近代市場の成立過程(20)〜最終回・シリーズまとめ
「近代市場の成立過程」シリーズもいよいよ最終回となりました。
今回のシリーズでは、近代市場の黎明期から現代まで、各時代にどのような思想が生み出され、それがどのような意識潮流を生み出し、近代市場が拡大していったのかを探っていきました。
(1)プロローグ
●「近代市場の成立過程」シリーズ
(1)プロローグ
(2)近代市場の誕生前夜・富豪の台頭⇒現代通貨制度の原型が形成される
(3)ルネサンスの先駆者ダンテが金貸したちにもたらしたものは…
(4)メディチ家はなぜ栄えたか?
(5)ルネサンス:金貸しによる恋愛観念の布教
(6)マキアヴェリの思想とその影響
(7)大航海時代を実現した金貸したち
(8)近代思想の原点となった宗教改革→新たな金貸し勢力の台頭
(9)中間まとめ 金貸しの台頭と教会支配の衰退
(10)16世紀、小国から大国に大化けしたイングランド、その背景を読む。
(11)現代金融システムの原型とデカルトの思想を生み出した商業国家オランダ
(12)絶対王政と重商主義にみるフランスの発展
(13)ヴァイキングと欧州商人によって形成→台頭したロシア帝国
(14)17世紀のイングランド、金貸しが国家に金を貸す基盤が整った!
(15)イギリス産業革命・金貸し世紀の幕開け
(16)金貸しが大国の凋落を企図した、フランス革命。
(17)「大ヨーロッパ」を志向したハプスブルク家の婚姻戦略と情報戦略
(18)現代の金貸し支配構造を確立したロスチャイルド家
(19)ロシア革命=共産革命による世界的対立構造と、FRB設立を経て、近代市場の最終段階=金貸し支配が完成した
それでは近代市場の成立過程をもう一度、押さえなおしていきましょう。
◆貨幣の共認が武力支配の世に風穴を開けた
※フローリン金貨
(2)近代市場の誕生前夜・富豪の台頭⇒現代通貨制度の原型が形成される
中世の封建社会は武力支配と共にローマ教会の共認支配の二重の権力支配構造でした。徴税・輸送の代行業として両替商がヨーロッパ中に進出し、為替業務を行うようになりました。その結果、利便性の高い貨幣が支配者層や商人たちに浸透して行き、支配者といえども通貨なしには商品を入手できなくなります。
◆農民は重税、商人は無税
安定した中世において武力支配者=封建領主たちは農業生産に注力し、生産性が向上し人口が増大していきました。
同時に商人たちも力をつけてきました。諸外国の珍しい物、高価な物をもたらす商人は支配者の快美欲求や権力誇示に必要な存在となり、農民のように重税は課せられず、関税を始め全ての納税を免除するようになりました。その結果、商人は着実に財を蓄積していきました。
◆商人の台頭は十字軍の遠征から始まる
※イスラムと十字軍
(2)近代市場の誕生前夜・富豪の台頭⇒現代通貨制度の原型が形成される
農業生産力が上昇し、皇帝・封建領主たちの力が増大し、地位が脅かされ始めたローマ教皇は商人たちの口車に乗り十字軍の遠征によって権力を拡大させようと目論みました。この遠征により封建領主たちは戦費がかさみ疲弊し、一方で商人たちはネットワークを東方にも拡げ、教会や皇帝に対抗し自治国家を築き通貨発行権まで獲得したのです。中でもローマ教会の金庫番、フィレンツェでは莫大な富が蓄積されていきました。資力が武力と拮抗し始めたのです。
◆商人たちは武力支配及び、その後ろ盾ローマ教会からの離脱を図った
※ ルターとカルバン
(8)近代思想の原点となった宗教改革→新たな金貸し勢力の台頭
(10)16世紀、小国から大国に大化けしたイングランド、その背景を読む。
(11)現代金融システムの原型とデカルトの思想を生み出した商業国家オランダ
戦争が武力を疲弊させ、商人に莫大な蓄財をもたらしました。商人たちは皇帝・国王・封建領主らをけしかけ、互いに戦わせるようし向けていきます。彼らは戦争のみならず、武力支配と並ぶ権力=共認支配の主導権を握るため、ローマ教会からの離脱を図ります。
ルターやカルバンの宗教改革や、新教徒が逃げ込んだオランダのスペインから独立、イギリスが国教会を設立しローマ教会と断絶も全て新教徒の中心である商人たちの支援なしには実現出来できず、次第に彼らが国家の主導権を握って行きました。フランスはガリカニズムでローマ教会から半ば独立しますが武力支配が強く商人たちはオランダへと拠点を移しました。
◆ハプスブルグ家は婚姻戦略により平和的になわばりを拡大したが…
※16人の母マリア・テレジア
(7)大航海時代を実現した金貸したち
(16)金貸しが大国の凋落を企図した、フランス革命。
(17)「大ヨーロッパ」を志向したハプスブルク家の婚姻戦略と情報戦略
ハプスブルグ家は婚姻戦略によって神聖ローマ帝国を拡大し、栄華を極めました。しかし、国内の諸侯たちの反発や、大航海の利益も大半を商人たちにかすめ取られ追いつめられていきます。17世紀後半、ハプスブルグ家は絶対王政に行き詰まりをみせたフランス・ブルボン家と姻戚を結ぼうと画策しましたが、それを察知した金貸したちが妨害され失敗に終わりました。フランス革命とは彼ら二大勢力による大ヨーロッパ成立を阻止し、金貸し支配を確立させる契機だったのです。
◆商人=金貸しが数万人に一人の天才を利用し共認支配へ
※デカルト
(4)メディチ家はなぜ栄えたか?
(5)ルネサンス:金貸しによる恋愛観念の布教
(6)マキアヴェリの思想とその影響
(10)16世紀、小国から大国に大化けしたイングランド、その背景を読む。
(11)現代金融システムの原型とデカルトの思想を生み出した商業国家オランダ
(12)絶対王政と重商主義にみるフランスの発展
(14)17世紀のイングランド、金貸しが国家に金を貸す基盤が整った!
(16)金貸しが大国の凋落を企図した、フランス革命。
(19)ロシア革命=共産革命による世界的対立構造と、FRB設立を経て、近代市場の最終段階=金貸し支配が完成した
ルネサンス以来、金貸しは数万人に1人の才能を発掘しては芸術家や学者や政治家として育て、また他方では諜報機関や大学や広宣機関(マスコミ)を作ってきた。今日では、諜報機関や司法機関をはじめとする官僚機構や議会、あるいは中央銀行や大学やマスコミの中枢は、そのような金貸しの手先たち=悪徳エリートによって占拠されている。そして、彼らは一貫して、金貸しに都合の良い観念群を作り出し、学校とマスコミを通じて発信し続けている。その観念の代表が戦後教育を貫く個人主義や民主主義であり、金貸しにとってこれほど都合の良い認識はない。
るいネット「金貸しの存在基盤は国家からの収奪。そのための支配戦略が戦争・革命と共認支配。」
ヨーロッパ中の芸術家や職人を集めたメディチ家を始め、金貸したちは大衆の洗脳を始めます。オランダ商人たちに囲われたデカルトが個人主義を唱え、イギリスでは思想家ロックやホッブスをはじめ官僚や法律家らによって「法の支配」〜議会制民主主義を実現しました。
◆中央銀行を創設し、金貸しが「国家に金を貸す」錬金術を完成
※イングランド銀行
(11)現代金融システムの原型とデカルトの思想を生み出した商業国家オランダ
(15)イギリス産業革命・金貸し世紀の幕開け
最初に商人が国家を支配したオランダで、国営為替取引所アムステルダム銀行を設立。紙幣を発行することで実態のない信用システムを確立。先物や信用取引、空売りなど金融商品を生み出し、現在に至るまでバブルが繰り返されています。
その後、オランダ商人が支援したイギリスでは国債引受けを行う中央銀行=イングランド銀行が創設され、今日に至る国家寄生が完成しました。
◆産業革命は資力支配を拡大するために起こされた
※王立協会も金貸しが科学者を支援するために作られた
(15)イギリス産業革命・金貸し世紀の幕開け
農業の発達も科学技術の発達も市場拡大の必要に迫られて実現されました。巷で言われるように産業革命が起こり資本主義が成立したのではなく、金貸し支配=資力支配のために産業革命を起こしたのです。科学者たちを支援したのも金貸しで、彼らに都合のいいもの=市場と戦争を拡大させられるものが次々と発展していったのです。
◆金貸しによる世界支配の完成と終焉
※ヨーロッパにネットワークを築いたロスチャイルド商会。
左から、長男アムシェル、次男サロモン、三男ネイサン、四男カール、五男ジェームズの順
(18)現代の金貸し支配構造を確立したロスチャイルド家
(19)ロシア革命=共産革命による世界的対立構造と、FRB設立を経て、近代市場の最終段階=金貸し支配が完成した
金貸しの中核勢力となったロスチャイルドは世界各国を戦争と革命(内乱)を起こし、傀儡政権によって国家をコントロールし始めました。明治維新、辛亥革命、ロシア革命、二度の大戦など全てが金貸しが引き起こしたものです。マルクスでさえ彼らに利用されたに過ぎませんでした。第二次大戦後の冷戦構造は戦争を起こさずとも軍事が拡大し、ロスチャイルドの手先だったロックフェラーら、金貸しがさらに莫大な財を手にしていきます。
金貸しが国債発行による紙幣の増刷システムを構築したのは、為政者が変わっても国家が続く限り債権は保証されると考えたからです。かつて国王や封建領主たちは債務を放棄することが度々ありました。しかしながら、今や膨れ上がる財政赤字の中、国家が破綻の危機を迎えています。錬金術が通用しなくなった金貸したちが生き残りをかけて暴走を始めています。
私たちが金貸し支配の構造を見抜くことができたのも、彼らのリーク合戦によって洗脳支配に綻びが生じたからです。今、国家破綻・経済破局の危機が迫っていますが、同時にこれは金貸し支配からの脱却の萌芽であると見ることができます。法制共認や民主主義制度から脱し、自分たちの手によって自分たちの社会を築く、新しい共認社会の実現可能性を追求する時代へと突入したのです。
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