2010-02-15

宇宙船地球号パイロットのマニフェスト(12)                 トリフィン・ジレンマのない「アトム」だから「UNI」に出世できる

シーランドについては、「世界中でただの一カ国も承認をしていない国に、いったい何の価値があるんだ」という意見があります。筆者がシーランドだけがもつ希少価値について、それをどのように生かそうと考えているかについては、すでに十二分に説明しきったつもりです。
その上で、シーランド公国については、筆者らがその統治権の買収を完了するまでは、なるべく現状のままであることを期待しています。評価が低いほど買収が容易になるからです。実はこのように書きながらも、筆者らが極秘に進めている買収工作に横槍が入るリスクについて、無自覚でいるわけではありません。しかしながら、土台この小論にしてからが、シーランドの実名を匿名にしてしまったのでは画竜点晴を欠くという、きわめて痛し痒しの状況を認識しつつオープンにしているということでもあります。
もちろんシニョリッジ特権の確保とトリウム炉の実験実証の基地として、シーランドに代替できる対案が無いわけではありません。さりとて地政学的にシーランドに優る所もそうそうにありうるものでもありません。
シーランドの統治権買収については、過去虚虚実実さまざまな報道がありました。ビルゲイツがマイクロソフトの登記をシーランドに移すと言ってみたり、パイレート・ベイが買収を計画したり、あるいはカザフスタンの商社マンが買収したという報道がなされたり、最近ではグーグルが買収を検討しているという噂が飛び交ったりしました。まさに話題に事欠かないスキャンダラスな存在でもあります。
ということで、12回目をお届けしますが、例によって今後の進捗を一覧にしておきます。バックナンバーについては、リンクになっています。
 1.「石油・ドル本位制」に代わる世界システムをつくる
 2.石油に代わる代替エネルギー資源としてのトリウム
 3.人類が必要とする8万kWe、84万基のトリウム原子炉
 4.トリウム原発によるBOP優先の安価な電力供給計画」
 5.トリウム・エネルギーが生むポスト・ドルの準備通貨「UNI」
 6.地域通貨「アトム」から国際準備通貨「UNI」への出世街道
 7.「見えざるカミの手」による布石か? シーランド要塞跡
 8.金融崩壊の今こそ、金融再生を担う新しい人材が必要
 9.工程表に従い、エンジニアリング企業とシーランドを確保
10.2050年の人口を基に策定したマーケティング・エリア
11.総額1680兆円の建設費を要するトリウム・エネルギー
12.トリフィン・ジレンマのない「アトム」だから「UNI」に出世できる(本稿)
13.ケース・スタディとしての「朝鮮半島エリア」(上)
14.ケース・スタディとしての「朝鮮半島エリア」(下)

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ありがとうございます。
どの国の通貨も、トリフィン・ジレンマの呪縛から逃れることはできない
シーランド公国のローカル・カレンシーである「アトム」には、これまで見てきたように重大な課題が託されています。「アトム」は人類が今後最も必要とするエネルギー、トリウム・エネルギーを潤沢に人類にもたらす産業に貢献しつつ、まさに出世魚のように出世を遂げ、見事に単一の超国家的国際準備通貨「UNI」に成長していくでしょう。
一ローカル・カレンシーを基軸通貨にインキュベートするといえば、当然のことながら一ローカル・カレンシーであった「ドル」を基軸通貨としてしまったブレトン・ウッズの愚を繰り返すのではないかとの批判を受けることが考えられます。一国のローカル・カレンシーを基軸通貨にすると、いわゆる「トリフィン・ジレンマ」を避けることができないではないかというものです。
「トリフィン・ジレンマ」とは、「基軸通貨は基軸通貨国の国際収支赤字によってのみ外国人に供給され、その国際収支赤字は基軸通貨の信認を低下させるから基軸通貨の供給量(対外供給残高)拡大と信認継続とは両立しえない(谷口智彦著「通貨燃ゆ/円・元・ドル・ユーロの同時代史」日本経済新聞社)」というジレンマのことです。
要するに、ドル紙幣を刷ることは、世界経済の規模を拡大するために不可欠なことであるけれども、それをすればするほど赤字の垂れ流しが起こり、ドルの信認に傷がついてしまう。したがってそのような制度が長続きすることはないというもので、このことはずばり、今日のグローバリズムの大きな問題点でもあるのです。
超マイクロ国家シーランドのアトムは、トリフィン・ジレンマとは全く無縁
しかし、「アトム」には、シーランド公国の通貨ならではの、「ドル」とは全く異なる特質があり、したがって「トリフィン・ジレンマ」に陥ることはありません。
超マイクロ国家であるシーランドには、若干の電力を輸出することのほかには生産活動も輸出入もなく、あるのは8万kWeのトリウム原発2基と、トリウム・エナジー産業に関する知財信託会社と、「アトム」を発行する中央銀行と、そして最低限度のバーチャルな政府機関だけで、それ以外には何もありません。
「トリフィン・ジレンマ」の因子となるほどの生産もなければ輸出入もなく、したがって「アトム」をシーランドに還流させる必要など、さらさらありません。シーランドには雇用問題もなく、国内政治的問題も、社会問題もありません。
こういう点で、「ドル」の発行国アメリカと決定的に異なるのです。超マイクロ国家シーランド公国が、国内問題を一切抱えないほどに「小さいことはいいこと」なのです。単一の超国家的国際準備通貨「UNI」を、「アトム」からインキュベートする上で、まさに理想的な環境であるということができるのではないでしょうか。
通常の国家の場合、国際収支の大きな黒字が長期化する場合、その国の通貨は高くなり、海外投資ブームを生起し、デフレ、そしてそれに対抗する金利の引き下げ、過剰流動性の発生、バブルの発生といった展開になるでしょうが、シーランドの場合は、人口が無きに等しく、統制を取るための複雑な要因が一切ないわけですから、海外のトリウム・エネルギー産業に対する大規模投資によって、いくらでも国際収支の均衡を図ることができるわけです。
トリウム・エネルギー産業の成長は、諸国の通貨に「アトム」へのペグを促す
「アトム」の国際準備通貨への発展は、いくつかの国が、それぞれの国の通貨の為替レートを「アトム」にペグさせるという形をとって実現を見ることになるでしょう。その場合にも、「アトム」は、一ローカル・カレンシーであるにもかかわらず、ローカル・カレンシーにまつわる国内的しがらみを一切抱えていないわけですから、トリウム・エネルギー産業が人類規模の基幹産業であり続ける限り、一直線に単一の超国家的国際準備通貨「UNI」への出世街道を登り詰めていくに違いありません。

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「アトム」への信認は高まるに違いない

国連スティグリッツ報告は、第五章の35項において、次のように述べています。これは直ちに、わがシーランド公国の「アトム」においても、成立することではないでしょうか(訳文は、森史朗氏の「和泉通信ブログ」http://izumi-tsushin.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-d8f7.htmlによる)。

35.……もし発行された国際通貨が、IMFあるいは国際準備銀行の預金として他の国により受け入れられ、そしてシステムを運営する機関が加盟国の国債購入を許され、そこに貸し出しをし(運用することができれば)、これらの投資は国際通貨の支えになる。ちょうど国内通貨が今日、国の中央銀行の資産(中央銀行の手に残っている国債、中央銀行による民間金融機関への貸し出し)によって裏打ちされているように。

そういうわけで、私たちは世界を128のエリアのそれぞれにおいて、基本的には「エネルギー」と「金融」という二大テーマについて可能な貢献を行いつつ、「格差」と「貧困」を解消し、そして「紛争」や「戦争」の火種を抜本的に取り除いていくための最大限の貢献をしていかなければなりません。
(13)ケース・スタディとしての「朝鮮半島エリア」(上) につづく)

List    投稿者 Dr. Done | 2010-02-15 | Posted in 07.新・世界秩序とは?2 Comments » 

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コメント2件

 普通人 | 2010.10.02 22:56

社員の家族も参加する企業農園、ナイスだと思います。どこに農場を確保するかという現実問題はあるものの、コンセプト的にはイケてると思います。

 light coffee hermes bags | 2014.02.01 16:32

hermes wholesale floral 金貸しは、国家を相手に金を貸す | シリーズ「活力再生需要を事業化する」17〜企業による自給自足の挑戦 −船井総研の農業研修−〜

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