2012-04-07

近代市場の成立過程(1)プロローグ

現在進行中の世界的な市場の縮小と金融バブルの崩壊は、100年に1度の恐慌と言われています。しかし、現在の事態はそれにとどまらず、300年以上続いた近代市場が終焉を迎えているのだと考えられます。
 
市場の“終わりの始まり”は、1970年前後。日本では貧困がほぼ消滅し、物的欠乏が衰弱しました。そのため、需要が実質的に減退し、その需要減を埋め合わせるために、金貸したち支配下の国家は膨大な国債を発行し、その資金を市場に注入して見せ掛けの市場拡大を演出してきました。この構造は程度の差はあれ先進国ではどこも共通です。
 
つまり、人々の意識が根底から変化したことが、金貸しの力でも押し留められない現在の世界大不況の事態を生み出したのであり、この変化は不可逆です。
 
それでは、これまで近代市場を成立させてきた人々の意識とは、なんだったのでしょうか?そして、金貸したちは人々の意識をどう利用し、開花させ、近代市場を生み出し、拡大させてきたのでしょうか?

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今回のシリーズでは、近代市場の黎明期から現代まで、各時代にどのような思想が生み出され、それがどのような意識潮流を生み出し、近代市場が拡大していったのかを探っていきます。
 
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歴史上、近代市場の主舞台は言うまでも無く西欧。その原点は、十字軍の遠征によってイスラム世界とヨーロッパ世界の力関係が逆転し、ルネサンスが興った11〜15世紀頃にあると考えられます。「金貸し」という存在が登場し始めたのもこの頃です。

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第8回十字軍「チュニスの包囲」

そこで本シリーズでは、その頃から時代順に、生み出された思想・芸術、その背景、市場の発展段階を明らかにしてきたいと思います。
 
以下のサブテーマを設定し、追求過程で組み直しながら追求を進めたいと思います。
 
1.近代市場の誕生前夜
2.欧州大財閥はどのように誕生したか
3.ルネサンスは大衆と支配層に何をもたらしたか
4.大航海時代を実現した思想と技術とは
5.宗教改革と近代市場の相関
6.産業革命の原資と原動力
7.金貸しと王族の力学
8.近代思想家とはどういう存在か
9.市民革命へ人々を駆り立てたもの
10.戦争という市場の興り
11.近代経済学が果たした役割とは?
12.まとめ

 
 
次回以降はまず、十字軍が終わった14〜15世紀の欧州、とりわけ、数々の芸術家を生み出し、ルネサンスの源流を創った商業都市フィレンツェに焦点を当てます。
【参考】十字軍以降の主な出来事
1270 第8回十字軍
1273 ハプスブルグ家のルドルフ、ドイツ王へ
1299 マルコ・ポーロ「東方見聞録」
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1321 ダンテ「神曲」
1347 欧州でペスト大流行
1339 英仏100年戦争
1353 ボッカチオ「デカメロン」
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1434 メディチ家、フィレンツェ共和国を統治
1445 グーテンベルグの印刷技術(1455グーテンベルク聖書)
1453 東ローマ(ビザンチン)帝国滅亡
1492 コロンブス新大陸(米大陸)発見
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1517 ルター宗教改革(1541カルバン宗教改革)
1533 インカ帝国滅亡
1543 コペルニクス「地動説」
1549 ハプスブルグ家、神聖ローマ皇帝へ
1595 「ロミオとジュリエット」初公演
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1600 東インド会社設立
1613 ロシア、ロマノフ王朝(〜1917年)
1637 デカルト「方法序説」
1642 英ピューリタン革命
1651 ホッブス「リヴァイアサン」
1661 仏ルイ14世〜絶対王政最盛期
1688 イギリス名誉革命
1689 ロック「統治二論」
1694 イングランド銀行設立
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1721 ロシア帝国成立
1737 フィレンツェ統治、メディチ家からハプスブルク家へ
1760 イギリス産業革命のはじまり 
1762 ルソー「社会契約論」
1775 アメリカ独立戦争→1776独立宣言
1776 イルミナティ結成?
1789 フランス革命
1797 ヴェネチア滅亡
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1806 神聖ローマ帝国滅亡
1815 ワーテルローの戦い
1840 アヘン戦争
1860 イタリア王国建国
1848 マルクス・エンゲルス「共産党宣言」
1870 スタンダードオイル社設立(D.ロックフェラー)
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1913 FRB(連邦準備銀行)設立
1914 第一次世界大戦
1917 ロシア革命
1929 世界大恐慌
1935 ケインズ「雇用・利子および貨幣の一般理論」
1939 第二次世界大戦
1945 終戦〜ブレトンウッズ体制
1973 ニクソンショック
1990 日本バブル崩壊
1991 ソ連解体〜EU成立
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2001 911同時多発テロ
2008 リーマンショック

List    投稿者 s.tanaka | 2012-04-07 | Posted in 08.金融資本家の戦略No Comments » 

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