今の中国を知る1~GDP・輸出入・外貨準備高~
(引用元) みなさん、こんにちは。 本ブログの新しいシリーズが始まります。世界の中で中国の経済成長は驚くものがあります。現在の中国はどのような状態なのか。経済的な側面からさ中国に迫ります。今回の記事では、GDP・輸出入・外貨準備高の3つを切り口で中国を捉えます。経済成長が著しい中国ですが、他国の経済状況と比較することで中国の特殊性が明らかになりました。それは何か?
■GDP 世界の中で中国の生産力はどれくらいなのか。この疑問を切り口にGDPの調査から開始。国の経済力を示すGDPを第一の切り口として確認していきます。 ●中国の実質GDPの推移(1980~2014年) 中国の実質GDPの推移は、2014年で19.2兆人民元。 (引用元) ※実質GDPは、当年の物価変動の影響を除いたものである。 中国の成長は順調に伸び続けて今を迎えています。この驚異的なGDP推移を他国と比較してみます。 ●各国の実質GDPの推移(1990~2012年) (引用元) 中国はアメリカに継いで、世界第2位。アメリカがGDPを上回っていますが、成長率としては中国が勝っていることが読み取れます。ここでGDPの考え方をまとめておきます。国内総生産(GDP)は、「国内の人々の収入の合計金額」であると同時に、「国内の人々の支出の合計金額」でもあるわけです。国内で、お金を支出するのは、「人(個人)」と「企業(民間)」と「政府」の3つに大きく分けることができます。そして、日本経済は日本国内だけで回っているのではなく、外国との輸出や輸入もしていますので、これらも含める必要があります。国内総生産(GDP)は、個人、企業、政府、外国の支出の合計であり、次の式で表すことができる。 国内総生産(GDP) = 個人消費 + 民間投資 + 政府支出 + 純輸出(輸出 - 輸入) (引用元)
上記を踏まえて、中国のGDPの内訳を確認してみましょう。近年の内訳、世界(BRICs)との比較を紹介します。 (引用元) ※ 総固定資本形成とは、全ての経済主体(国、自治体、民間企業、個人)が、設備や不動産(土地除く)等に投資した金額の合計。 ※ 政府最終消費支出とは、「総固定資本形成」に含まれない支出の合計。消費財の購入や公務員の給料等。政府支出と略す場合も。 ※ 在庫品増加とは、企業や政府が生産したがまだ販売されていない金額、及び備蓄品(石油・資源など)の増減の合計。 (引用元) (引用元) ●GDPに占める消費者と国の関係 この比較から読み取れるのは、総固定資本形成が他国によりもはるかに多く(内訳比率2010年47%)、政府最終消費支出(内訳比率2010年13%)と合わせると、60%を占めます。これは何を意味すのか。 これはGDPに占める政府の投資・消費・支出が多いということが考えられます。つまり国が経済の主体となっている可能性が非常に高い。上記のBRICsの表で他国と比較すると、一般的には他国は個人の消費が多いのですが、中国は逆転の構造になっています。 ■輸出入額 ●中国の輸出入国、輸出品目 <基本情報 2013年> 輸出品目・・・・機械・輸送設備 47.1%、縫製品・ゴム製品・鉱物性生産品 16.3% 輸出相手国・・・アメリカ 17.2%、香港 15.8%、日本 7.4% 輸入品目・・・・機械・輸送設備 35.9%、鉱物性燃料および潤滑油 17.2%、化学品 9.9% 輸入相手国・・・日本 9.8%、韓国 9.3%、アメリカ 7.3% ※世界の企業が中国に生産工場を置いているが、ここからの輸出は中国のGDPにカウントされます。 出典:JETRO ●輸出統計(品目別)最終更新日: 2013年10月31日 単位:100万ドル、% 〔注〕 商品分類はSITCRev.3 〔出所〕 2011年は中国海関統計年鑑2011年版、2012年は中国海関統計2012年12月号 ●輸入統計(品目別)最終更新日: 2013年10月31日 単位:100万ドル、% 〔注〕 商品分類はSITCRev.3 〔出所〕 2011年は中国海関統計年鑑2011年版、2012年は中国海関統計2012年12月号 (引用元) 輸出入の取引額の大きさと共に注目したいのが、アメリカが最大の取引相手であるということ。これは次に紹介する外貨準備高にも関係してきます。 ●外貨準備高
中国人民銀行が14日に発表した9月末の外貨準備高は3兆6,600億ドル(約360兆円)となり、6月末時点より1,600億ドル増加し、過去最高を更新した。中国の保有する外貨準備高は世界最大であり、同2位の日本(1兆2,734億ドル)と比較して約3倍の規模となっている。(引用元) ※外貨準備は、通貨当局が為替介入に使用する資金であるほか、通貨危機等によって、他国に対して外貨建債務の返済等が困難になった場合に使用する準備資産のことをいう。その内訳は、大きく分けて、外貨資産(預金、証券等)、IMFリザーブポジション(IMF加盟国が出資金に応じてIMFから借りられる与信相当額)、SDR(IMF加盟国が持つ特別引出権)、金(ゴールド)となっている。(引用元) 中国の外貨準備は2006年2月に日本を抜いて世界一となり、2009年6月末時点では2兆1,316億ドルとなっている。また、中国の外貨準備は、その7割が米ドルと言われている。また、中国の外貨準備は、その7割が米ドルと言われているが、その大部分が米国債で運用されているとされる。中国全体の米国債保有残高は、2009年6月末時点で7,764億ドルとこれも世界一となっている。(引用元)
こうした米ドル保有の多さが示すのは、一つに取引相手であるアメリカに対して外交上の切り札となることが考えられる。またここまで、米ドル保有を増してきた背景として、
ここ数年、中国では貿易黒字が急拡大すると同時に、海外からの投資も大幅に増加しています。中国企業が輸出で得た代金(外貨=おもに米ドル)を国内で自国通貨の「元(人民元)」に戻したり、海外の投資家が中国の株式や不動産などへ投資するために自国通貨を元に換えたりすることは、元相場の上昇につながります。元が高くなると中国の輸出産業にとっては不利なので、中国の中央銀行にあたる中国人民銀行では、「米ドル買い・元売り」の為替介入を繰り返してきました。その結果、急激に米ドル保有高が増えることになったのです。(引用元)
■不安視される中国の将来 これまで見てきたようにGDPの高さの背景には、国が経済の主体となっている要因がある。しかしこうした過剰な投資はうらはらにゴーストタウン化する不動産、生産能力の活用率の減少は、不整合を感じざるを得ない。
中国の鋼鉄、セメント、電解アルミ、平板ガラス、コークスなどの分野では、生産能力の活用率は70~75%にとどまっている。風力発電設備では70%以下。太陽電池では60%を割り込んでいるという(国際的な判断基準では常80~85%が正常な競争状態)。 中国国内の政策として、(1)内需拡大(2)輸出拡大(3)再編合併(4)環境保護等の規制強化が考えられているようだが、生産能力過剰という構造的な臨界点に達してしまったのでは、1,2はお題目にしかならない。 加熱する投資熱を余所に、中国投資バブルの破裂は、目前に迫っているのではないか? 参考記事:中国のさまざまな分野を苦しめる病「生産能力過剰」
今回の記事ではGDP、輸出入を切り口として中国を調べましたが、次週は、中国の借金状況、国内の財政収支に迫ります! お楽しみに!
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