設立した組織)が設立され、「温暖化の主因はCO2である」、という見解を発表。その後も、米副大統領だったアル・ゴアが著書「不都合な真実」を発表するなどして、ノーベル平和賞を受賞し、派手なプロパガンダへと繋がって行きます。
98年の京都議定書では、CO2を始めとする温室効果ガスについて、先進国で1990年を基準値とする削減目標が定められ、いよいよ国家、そして企業へと温室効果ガスの排出量を規制しようとする動きが具現化することになりました。
【金貸しの狙い】
地球温暖化のプロパガンダは、金貸し(ロスチャイルド勢)によって巧妙に仕組まれたものでした。
IPCCの温暖化対策とは、CO2排出削減のための対策であり、以下の4つに絞られます。
1.原子力発電の再開・推進
2.石炭や石油に代わる代替エネルギーの開発
3.CO2回収技術の開発
4.排出権取引と途上国援助
中でもロスチャイルドにとっての狙いは、利益の大きいところで、既に支配下にある原子力発電の推進の正当化と、排出権取引という新しい金融商品市場の創出にあったと言えます。
・ロスチャイルドのメディアによる世論支配
・「地球温暖化は地球規模のマインドコントロールかもしれない」
・環境における共認支配〜地球温暖化CO2説のプロパガンダ〜
【結果】
京都議定書発効から、排出権取引の枠組み作りまで順調に推移しているかに見られた矢先、世界を揺るがす事件が2009年11月に発生します。
IPCCが地球温暖化の根拠として挙げていたデータが、捏造されていたのではないか?と思われる内容や、科学者達が温暖化懐疑派の同じ科学者に対する暴言や、情報公開に応じないこと、雑誌に論文を載せないように圧力をかけていたことなど、1,000以上のメールと3,000以上の文書が公開されて次々に明るみになっていきました。(通称:クライメイトゲート事件)
関係者達はメールの内容は本当だと認めた上で、データの捏造はしていないと主張しましたが、世界の不信の覆すまでの十分な論拠となり得ず、事件以後は、CO2説自体の怪しさから温暖化対策は急速に下火となりました。
世界の中でも温暖化対策に率先して取り組んでいた日本でも、鳩山元首相が2009年に国連総会で宣言した「2020年までの90年比25%の温暖化ガス削減」の国際公約から生まれた地球温暖化対策基本法案が、廃案に至っています。
【失敗】
ロスチャイルドによって周到に進められていた地球温暖化とCO2削減の対策が、クライメイトゲート事件によって、騙しの手口が周知になったことが、致命的になりました。
排出権市場の構築も、今ではすっかり鳴りを潜め、全く実現の見通しが立たない状況に陥っています。
■アラブの春
【概要】
2010年から2012年にかけてアラブ世界において発生した、現政権に対して民主化運動を主とする騒乱の総称です。
代表的なところでは、チュニジアのジャスミン革命をかわきりに、エジプトなどの他のアラブ諸国に反政府運動が波及し、リビアではカダフィが政権の座を追われ(後に反政府勢力によって殺害)、長期政権に終止符が打たれることになりました。
原因は、これらの中東諸国では長期独裁政権が続いていたので、鬱積していた国民の不満が爆発したとか、若者を中心にソーシャルメディア(フェイスブック、ツイッターなど)という新しいメディアが、急速にアラブ諸国に波及したことが影響したと伝えられています。
「集会の自由、政治参加、雇用創出」などを求める国民によって、チュニジア、エジプト、リビア、イエメンの4ヶ国で政権の交代が実現しました。
【金貸しの狙い】
中東は長らくロスチャイルドの支配下にありましたが、第二次大戦後はイスラエルを皮切りに、サウジ、エジプトへとデビッド・ロックフェラーが縄張りの侵食に入っていきました。
アラブの春の背景には、ロスチャイルドを中心とする欧州主導説、デビッドロックフェラーを中心とする米国主導説と諸説ありますが、独裁政権から民主化路線への転換を通じて、新政権を間接支配していくという狙いは、総じて金貸しの意図が入っているという見方が大勢です。
特に前述のイラク戦争以後、金がかかる戦争より、金のかからない(民主化という手法を用いて内側から政権を崩壊させ、傀儡政権を作る)民主化を使って、支配することへ切り替えるという手法は、10年前の東欧カラー革命での手法が一種の成功パターンとして再利用或いは模倣されている疑いが濃厚です。
リビアは、その豊富な石油埋蔵量から石油資源が狙われ、エジプトはその意味で資源が少なく、強いて言えば観光産業とスエズ運河の利権ぐらいしかないのですが、中東の盟主とも言われるように周辺への影響力が大きく、政治的及び地政学的に重要拠点を支配下に置くことが狙いであったと思われます。
【結果】
アラブ世界約19ヶ国において発生した運動も、独裁政権が打倒された国は前述の概要通り4ヶ国(チュニジア、エジプト、イエメン、リビア)に留まりました。
画像はこちらからお借りしました
そして政権交代が実現した4ヶ国も、実態は今尚混乱状態(≒内戦状態)で、安定とは程遠く、国民生活は一層の窮乏状態に陥っています。
(エジプト:治安悪化で支持離れも=暫定政権に打撃—エジプト)
【失敗】
金貸しの暴略によって政情不安が続くイラクと似たような様相を示していますが、暫定政権ができても、暴動や争いの頻発で混乱を極め、金貸し(ロスチャイルドであれ、デビッドであれ)が目論む政権の間接支配が実行できない状況に陥っていると捉えれます。
これは、欧州主導説、米国主導説、どちらが主導したかを差し置いても、それに対抗する勢力側が反発して内戦状態に陥っていることから、金貸し同士の潰し合いの様相、つまりは消耗戦の展開に入っているものと思われます。
さらに、表向きは、国民からの自発的な民主化運動のようにマスコミ報道されていますが、実態は利権を求める企業や政府の仕掛けである(その背後には当然に金貸しの戦略がある)ことが、次々に明るみに出ています。
金貸し同士の潰し合いによる内戦状態という結果とともに、情報のリーク合戦という面での潰し合いが行われていると見なすことも可能です。
・中東革命はグローバリストの数十年前からの計画
・中東民主化ドミノはCIA革命学校の卒業生が起こした
以上見てきた通り、金貸しの戦略が成果未達に陥り、且つ彼らの思惑が次々とネットを中心に暴かれている状況になってきています。
特に注目すべき点は、ここ数年の間に、各地で戦争や革命運動を引き起こす主体が、実は金貸しであることが次々と明らかにされつつある点であり、これは彼らを取り巻く外圧が大きく変化してのことだと思われます。
次回記事では、彼らを取り巻く外圧の構造的整理を行いながら、成果未達に陥る原因構造に迫りたいと思います。
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