基軸通貨の衰退過程と金貸しの動き〜その3〜
お待たせしました『基軸通貨の衰退過程と金貸しの動き』を追うシリーズ、最終章第3弾です
その2では、世界恐慌により、さらにイギリスがダメージを受けて、結果的に金の保有量がイギリスよりもアメリカが6倍という結果になったところまでお話ししました。
今回は、その続きをお話したいと思います。
画像の図にもあるのですが、世界恐慌の後、1935年に第二次世界大戦へと突入していきます。
実はその裏で、1934〜1941年の間に、ヨーロッパからアメリカへ1万5千トンもの金が移動しているのです
今回調べていくと、この動きに金貸しが大きく絡んでいることがわかりました。
続きで詳しくお話ししていこうと思います。
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この欧州→米国への大量の金の移動に関して、重要な役割を果たしたのが、BIS(国際決済銀行)という組織です。
【BIS(国際決済銀行)とは?】
この組織は、現在もスイスのバーゼルに存在しています。今現在の役割としては、BIS加盟国の中央銀行間の金・為替売買や預金受け入れ、国際的金融決済や調整などの協力促進を基本目的とする、「中央銀行の中央銀行」と呼ばれる国際特殊銀行です。理事会を構成する主要国の月例会議では、世界の中央銀行の総裁が毎月、一堂に会して、その時々の金融情勢について意見交換がされています。
【BIS設立の経緯】
BISは第一次世界大戦で破れたドイツの戦争賠償処理を主目的として、1930年にニューヨーク連邦準備銀行をはじめとする、世界中の中央銀行が集まり、設立されました。
ドイツは戦後賠償金として1320億マルクという戦前のGDPの三倍近い金額を請求されましたが、その支払先はモルガン商会でした。なぜなら、英国が大戦中にモルガン商会から多額の借金をしていたためであり、ドイツからの賠償金はその返済に充てられたのです。
ドイツの戦後賠償金はパリ講和会議で決定されるのですが、その際、アメリカとイギリスによって賠償委員会が設立されています。そのメンバーはほとんどがモルガン商会などの銀行家によって構成されています。BISの前身は、この賠償委員会です。
…そして、ドイツはこの巨額な賠償金を支払うために国債と交換に紙幣を乱発。結果、ハイパーインフレが起こり、1923年には物価が20億倍に跳ね上がりました。
この驚異的なインフレが、1933年のヒトラー政権の誕生に繫がります。
しかし、ヒトラーの政権掌握以降、BISは、アメリカとイギリスの資金がヒトラーの金庫に流入する窓口の役目を果たすようになり、正反対の機能を持つ銀行になりました。BISは積極的にドイツへの融資を仲介し、その再軍備を大いに支え、ヒトラーの戦争経済に協力し、必要な財源確保に加担したのです。
【アメリカの金保有量の推移】
アメリカは第一次世界大戦前の1917年末には僅かに2250トンの金を保有しているにすぎなかった。それが、大戦が終わった1918年末には4350トンに増加していたといいます。
このことは、この戦争の期間に、アメリカが戦争特需による輸出増加で巨大な債権大国に急成長したことを裏付けます。1930年頃には、20年代の好景気のために、さらに約6800トンにまで金保有量を増加させていました。
そして、1933年、ルーズベルトが米国大統領に就任します。ルーズベルト政権はニューディール政策を旗印にした危機突破の統制経済体制へ移行し、金本位制から離脱しました。これに伴い、国民には景気回復という名目のもと、民間の金保有を法律で禁止して、国内の金をすべて政府が回収したのです
そして、1934年から1941年にかけての8年間で、なんと計1万5000トンもの大規模の金がアメリカ国内に流入したといいます。さらにはアメリカの金保有量が最大になった1946年には、実に約2万2000トンに上りました。
第一次大戦の期間中にアメリカがヨーロッパに農産物や工業品を輸出して得た金の量は2000トンに過ぎないです。なのに、第二次大戦の期間中に、なぜこれほどの莫大な規模の金がアメリカに流れたのでしょうか?
実は、ここにもBISが絡んでいて、ドイツ国内にあったユダヤの資産をドイツから逃がすルートとしても手助けを、ドイツ政府の目から隠して行なっていました。このユダヤ人の資産(金)が、ナチスのユダヤ人迫害政策を逃れてアメリカに渡ったユダヤ人たちとともに、アメリカに移転したのです
そして、その時期のアメリカは民間の金保有を禁止しているので、結果的に、アメリカに渡った金は、すべてアメリカ政府=それを意のままに動かす金貸しの元へと集結し、基軸通貨をポンドからドルへと移行させる準備を整えたのです
こうして、新たな基軸通貨国アメリカが出来上がります。
するとアメリカは国債を発行し、それを受け取った中央銀行が紙幣を刷ることになります。そして中央銀行はアメリカ国債の金利で儲けていきます。その仕組みによって、中央銀行を牛耳っている金貸したちは、アメリカに集まった金をどんどん吸い上げることができるわけです 😈
さて、『基軸通貨の衰退過程と金貸しの動き』を追っていく中で、次のような基軸通貨の崩壊構造が見えてきました。
まずは「1」の冒頭にあったように、
>英国では、産業革命後基軸通貨体制が19世紀半ばに確立したが、基軸通貨になることで通貨の価値は上がっていき、自国で生産された商品よりも、同等の質で安価な他国の商品輸入が多くなっていきます。輸入が多くなると自国産業は衰退し、国力低下につながという衰退過程を持っています。
という、基軸通貨のもつ必然的な崩壊構造(国内産業▼→赤字による国力ダウン)が、崩壊のまず一番の原因ではあります。
ここにプラスして、基軸通貨国の衰退に見切りをつけて、金貸しが新たに基軸通貨にする国に動く戦略を立て、実行することにより、完全に崩壊し、移行するということが加わって初めて、崩壊する構造にあるのです
つまり、ドル基軸通貨体制が崩壊を向かえようとしている今、金貸したちが新たな基軸通貨国として、どの国に目をつけるか?ということが、大きく世界を動かすことになるのです
【参照】 「20世紀はアメリカとイギリスの闘いの世紀だった」
「講演録(ロスチャイルド関連の世界史)」
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コメント10件
hiroshi | 2009.02.24 21:31
金融界は数年間の間に、大きく様変わりしているのですね。しかし、その結果、金融工学なるいかがわしい学問がもてはやされ、今の世界経済危機に繋がっているという一面も忘れてはならないのだろうと思います。鎖国と言うのはあながち悪くない発想だと思います。
雪村総也の不安 | 2009.03.01 1:08
働くことで迷っている方への相談窓口
自民党がやってくれています是非相談してみてください。
http://www.jimin.jp/jimin/info/chusho-voice/index…
まる | 2009.03.03 11:58
コメントを入力してください
日銀は金融緩和と言いながら実はマネーサプライを増やしてませんからね。
10-12月期のマネーサプライ増加率を見ますとFRBは9%、ECBは8%に対して日銀は1.8%ですから・・・
100年に一度の金融危機に際してやってる事は逆ですね。
モンブラン | 2013.06.06 16:32
そして次に書き味です。文字を書くときの抵抗が少なく、なめらかです。
アバクロ 通販 | 2013.06.07 13:05
友人の購入した物でフードなしのタイプがありました。ただ、その場合は、購入時にフードが無いタイプであると分かっていて購入したみたいです。
フェラガモ | 2013.06.07 22:12
ご自身の体験談ありがとうございます。人それぞれ相性は必ずあるんだと確信できました。
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