働くZ世代の意識調査~これからの社会はどうなる~
10年ほど前からZ世代(概ね1990年代中盤から2000年代終盤、または2010年代序盤までに生まれた世代)と呼ばれる若者が社会の担い手として働き始めました。
これからの日本を背負っていく若者の意識はどこにあるのか。意識調査を基に分析してみましょう。
【Z世代の仕事に関する意識調査】 ※(SHIBUYA109 lab.調べ)より引用、抜粋。
【1】61.3%のZ世代が「人前で褒められたくない」。
→「仕事上でのコミュニケーションについて、社内の人とプライベートな話を共有したいか」という問いに対し、「共有したい」が42.6%、「共有する必要はない」が57.5%と、意見が分かれる結果となりました。
→「職場でSNSアカウントを交換している相手」を調査してみると、Instagramについては「誰とも交換していない(42.6%)」が次点の「同じ部署の同期・同世代の同僚(20.0%)」と大きく差をつけて最多となりました。
→「理想の上司像」について聞いてみると「わかりやすい言葉で説明してくれる(53.3%)」「丁寧に教えてくれる(46.7%)」「気軽に相談しやすい(45.3%)」などが「リーダーシップがある(27.3%)」「決断力がある(24.6%)」「実績や結果を残している(21.4%)」よりも上位になりました。周囲を引っ張っていくリーダーよりも、より同じ目線に立てるコミュニケーション力の高いリーダーを求めていることがわかります。
【2】デジタル化できていない職場環境にZ世代もイライラ!若者の理想の職場・働き方とは?
→「働くZ世代が勤務先について特に「古い」「遅れている」と感じること」について聞いてみると、「IT環境・電子機器関連(機器の古さ、対応の遅さなど)(31.9%)」「業務の電子化(ハンコ・経費・書類申請など)(27.0%)」「働き方(リモートワーク・労働時間など)(22.4%)」が上位となり、業務上のコミュニケーションよりも、設備や制度に対しての遅れにストレスを感じることが多いとわかりました。
→「働くZ世代が考える理想の職場」は、「休み・有休が取りやすい(59.9%)」「給料が多い/仕事に見合った報酬(56.2%)」「プライベートの時間も確保できる・残業が少ない(53.3%)」といった回答が多く、「達成感のある仕事ができる(22.4%)」「転職に有利(10.7%)」といった、成長を目指す回答よりも上位であることから、よりプライベートとの両立がしやすい環境を理想と考えていることがわかります。
→「理想の働き方」については、「好きなことでお金を稼ぐ(38.9%)」「場所にとらわれずに働ける(38.7%)」「週休3日制(34.3%)」という仕事内容やワークライフバランスに関する項目が、「副業ができる(21.7%)」「フリーランス・個人事業主として働く(12.9%)」などの収入や経験の増加に関する項目よりも上位になっており、私生活を主軸にした仕事観を持っているようです。
→「仕事の価値観について」の回答も、「仕事の充実」よりも「プライベートを充実させて生きていきたい」と回答したのが68.1%、「仕事で人生を充実させる」よりも「仕事は私生活をするための資金集めの手段だ」と考えているのが63.8%、働くのは「会社のため」ではなく「自分のため」と考えているのが74.2%となりました。
【3】27%のZ世代は「出世したくない」し、無理せずサステナブルに働きたい。Z世代が描く将来像
→「将来的にどこまで出世したいと考えますか」という質問に対し、最も多かったのが「出世したいと思わない(27.0%)」、次いで「チームのプロジェクトやリーダー・主任(12.9%)」という結果となりました。
→「出世したくない理由」としては、「責任が重くなるから(56.5%)」「プライベートを重視したいから(39.9%)」「仕事量と給料が釣り合わないから(34.5%)」「労働時間が長くなるから(32.3%)」等が挙げられています。目標が現実的な視点で語られるほか、肩書に固執するのではなく、裁量権を持って自分の適性にあった働き方で働きたいという思いがあると考えられます。
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【追求ポイント】
・Z世代の意識は、「福利厚生」「給与水準」など、より実利的な部分が重視される傾向へ。
・「私生活を充実させるための仕事」という位置づけで捉えている若者が増加。→自分が中心。
・1970年代以降豊かさが実現されて以来必死で働かなくても生活が送れる世の中に変わっていったことから、わざわざリスクをおわなくてもよい生き方=働き方に移っていった?
・仕事はやめて、好きなことでお金を稼ぐ若者が増加。→企業は人材不足。
・私権獲得(お金や地位・名誉など)のために働くという1つの考え方から変わって、人々の働き方に対する意識は多様化してきている。
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