2017-09-01

世界を動かす11の原理-10~世界の「出来事」は、国の戦略によって「仕組まれる」①~

 

靖国参拝 反日

今回から第9の原理:『世界の「出来事」は、国の戦略によって「仕組まれる」』を紹介します。

2013年12月の安倍首相の靖国神社参拝を契機に、14年2月に掛けて、短期間ですが、日本は世界でとても孤立させられていた。ちょうど反日感情が高まった時期です。

日本のマスコミは、中韓の日本バッシングしか報道しませんが、実は、アメリカ、イギリス、EU、オーストラリア、ロシア、親日の台湾までが日本を批判していたというのです。

靖国参拝を過去6回も行った小泉元首相のときは、中韓が騒いだだけで、その他の国々は我関せずのスタンス。安倍首相のときに限って、なぜこのような状況になったのでしょうか。

これはある国の戦略によって「仕組まれた」ものだったとのこと。ある国とは、中国だという。(その内容については、次回に回します。)しかし、当ブログがこれまで追求してきたように、金貸し支配の世界で、ある一国だけでおこす「出来事」まずあり得ない。今回の記事では、そこまで書いていないので、以下の記事を参考に、背後の金貸しの思惑も推測しながら、読んでいただければ面白いと思います。

参考記事:

反日が煽られ、中韓の脅威が煽られる本質とその先にあるもの①

反日が煽られ、中韓の脅威が煽られる本質とその先にあるもの②

以下、「クレムリン・メソッド」~世界を動かす11の原理~(北野幸伯著)

からの紹介です。

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■■9の原理:世界の「出来事」は、国の戦略によって「仕組まれる」

「戦略(企み)」が咲きにあり、歴史的「事件」や「現象」はその後に起こる(その結果として起こる)ということ。

■私はなぜ「日本の孤立」を予測できたか?

世界情勢にあまり興味のない人は、驚かれたかもしれません。

短期間ですが、2013年末から14年2月に掛けて、日本は世界でとても孤立していた。

きっかけは、安倍総理が2013年12月26日、靖国神社に参拝したことです(実をいうと、これは表層的な理由です。真因については後述します。)

「え?全然孤立してないでしょ?だって、靖国参拝に反対してたのは、中国と韓国だけですよ」

おそらく、日本人のほとんどがこんな反応だと思います。

しかし、「反対したのは、中国、韓国だけ」というのは「事実」ではありません。

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世界のリアクションを見てみましょう。

◆2013年12月26日、安倍総理の靖国参拝について、アメリカ大使館が「失望した」と声明を発表。

◆アメリカ国務省も「失望した」と、同様の声明を発表。

◆英「ファイナンシャル・タイムズ」(電子版)は、安倍総理が「右翼の大儀実現」に動き出したとの見方を示す。

◆EUのアシュトン外相は、(参拝について)「日本と近隣諸国との緊張緩和に建設的ではない」と批判。

◆ロシア外務省は、「このような行動には、遺憾の意を抱かざるを得ない」「国際世論と異なる偏った第二次世界大戦の評価を日本社会に押し付ける一部勢力の試みが強まっている」と生命。

◆台湾外交部は、「歴史を忘れず、日本政府と政治家は史実を正視して歴史の教訓を心に刻み、近隣諸国や国民感情を傷つけるような行為をしてはならない』と厳しく批判。12月27日、米「ニューヨーク・タイムズ」、社説「日本の危険なナショナリズム」を掲載。

◆12月28日「ワシントン・ポスト」は、「挑発的な行為であり、安倍首相の国際的な立場と日本の安全をさらに弱める」と批判。

◆同日、オーストラリア有力紙「オーストラリアン」は、社説で「日本のオウンゴール」「自ら招いた外交的失点」と指摘。

◆12月30日、米「ウォール・ストリート・ジャーナル」、「安倍首相の靖国参拝は日本の軍国主義復活という幻影を時刻の軍事力拡張の口実に使って北中国指導部への贈り物だ」(つまり、「日本で軍国主義が復活している」という、中国の主張の信憑性を裏付けた)。

◆同日、ロシアのラブロフ外相は、「ロシアの立場は中国と完全に一致する」「誤った歴史観を正すよう促す」と語る。

 

これらを見ると、「反対なのは中国、韓国だけ」という日本国内の報道のされ方は、かなり強引であったことが分かるでしょう。

実際には、中韓に加え、アメリカ、イギリス、EU、オーストラリア、ロシア、親日の台湾まで、靖国参拝を批判していたのです。

 

そして、この問題は長期化し、「日本はますます孤立化していく」兆候を見せていました。

たとえば、米「ブルームバーグ」(アメリカの大手総合情報サービス会社)は2014年2月19日、「日本のナショナリスト的愚考、米国は強い語調で叱責を」という社説を掲載しています。

何が書いてあったのか?

 

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悪いことに、日本は米国からの支持を受けて当然と思っているようだ。バイデン米副大統領が事前に自制を求めていたにもかかわらず、安倍首相は靖国参拝を断行した。非公開の場でこの対話の内容はその後、戦略的に漏洩された。おそらく、安倍首相の尊大な態度を白日の下にさらすためだろう。

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安倍首相の『尊大な態度』を白日の下にさらすため」だそうです。

アメリカの本音は、「属国日本の長(安倍首相)が、宗主国アメリカ・ナンバー2(バイデン副大統領)の要求を無視するとは、何と傲慢な!」ということなのでしょう。

 

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米国は反論すべきだ。

それも通常より強い言葉で切り返すべきだ。4月のオバマ大統領のアジア訪問は、中国政府の外交的冒険主義を容認しないことを改めて表明する良い機会であると同時に、安倍首相の挑発がアジアの安定を脅かし、日米同盟に害を及ぼしていることをはっきりと伝えるチャンスだ。(同前)

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要するに、「オバマよ、2014年4月に日本にいったら、『ガツン』と言ってやれよ!と主張しているのですね。

 

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日本が何十年もかけて築いてきた責任ある民主国家として受ける国際社会からの善意を、安部首相は理由もなく損ないつつある。首相が自分でそれに気付かないのなら、米国そして日本国民が分からせてあげられるだろう。(同前)

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つまり、「尊大な」安倍総理が悔い改めないならば、アメリカが「分からせてあげよう!」と。これは、一種の脅迫です。

 

(中略)

 

普通の人は、「安倍総理が靖国に参拝したから孤立した」と考えますね(私もそう書きましたが、靖国参拝が大元の原因ではありません)。

つまり、普通だったら、「総理の靖国参拝」という「事件」「現象」が先にあって、「日本孤立」という「結果」が起こったと考える。

 

ちなみに、日本の保守政治家や保守系メディアは、当時、「総理が靖国参拝してもたいしたことはない」と予測しました。少なくとも、アメリカや欧州から厳しい批判が出るとは想像できなかった。

なぜか?

元首相の小泉純一郎さんは在任中、何と6回も靖国を参拝している。

当然、中国と韓国は起こっていた。

しかし、アメリカは、ほとんど「ノー・リアクション」だった。

それで、保守政治家や保守メディアは、「今回もたいしたことはないだろう」と高を括っていた。

ところが蓋を開けたら、世界的第バッシング!

「何が起こったのだ!!」と、みんな、訳がわからなかった。

 

次回、『中国の強力なプロパガンダ(戦略)があって、日本の孤立(事件)が起こった』で明らかになります。

 

 

 

 

List    投稿者 tasog | 2017-09-01 | Posted in 07.新・世界秩序とは?, 08.金融資本家の戦略No Comments » 

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