金貸し、窮地の暴略 その1 〜ロックvsロスチャvs欧州貴族の覇権闘争史の再整理〜
現在の世界経済を見る上で、欧ロスチャイルドVS米ロックフェラーの覇権闘争の視点は欠かすことはできません。
記憶に新しい、ニクソンショックや9.11テロといった世間を騒がせた出来事の背景には、彼ら支配者層の存在が大きく関係しています。
このシリーズでは、私たちの目が届かない場所で、現在、ひいては今後、どのような動きを見せるのかを予測していきます。
まず、今回のエントリーでは、現代において第一権力化したマスコミですら表立って発信できない闇の構図を、2010年夏に開かれた「なんでや劇場」を振り返ることで改めて固定していきたいと思います。
写真はこちらからお借りしました。(左:ロスチャイルド,右:ロックフェラー)
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ニクソンショックの狙いは、直接的にはドル=金兌換の停止であるが、その背後にあったのは60年代を通じての米国の輸出力の低迷とその結果としての’70年貿易赤字国への転落という問題である。つまり、円高ドル安に誘導することで、アメリカの輸出力を再生させることが、最大の目的であったといえるだろう。従って、ニクソンショックは国内産業にその力の基盤を置く、ロックフェラー勢によって仕掛けられたとみていいだろう。(ニクソン政権は共和党政権でもあり、共和党に影響力の大きい、ロックフェラー勢が主導したとの見方と整合する。)
しかしこのドル=金の兌換停止は、ドルを自由に発効する権利をFRBが手にしたということでもある。従って、ロックフェラーが仕掛けた起死回生策は結果的に、FRB内において金融資本主義の錬金術に長けたロスチャルド勢にも大きな力をもたらすことになったとみることができる。(とはいえ、ロスチャイルドは欧州貴族たちから預かった金に責任をとる立場であり、欧州貴族に不信を与えるドル=金兌換停止を首謀したとは考えにくい。)
他方アメリカに金を貸し付けていた、欧州貴族勢には、自分たちの預けた金をどうしてくれるんだ?とニクソンショックを契機にアメリカへの不信が生まれた。従って、ニクソンショックは欧−米間の金を巡る暗闘の始まりだったともいえる。
主と番頭の関係から、次第に対立を深めていった欧ロスチャイルドと米ロックフェラー。
ニクソンショックを仕掛けたのはロックフェラーですが、最後に痛手を被ったのも本人でした。
金兌換を停止しドルを自由に発行できるようになったことで、アメリカの輸出力は回復に向かいかけました。
これは、産業資本に立脚するロックフェラーを利することになります。
一度は優勢にたったロックフェラーですが、この状況が面白くないロスチャイルドは次の手を打ちます。
写真はこちらからお借りしました。
◆ロスチャイルド、オイルショックで反撃の一手
素人発想では、石油利権を握るロックフェラーの仕掛けと考えるところである。しかしその後の、ロックフェラー系の石油会社の凋落からみても、オイル上昇が、石油利権を握るロックフェラーに有利な政策であったとは短絡的にいえない。(かつて主要石油会社はセブンシスターズと呼ばれた米英系企業が主流であったが、現在、米英勢の影響力は大きく低下しているし、オイルショックをきっかけに石油利権派に対抗する原子力利権勢力が伸長していっている。)
またオイルショックの火付け役となった「ピークオイル説」の発信源はローマクラブという欧州系のシンクタンクであった。
従って、ロックフェラーによる仕掛けというよりも、ロスチャイルド=欧州貴族連合がOPEC等産油国を巻き込んでロックフェラー勢に仕掛けた反撃の第1弾、とみた方がいいだろう。
ニクソンショックにより力を付けたロックフェラーに対し、ロスチャイルドが仕掛けます。
石油利権を握るロックフェラーの石油会社の株を大量に保有していたロスチャイルドにとって、その仕込みは万全でした。オイルショックを契機に石油関連企業の株がつり上がったところで、一気にその株を売りに入ったのです。
これには、ロックフェラーもひとたまりもありませんでした。
写真はこちらからお借りしました。
◆ロックフェラーによる日本籠城計画
ニクソンショックによって円高ドル安に振れたものの、アメリカの輸出力は回復することなく、アメリカはますますその覇権を失っていった。
’81年レーガン政権が樹立され、強いアメリカが掲げられ、新自由主義路線が宣言され、
’83年日米貿易摩擦の深刻化、
’85年アメリカ債務国に転落、
’84年日本に金融自由化を迫り、
’85年にはプラザ合意(人為的な円高ドル安誘導政策)が結ばれる。
同時に、’85年電電公社、’87年国鉄の民営化も新自由主義経済の旗印の下に進められた。
つまり、経済力での劣勢を認めるしかないアメリカ=ロックフェラーは貿易と金融の自由化と民営化というプロセスを通じて、政治力を行使して、日本の政治家や官僚たちを抱き込んでいった、あるいは「日本を再占領した」のだといえる。その象徴が、日本には圧倒的に不利なプラザ合意であったし、それを主導した中曽根こそが日本側におけるロックフェラーの手先たちの親玉であった。
つまり、レーガン共和党が主導した、新自由主義を背景とした日本市場開放圧力とは、国内経済が回復しないアメリカ=ロックフェラー勢による日本再占領計画であり、言い換えれば、追い詰められたアメリカ=ロックフェラー勢による日本篭城計画だったともいえるだろう。
この追い詰められたロックフェラー勢による日本再占領計画=日本篭城計画は、小泉フィーバー→郵政民営化を通じて、マスコミ権力をも支配化に置き、異常なまでの小沢バッシング、普天間偏向報道と、ますます暴走の度合いを高めている。
オイルショックで痛恨の打撃を受けたロックフェラーは、85年のプラザ合意で人為的に円高ドル安を誘導し、日本国営機関の買収に走りました。
85年には電電公社(現,NTT)、87年には国鉄、そして、記憶に新しい郵政民営化と、日本を取り込むことで生きながらえてきました。
◆どこまでも上手なロスチャイルド
しかし、郵政民営化の果実を食べたのはロスチャイルドの方でした。
この時、ロックフェラーは当時の大統領であるブッシュ—小泉ラインを使い、郵政民営化を働きかけました。
郵貯が自社の運用を民間に委託した際、入札に名乗りを上げた中にあのゴールドマンサックスが参入していたのです。結果、ゴールドマンサックス破格の入札価格(金を払ったのはゴールドマンサックス)で公称成立しました。
肝心なのは、このゴールドマンサックスが、ロスチャイルドの手中にあるということです。
ロックフェラーが進めた籠城計画でしたが、最も大きな果実である郵貯を手中に収めたのは、ロスチャイルドだったのです。
写真はこちらからお借りしました。(左:郵貯,右:ゴールドマンサックス)
◆ますます力をつけるロスチャイルド
一方、欧ロスチャイルドはあの08年リーマンショックで更に力を蓄えます。
リーマンショックでロスチャイルドに金が流れた構造は、CDS契約の事なしには語れません。CDS契約とは、企業が借金を返済出来なくなった場合に、他の保険会社或いは全く無関係の第三者同士で保険料のやり取りが行われるという、所謂バクチ保険のことです。
リーマンブラザーズのCDSを引き受けていたのが世界一の保険会社であるAIGでした。
おおくの投資家がAIGとCDS契約を交わしている中、リーマンブラザーズが突如破綻に見舞われます。
そうなれば大損をかくはずのAIGですが、AIGもろとも破綻すれば世界が大混乱に陥る為、それを危惧したアメリカが空かさず公的資金を注入します。
ここで、重要な事がもうひとつあります。AIGに膨大な金を貸していた投資会社が存在するのです。それが、あのゴールドマンサックスだったのです。
AIGに注入したこの公的資金は、ゴールドマンサックスへの支払に使われました。
結局は、リーマンショックで得をしたのは、ロスチャイルドだったのです。
写真はこちらからお借りしました。
◆今後の彼らの策略とは?
08年リーマンショック以降、世界の覇権はロスチャイルドが握っているというのが一般的な見解です。既にガタガタのロックフェラーは、現在、せめて戦争をすることで生きながらえているというのが実状のようです。
今回は、2010年時点のなんでや劇場を振り返り、勢力構造を再度固定してみました。
次回は、彼らがおかれた状況を過去の出来事を抑える中で、より構造的に見ていきたいと思います。
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