2011-08-14

人工地震の可能性!?〜番外編:MUレーダー見学レポート

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観測所の敷地内から見たMUレーダー

以前、人工地震について追求したシリーズのエントリーで、「日本にもHAARPがある」と紹介したことがある。
●HAARPは世界中に(日本にも!)ある!!!
HAARP最新の設備基地の場所が、全世界二十数カ所あるそうです。(参照:In Deep
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世界のHAARP基地

また、日本でも京都大学生存圏研究所として1984年に滋賀県甲賀郡信楽町にMUレーダーという名称で設置されていました!気象から超高層にいたる地球大気変動の解明が目的のようです。(参照:京都大学生存圏研究所
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MUレーダー

甲子園球場ぐらいの土地に、475本のアンテナで、出力は1000kwの電磁波を放出可能なようです。日本にもHAARPがあったんですね。衝撃です。紹介ビデオによると、アジア初のHAARPらしいです。

そして、MUレーダーは施設の一般見学も受け付けているようなので、人工地震シリーズの締めくくりのエントリーでは、
近々、前々回のエントリーで紹介した京大のMUレーダーを仲間と見学に行くつもりなので、その際に、HAARPがどの程度の探査能力を持つのか調べてみたい

と書いていた。
そこで、事前に研究所にアポを取り、7月のある日曜日にブログメンバー6人で滋賀県・信楽にある京大生存圏研究所MU観測所へと向った。

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車一台がやっと通れる細い林道を抜けてMUレーダーに着くと、京大生存圏研究所のFさんが出迎えてくれ、最初に施設の概要について説明を受けた。
●MUレーダーで何を研究しているのか?
京大生存圏研究所HPのMUレーダーの紹介では、下記のように説明している。

MUレーダーは中層大気(Middle Atmosphere)と超高層大気(Upper Atmosphere)を観測するために作られた大型大気観測レーダーです。さらに下層の対流圏も詳細に観測することができます。世界最高性能かつアジア域最大の大気観測レーダーで、 1984年の完成以来「全国共同利用装置」として国内外の研究者に利用され、気象から超高層にいたる地球大気変動の解明に貢献しています。

京都大学生存圏研究所より


以下、見学時に受けた説明を思い返して、要点を書いてみる。
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MUレーダーの観測領域 京都大学生存圏研究所より

MUレーダーは、上空1,000kmから1.5kmまで電波を送受信することができる。(ちなみに、スペースシャトルは上空300km、宇宙ステーションは上空350kmを飛んでいる。)もともとは、宇宙観測を指向していたが、現在の使用目的は気象観測6割・宇宙観測4割という
MUレーダーに使用されているアンテナは、「八木アンテナ」といい、テレビの受信用アンテナから軍事用レーダーまで幅広く使われている。1926年に日本人によって発明されたものであり、現在でも汎用性の高さと精度の高さで右に出るものはないという。MUレーダーのアンテナは、南北方向と東西方向に直交したものである。
アンテナ1台あたり2.5kWの送信出力(地方のFMラジオ局並み)を持ち、総送信出力は1MW=1,000kWという。中心周波数は46.5MHzで、周波数帯域は3.5МHzという低い周波数を使っている。
1MWの電波を出力しても、上空で反射して返って来る電波は、出力した電波の10マイナス11乗程度の微弱なものだという。
●なぜ475本もアンテナが必要なのか?
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たとえば直径100mの巨大なパラボナアンテナを作っても、ビームの方向を素早く切り替えることができず観測には不向きである。
そこで、475本の独立したアンテナを並べて、1本1本のアンテナが電波を出す方向・タイミングを毎秒2500回切り替えて、走査性を良くしている
これをフェーズドアレイ・レーダーシステムといい、最初は軍事用レーダーとして開発されたものだが、現在では軍事用・民生用ともに様々な分野で使用されている。(ex.弾道ミサイル、携帯電話の基地局など。)
MUレーダーは、1本1本にそれぞれ電波送受信機が実装されているアクティブ式のもので、日本で初・世界でも2〜3番目に作られたフェーズドアレイ方式のレーダーだそうだ。
このほかに、音波を上空に向けて発し(150dbもの音量らしい)、ドップラー効果による反射速度の違いから生じる周波数の違いを解析して、気流や温度・風向きの細かい変化を押さえて、前線の動きの観測などもしている。
次に、MUレーダーが立つ敷地の中を、Fさんに案内をしてもらった。
●MUレーダーの気象観測方法
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甲子園球場とほぼ同じ面積のすり鉢上の敷地に、八木アンテナが475本立っている様子は、間近に見ると壮観だった。
MUレーダーが立っているすり鉢上の敷地は、水はけを良くするために中央が高くなっているが、一本一本のアンテナの高さが同じになるように、土台のブロックの高さが調整されていた
Fさんによれば、この辺りの細かさが日本の観測施設の特徴で、アメリカでは取り敢えず観測できればいいという発想らしく、もっと大雑把にレーダーが設置されているとのこと。

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MUレーダーでは、毎年アンテナの電波の位相を1台ずつ測って調整し、レーダーからデータを送るケーブルの長さも調整しているそうだ。

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研究所の中にあるMUレーダーを操作し、送られてくるデータを解析するコンピューターを見せてもらった。たった1台のパソコンでMUレーダーを操作でき、サーバーも非常に小さいものだった。
MUレーダーから発信した電波を電離層などの大気で反射させ、それをMUレーダーで受信してコンピューターで解析して、温度・風速・水蒸気を高い精度で観測している

観測したデータは、全世界に公開しているので、誰もが自由に使うことができる。
また、MUレーダーは京大の施設ではあるが、共同利用研究施設でもあり、申し込みをすれば誰でも研究に利用することができる。
●気象観測の精度上昇に貢献する装置群
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MUレーダーでは測ることのできない、上空1.5km以下の気象も観測できるようにしたLバンド下部対流圏レーダー。
これを、気象庁が31台購入し、気象予報の精度上昇に役立てているそうだ。
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電離層観測用レーダー
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下部熱圏プロファイラレーダー

この他にも、広大な施設内には、電離層観測用レーダー・下部熱圏プロファイラレーダーや、南極昭和基地で気象観測に使う試験用のアンテナなど、気象観測装置がたくさん置いてあった。
施設内の見学が一通り終わると、研究所の応接間に戻って質問を受け付けてくれた。
●電離層と地震の関係
気象観測とは離れるが、ここに来た本来の目的である質問をしてみることにした。地震と電磁波の関係についてである。
Q.「地震が起こったときに、電磁波による何らかの影響を観測することはできるのでしょうか?」
A.「地球の大気は、普段地球上にいる我々にとっては何も感じないが、かなりの質量があります。電離層は、上空100km以上にあって高温状態のため、大気がプラズマ状態になった(電子が原子核から離れて動いている)層で、下層の大気より密度が薄くて軽いのです。」
「そのため、3・11東北大地震のようなМ9クラスの地震が起こると、たとえば海面が1,000km以上に渡り約5mも変動します。このとき、大きな衝撃(大気の波)が発生し、電離層に大きな擾乱が起こるのです。だから、大地震が起こった後に電離層の異変を観測することは容易です。ただし、電離層は様々な影響を受け易いので、どれが大きな地震の予兆なのかを事前に特定し、いつ・どこで地震が起こるのかを予知することは難しいと思います。」
とのことだった。
●電磁波によって人為的に地震を引き起こすことは可能なのか?
最後に、とっておきの質問をしてみた。
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Fさんは、

気象などの地球環境に影響を及ぼすには、想像以上に莫大なエネルギーが必要です。

だから、М9クラスの地震を引き起こそうとしたら、難しいのではないでしょうか。

ただ、どれだけのエネルギーが必要なのかを計算して出すことはできます。面白そうなので、試しに計算してみます。」

と答えてくれた。さらに、質問を続けた。

Q.「電磁波は地中まで届くのでしょうか?」

A.「水は電磁波を吸収しやすく、海中では電磁波が減衰してしまうので、海底まで電磁波を届けるのは不可能です。地面を温めることなら、電子レンジと同じ原理でマイクロ波を使って出来ると思います。」

研究所を出て一緒に記念撮影をして、別れの挨拶をして車に乗り込んだ。最後まで笑顔で手を振って見送ってくれた。

●まとめ
MUレーダーは、気象の定量観測や気象に関する様々な研究を行ない、それが気象予報の精度上昇に役立っている。観測データおよび研究施設全体が一般に公開されており、ネットで噂される「日本版HAARP=気象兵器」とは無縁のようである。
ただし、電離層が電磁波によって影響を受け易いのは確かである。
地震と電磁波の関係については、現在でも未知の部分が多い。というよりも、ほとんど研究されていないのが実態のようだ。今後、地震のメカニズムの解明や地震予知の研究が進んでいくことを期待したい。

List    投稿者 daiken | 2011-08-14 | Posted in 08.金融資本家の戦略6 Comments » 

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コメント6件

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