2013-03-01

【13】『世界経済の現状分析』ロシア経済の現状(ファンダメンタルズ)

前回まではEU経済全体を見てきましたが、今回からは2回に渡り、ロシアに焦点を当てていきたいと思います。そこで、まず今回は【13】ロシア経済の現状(ファンダメンタルズ)と題し、最近のロシアの経済状況やプーチン大統領の公約について調べてみたいと思います。
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<画像はこちらからお借りしました>
『世界経済の現状分析』シリーズ過去記事は以下をご覧ください。
『世界経済の現状分析』【1】プロローグ
『世界経済の現状分析』【2】米国経済の現状(ファンダメンタルズ)
『世界経済の現状分析』【3】米大統領選の分析その1(両候補の政策の違い)
『世界経済の現状分析』【4】米大統領選の分析その2(両候補の支持層の違い)
『世界経済の現状分析』【5】米大統領選の分析その3(米大統領選の行方?)
『世界経済の現状分析』【6】中国経済の基礎知識
『世界経済の現状分析』【7】中国経済の現状(ファンダメンタルズ)
『世界経済の現状分析』【8】中国、新体制・習近平でどうなる?
『世界経済の現状分析』【9】中国経済のまとめ
『世界経済の現状分析』【10】欧州経済の現状①(ファンダメンタルズ)
『世界経済の現状分析』【11】欧州経済の現状②(独・仏 VS PIIGS 格差問題の分析)
『世界経済の現状分析』【12】EU経済の現状③(EUの政治状況、右翼化?)
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■ロシアの経済状況
以下、第1章 世界経済の動向 2.ロシア経済 より抜粋より
□GDP
ロシア経済は2008年の世界金融危機の影響を受けて大きく落ち込んだが、原油等のエネルギー価格の上昇に支えられ順調な回復を遂げた。(中略)している。2011年の成長率は、2010年と変わらず前年比4.3%増を記録した。

□失業率
エネルギー価格の上昇が輸出価格の上昇を通じて企業業績を押し上げた結果、雇用情勢も順調に改善し、世界金融危機直後に9%台にまで上昇した失業率は6%台にまで低下している。

□貿易
世界的な景気減速局面でも、エネルギー価格の高止まりから輸出は前年比20%増を上回る水準で推移している。(中略)また、ロシアは地理的な近接性などからEUへの輸出が輸出総額の54%を占めており、スイスと並んで欧州依存度が著しく高い輸出構造でもある。このため、欧州債務問題の深刻化や資源価格の下落が発生した場合、欧州に対する輸出の減少や、輸出価格の下落による影響を被る可能性がある

■プーチン大統領の公約(主に経済に関するもの)
【ロシア】 プーチン政権の優先政策課題 海外立法情報課・小泉 悠より

2012年5月に発足したプーチン政権は、経済、社会、行政、外交・防衛等の優先政策課題について、2018年前後を達成期限とする中期計画を打ち出した。
●大統領令第596号「政府の長期経済政策について」
経済政策上の達成目標を定めたもので、ロシア経済の弱点とされてきた投資環境の改善、産業のハイテク化、生産性の向上等に重点が置かれている。
●大統領令第597号「国家的社会政策の実施について」
これまで非常に低水準であった教師や医師の給与を引き上げるとともに、労働生産性の向上や熟練労働者の増加に主眼が置かれている。
●大統領令第600号「ロシア国民に低廉で快適な住宅を供給するとともに、公共住宅の質を改善するための施策について」
ロシアの住宅事情は極めて悪く、2002年の国勢調査では約3400万戸の住宅のうち、1430万戸に上下水道、温水供給、トイレなどの設備がなかった。(中略)2020年までにロシアの全世帯の60%に低廉な価格で快適な住宅を供給することを目標として掲げている。
●大統領令第605号「ロシア連邦の対外政策の方針を実現するための施策について」
ロシアの対外政策に関する基本的な方針や政策課題が列挙されている。これによると、ロシアの対外政策の目標は、ロシアの発展に寄与する互恵的関係の構築、国際社会における法の支配及び国連を中心とする国際秩序の追求、BRICS・G20・G8・上海協力機構等における多国間対話の活発化、大量破壊兵器の拡散・国際テロリズム・麻薬流通・組織犯罪・地域紛争等の脅威に対抗する国際的な結束の推進などである。
アジア太平洋に関しては、シベリア及び極東地域の社会経済発展のために同地域の地域統合にロシアが参加することが必要であるとの認識が示されているほか、新たな地域的安全保障の枠組みの設立を主導すること、東アジア・サミット及びASEANとのパートナーシップにおける喫緊の課題に対して提案を行うことが課題である。また、地域内のパートナー国としては、中国との関係が「平等で信頼のおけるパートナーシップ及び戦略的な相互関係」とされ、 インドベトナムがそれに次ぐ「戦略的パートナー」と位置づけられた。これ以外には、 日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド及びその他の国々との協力関係を発展させるとしている。

■まとめ
ロシアは、天然ガス・石油・石炭の埋蔵量において、世界でもトップクラスに入る資源大国であり、価格が上昇しているエネルギー資源を輸出することで、高いGDP・低い失業率を維持しています。現状は安定した経済状況ですが、エネルギー資源に頼っている以上、原油や天然ガスの価格動向や輸出相手国の経済状況に大きく影響を受ける構造となっています。これまでの主な輸出先だった欧州は景気回復の見通しが立たず、今後伸びしろが大きいアジア太平洋地域へと関係を深化させようとしているのはこのためです。特に、中国、インド、ベトナムを戦略的パートナーと位置づけているようですが、日本との関係をどのように考えているのでしょうか。
次回はそのあたりを追及してみたいと思います。お楽しみに。

List    投稿者 fujita | 2013-03-01 | Posted in 07.新・世界秩序とは?No Comments » 

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