2012-08-12

世界を操る支配者たち(7)〜支配者たちの力の源泉を探る

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画像はこちらよりお借りしました 
第1回ロスチャイルド家
第2回ロックフェラー家
第3回英国王室
第4回ハプスブルグ家
第5回タクシス家
第6回バチカン
このシリーズでは、世界を操る支配者たちを紹介してきました。
これまで紹介してきた彼らは、出自の時代も違えば力を獲得するまでの道程も実に様々でしたが、中世から近代そして現代まで、富と権力を手中に収めてきた彼らは、その強大な力を裏舞台から行使し、世界情勢を操ってきました。
ところで、そもそも、その「力」とは一体何なのでしょうか?それほどまでに強いのはなぜなのでしょうか?
そしてこれから先も、その「力」を持つもの達に世界は支配されつづけるのでしょうか?
シリーズ最終回となる今回は、支配者達の「力」の源泉を明らかにしていくと共に、その「力」がこの先も世界を操っていくに足りえるのか、その核心に迫っていきたいと思います。
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■彼らの力の源泉を追う
 
まずは、彼らが何をどの様にして今日の力を手に入れたのか、見ていきたいと思います。
 
 
ロスチャイルド家
 

ロスチャイルド家は、世界中の中央銀行オーナーとして君臨し、通貨発行権を握ることにより、世界を実質支配しています。(中略)
初代のマイヤー・アムシェル・ロスチャイルドが残した言葉「私に一国の通貨の発行権と管理権を与えよ。そうすれば、誰が法律を作ろうと、そんなことはどうでも良い。」(1790年発言)は有名で、中央銀行制度をうまく利用することで、今もなお世界支配を進めています。(第1回)

 
両替商を営んでいた初代マイヤー・アムシェル以来、ロスチャイルド家は「金融」を武器に、今では世界のほとんどの中央銀行を手中に収めています。
 
 
 
ロックフェラー家
 

エネルギーが石炭からガソリンへ急転換していくこの時代は、まさにエネルギー革命でした。今日においても石油はエネルギーとして欠かせない資源ですが、その契機となったのが、この頃なのです。そしてロックフェラーは石油にまつわる精製、輸送、流通など一連のビジネスによって莫大な財を得ていきます。(第2回)

 
一攫千金を狙ってアメリカ大陸に渡ったロックフェラー家は「石油」を掘り当て、それにより世界のエネルギーを手中に収めてきました。
 
 
 
英国王室
 

1588年にスペイン無敵艦隊を撃破し、大勝利をおさめたことによって、海外への進出が容易になり、イギリスの経済は大きく発展していきます。後世イギリスが貿易立国へと舵を切り、産業革命によって大英帝国は確立されましたが、その経済的基盤は、ドレークに代表される海賊の活躍によって作られたと言っても過言ではないのです。(中略)イギリスの繁栄とは、まさに略奪、侵略、なんでもありの「武力」による勢力拡大です。 (第3回)

 
かつて弱小国家だったイギリスは、エリザベス1世の時代に海賊を駆使して他国船を襲っては財宝を奪っていました。それが原資となり植民地を拡大してきました。
 
 
 
ハプスブルグ家
 

「戦は他国にやらせておけ、汝は結婚せよ」(中略)ハプスブルグ家の資産の源泉は、血のネットワークとも言うべき、血縁関係によって富を確保する 政 略 結 婚 シ ス テ ム なのです。
元々、婚姻形態は社会の基底部に位置するもので、ハプスブルグ家は、その基底部分にウィルスのように侵入し、私婚制度が維持され続ける限り、私婚制度に基づく私権獲得し続けられるように、しっかり寄生し続けていると言えるでしょう。特に財産継承権、その中でも王位継承権をしっかりと握っていたのです。(第4回)

 
ハプスブルグ家は「政略結婚」を繰り返すことで王位や財産の継承を存続させ続け、いまなお莫大な資産を有しています。
 
  
 
タクシス家
 

現在でも、「情報」は様々な価値を生みますが、特に市場経済に於いては「情報戦」は必須事項です。
郵便事業撤退するまでのタクシス家はヨーロッパ中の情報を集積し、都合良く情報を売るというのが中心でしたが、1800年代以降は郵便事業の撤退と時期を同じくして通信事業に関わり出します。
ロイターなどの通信社との関わりによって、様々な情報を発信する側にまわったのです。所謂「情報操作」というものです。通信社などから発信される情報は、多くの人の話題に上るため、複数の人々から同じ情報を聞いた人はそれが間違った(ウソの)情報であっても、信じてしまいます。
通信技術の発達によって、情報戦は情報集約に情報発信が加わったのです。
情報の意味に精通していたタクシス家は、ここを逃しませんでした。(第5回)

 
現代にも通じるところですが「情報」を操ることによって、相手を出し抜いたり抜け駆けすることで、資産を築いていきました。
 
 
 
バチカン
 

バチカンは、“ローマ教会”という宗教ではなく、もはや“バチカン銀行”という金貸しになってしまっています。 近代になると、社会統合の制覇力が資金力に移行したため、宗教としての力の基盤を失い、なりふり構わず資金力を武器に金貸しとして生き残りを図っているのです。(第6回)

 
「キリスト教」というヨーロッパ全域に浸透した観念により揺るぎない地位を確立、その基盤があるため「金融」に転んでも絶対的権威を保持しています。
 
 
■支配者たちの力の源泉とは何だったのか
 
ロスチャイルドは「金融」
ロックフェラーは「石油→金融」
英国王室は「武力→領土」
ハプスブルグは「政略結婚→領土」
タクシスは「情報」
バチカンは「宗教→金融」
 
まとめるとこのようになります。
彼らは、各々これらを駆使することで巨大な私権を獲得し世界経済をはじめ、数々を支配できるようになったのです。
お金やモノや権力をどれだけ持っているかが評価軸となる私権時代では、私権(お金やモノや権力)の獲得が最優先課題となり、それが活力源となって人々は生きていきます。そのため、お金や権力を得られそうな原資(例えば土地や石油や通貨発行権)を見付ければ、それを「独占」し「所有」することで、誰よりも莫大なお金と大きな権力を手に入れることが出来ます。
この私権時代は、今から5,000年前頃がその起源で、これまで紹介してきた支配者達は、領土をめぐって武力闘争を繰り返したり、お金儲けのために王や国や人を騙したり、近代に至っては戦争まで起こしたりしてきました。そして、この時代に生きる普通の人々も、同じように僅かながらに得られる私権を活力源として生きていました。
そして古代から中世、近代そして現代へと時代が経つにつれて、この私権を獲得たらしめる制覇力は、武力や宗教から金融や資源や情報へと変わっていきました。
支配者達はその時々の制覇力となる原資を、人よりも圧倒的に多く「独占」し「所有」することで巨大な資産=資本を所有することに成功し、それが「支配力」となったのです。
誰もがより多くを欲したいと思う私権、つまりモノやお金の「私有化」が、彼らを支配者たらしめている力の源泉だったのです。
 
■時代はすでに私権原理から共認原理へ
 
しかし貧困を克服した現在、社会に生きる人々の私権欠乏は急速に衰弱、今は誰もが私権欠乏を活力源として生きていたような時代ではなくなりました。
 
さらに私達は、暮らしの根幹そのものを揺るがすような社会不全の中にいます。政治、経済、環境、教育、様々なところで旧来のシステムが綻びを見せています。加えて昨年の3.11以降、その不全が急速に高まり、多くの人々の「社会を良くするために何か出来ないか」という想いがあちこちで顕在化するようになりました。
 
最も顕著なのは、国会や首相官邸を毎週のように取り巻いているデモや、ネットでの反原発の声です。
 
〜なぜデモの参加者に小さな子ども連れの親が多いのか〜
 
溜まり続けた政治不信が“普通の日本人”を突き動かす〜「アジサイ革命」の意味〜
 
『「官邸前デモ」は日本の民主化運動、「主権者国民運動」へと繋がっていく』は、本当か?
 
共認収束に沿った新たな運動の可能性(1)
 
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これは、周りのみんなのことや社会全体のことを第一に考え、なんとかしたいという想いが活力源になっていなければ起こりえない現象です。みんなで事実や想いを共有し、力を合わせて行動を起こすことへの可能性を感じているからこそ、これだけの人々が集まったているのです。
 
もし人々の活力源が旧来の私権獲得だったとしたら、このような市民発の大規模なデモは起こっていなかったでしょう。
 
これは、まさに「自分第一からみんな第一」つまり「私権獲得の充足から共認の充足」へと時代が共認収束へと人々の意識が大転換したことによる現象の一つです。
 
とすると、人々が私権獲得に可能性を見出せなくなた現在もなお、私権闘争を繰り広げている支配者達の様子は、完全に時代から取り残されているように映ります。だとすると、支配者達が必死になって獲得している私権(お金)は、もはや社会の制覇力でなくなっていることが分かります。
 
活力源の転換とは、その時代の評価軸さらには制覇力の転換を意味しており、現代ではそれは「共認の形成」でありどれだけ人を集めることが出来るかという「集客」こそが、社会を動かしていくのです。
 
もはや支配者達の力は制覇力にはならない。普通の人たちの実感による共認形成時代の拡大こそが、社会を変えていける。そんな可能性の時代に私達はいるのです。

List    投稿者 heineken | 2012-08-12 | Posted in 08.金融資本家の戦略No Comments » 

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