2009-05-25

■アメリカ金融史9 〜市場の維持・拡大には戦争しかないアメリカ〜

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前回記事「アメリカはいかにして金融の中心になっていったのか?」では、金貸したちがどの様にして、その資本力にものを言わせ、戦争を媒介にしながらアメリカを金融の中心にして来たのかを扱いました。
今回は、そんな力をつけて来たアメリカですが、大恐慌を経て、市場を維持・拡大するには結局、戦争をするしかなかった。この当りの事情をニューディール政策の裏事情も含めて扱いたいと思います。
時代的には、1920年〜1945年、第1次世界大戦〜第2次世界大戦に至るまでの道のりを追う事になります。
では・・・

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【第1次世界大戦後の経済繁栄】1920〜1924年
第1次世界大戦の戦場にならなかったアメリカは、戦争で疲弊した欧米に変わり大躍進を遂げた結果、イギリスから覇権を奪い取り、世界経済をリードするようになります。
この頃のアメリカは、 「黄金時代」「狂乱の20年代」と呼ばれ、住宅建設ブーム、フォードなど自動車産業の隆盛のほか、ラジオなどの普及で娯楽やマスメディアも大きく発展し、大衆文化の形成が進みます。
まさに、アメリカ経済はイケイケどんどんの時代です。
【過剰生産と過剰投機〜バブル経済】1924〜1929年
しかし、アメリカの工業生産はどんどん発展するものの、政策的に大企業の利益最優先の政策がとられた為に、国内では農産業、石炭産業、織物産業は衰退の一途を辿り、一方、他国は第1次世界大戦の影響から回復しきれずに、その購買力が追いつかず、社会主義化したソ連が世界市場から離脱した事もあり、アメリカの工業生産は過剰生産となっていきます。
また、このころ欧米からアメリカへの資金移動が加速する一方、かたやその受け皿となる実体経済は、衰退へと向かっており、さらにその資金移動を抑制する為に米連銀が金利を下げますが、結果的にこの政策が、余剰資金を株式市場に流し込む事になり、1929年9月にはNY市場が最高価格を記録します。
【株価大暴落〜世界大恐慌へ】1929〜1933年
1929年10月24日、GM株が80㌣急落したのを皮切りに、ついに29日大暴落します。
土地を失う農民や失業者が続出し、数年間で数千の銀行が閉鎖され、アメリカ人の多くが預金を失います。
また、米経済への依存を深めていた、ドイツを初め脆弱な各国経済も連鎖的に破綻。世界貿易も急激に減っていく事になります。
【ニューディール政策】1934〜1945年
恐慌に対して、何もしない政府に対する不満が高まる中、ニューディール政策を公約とするルーズベルトが大統領に当選します。
ルーズベルトは、1933年から2年間の間に、様々な救済法を成立させ、農産物価格の上昇や助成金等の農業支援、失業保険、老人や要保護児童等への生活保護行い、さらに国内需要を拡大させる為に、50億ドルもの救済予算を立て、有名なダム建設などの公共事業を行って行きます。
以上が、第1次世界大戦→経済繁栄→大恐慌→ニューディール政策までの流れです。
さて、ここからが本題といっても良いですが、アメリカという国の本質が見えてきます。
【ニューディール政策とアメリカと言う国の事情】
1.ニューディール政策で、決して経済は復興できなかった。
この政策では、富の再分配が行われますが、この政策の恩恵にあずかれたのは、貧困階級ではなく、中産階級や上層中産階級に限られ、女性や黒人は様々な社会保障の適用範囲からはは除外されていました。(アフリカ系労働者の65%は除外されていた)
このため、白人優遇の社会保障制度だけでは需要の回復には繋がらず、失業率も1937年には14.3%まで回復するものの、財政支出を止めると再び19%に悪化。
この後、失業率が1.2%まで下がるのは、実は・・・太平洋戦争に参戦してからなのです。
2.略奪(戦争)をする事でしか、市場を維持・拡大できないアメリカ
アメリカという国は、もともと新たな私権を求めて海を渡って来た移民が作った国であり、自らの私権確保に対する執着心が非常に強く横たわっています。
また、共同体的基盤を持たない故に、常に相手に対する警戒心をはらんでおり、基本的性質として、「排他意識」が非常に強いのです。
この排他意識は、黒人や有色人種に対する差別や階級意識を生み、恐慌期でさえ、有権者である白人と一部の黒人中産階級は、自分たち以外の人種や階級を救済する制度には批判的となり、恐慌がある程度納まってくると、ニューディール政策への風当たりが強くし、課税や規制に対する批判、赤字支出への批判を繰り返し、自分たちの権益を阻害する政策を断念させ、国家による市場建て直しを断念せざるを得なくしてしまうのです。
この後は、先に述べたとおり、失業率低下は戦争によってもたらされますが、これはアメリカは戦争を国家事業とするしか市場を維持できない普遍構造を持っているという事を示しているにすぎないのです。

さて、今回はアメリカと言う国がいかに市場を維持するには戦争に頼るしかない構造にあることが分かりました。
次回は、そのようなアメリカを支える思想はなんなのか?そのあたりを扱いたいと思います。

List    投稿者 tamimaru | 2009-05-25 | Posted in 08.金融資本家の戦略5 Comments » 

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コメント5件

 hosizora | 2009.11.29 10:37

バカバカしい為替差損=市場介入(ドル買い)より、
思い切った財政出動(円の大量発行)
、で景気回復=円高、デフレ対策=一石二鳥
リンカーンを見習い政府貨幣=借金ではなーい!
▼リンカーンの言葉▼=政府貨幣
”政府は政府の費用をまかない、一般国民の消費に必要なすべての通貨、銀行の預金を自分で発行し流通させるべきである。 通貨を作製し、発行する特典は政府のたった一つの特権であるばかりでなく、政府の最大の建設的な機会なのである。
この原理を取り入れることによって、納税者は計り知れない程の金額の利子を節約できます。 それでこそお金が主人でなくなり、人間らしい生活を送るための人間の召使になってくれるのです。”

 mtup | 2009.12.04 1:38

hosizoraさん、コメントありがとうございます。
政府紙幣発行という手段は有効な一手だと思います。
アメリカでもリンカーンやケネディが、政府紙幣の実現を目指しましたが、志半ばで暗殺されてしまいました。
私たちは何の疑問も抱かずに『中央銀行』が発行している紙幣を使っていますが、その裏にカラクリがあることをみんなに知ってもらい、声を出してほしいなと感じる今日この頃です。

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