2007-09-20

「プーチン王朝」確立へ加速

 
サンクトペテルブルク出身の改革派系経済エリートの利益を代表するメドベージェフ第一副首相(前大統領府長官)と旧KGB(国家保安委員会)や軍関係者によって構成される「シロビキ(武闘派)」の利益を代表するイワノフ第一副首相(前国防相)が有力大統領候補であるとか、肥満体で健康不安を抱え弱い首相で独自の権力基盤を持フラトコフが08年大統領選挙に出馬し1期限りでプーチンの返り咲きを演出するとか、巷で次期大統領候補の話題が沸騰しています。
しかし、プーチン大統領は12日に新首相に高齢の無名官僚ズプコフ氏を指名し、14日には、5年後の2012年に大統領選挙で再登板する可能性に言及した。プーチン王朝の確立にとって、5年間は如何に無能で老い先の短い子つづく飼いの「繋ぎ役」を担ぎ出すことのように思えます。
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以下は2007/09/16の産経新聞の報道です。

大統領候補、全員が旧友
■再登板、憲法改正も視野
 【モスクワ=内藤泰朗】ロシアのプーチン大統領が、来春の任期満了後も同国の政治・経済に影響力を行使し続けることを目指し、長期的統治体制の確立に向けて動き始めた。大統領は12日、新首相に自らに近い高齢の無名官僚ズプコフ氏を指名したのに続き、14日には、5年後の2012年に大統領選挙で再登板する可能性に言及した。「プーチン王朝」の確立に向けた動きが、今後さらに加速するとの見方が有力になっている。
 ロイター通信によると、プーチン大統領は14日、世界の著名なロシア学者やジャーナリストを招いたバルダイ会議で、米国の学者が12年にプーチン氏が大統領選に出馬する意思があるのかと質問したのに対しに、「ロシアの政情による」と述べ、必要であれば再登板する意欲を見せた。しかし、そのために次期大統領の立場を弱めるようなことはしないとも強調した。
 会議参加者らはこれを受け、「大統領が来春にただ霧のように消え去るのではなく、影響力を行使し続ける」ことを確信したという。
 大統領は会議で、来春の大統領選で「5人の候補がいる」と述べた。人物までは明らかにしなかったが、全員が大統領とサンクトペテルブルク時代からの旧友で、「信頼できる人物たちである」ことは間違いない。
 来年の大統領選挙まで半年に迫ったこの時期に、大統領があえて政界の表舞台におし出したズプコフ首相は、首相に承認された14日に早々と次期大統領への意欲を示した。後継候補の中でも別格であるのは誰の目にも明らかだった。
 ズプコフ氏は、サンクトペテルブルク時代からの上司のプーチン氏に別荘用地の確保を手助けするなど数々の実務を担うほか、大統領が誕生日のお祝いに招く数少ない友人たちの中に常に名前を連ねているという。一人娘は、連邦税務局長から国防相に大抜擢(ばつてき)されて話題となったセルジュコフ氏に嫁いでいる。
 ズプコフ首相は今後、矢継ぎ早に年金の増額など高齢者への福祉政策や富裕層の脱税、汚職の取り締まり強化など、数々の人気取り政策を打ち出し、「無名」からの脱却に専念するものとみられている。
 ロシアの大手メディアは事実上すべて、プーチン政権の支配下にある。独立機関のはずの同国中央選挙管理委員会も事実上、同政権の息がかかった人脈が運営する。
 ロシアの政治専門家らは、エリツィン前政権がプーチン大統領を作り出したように、世論を動かして次期大統領を創設することは可能とみる。ズプコフ氏の年齢と手堅いキャリアは影響力の維持をもくろむ大統領には魅力だ。一方で、5人前後の後継候補に最後まで競争させることは中央集権化への布石となる。「プーチン王朝の確立計画は始まったといえる」との指摘も出ている。
 今年12月2日の下院選挙では、プーチン翼賛与党「統一ロシア」がさらに伸長し、憲法改正を可能とする全議席450の5分の4以上を獲得するとの世論調査もある。プーチン政権は同選挙結果をにらみながら、長期的な統治体制固めに向けた憲法改正を検討している。そのなかには、現在4年、2期までと規定された大統領任期の延長や、大統領から首相に大幅に権限を委譲する案などが含まれている。
(以上)

プーチン王朝建立のシナリオは、ほぼ確立したように思えます。長期に亘って王朝を維持するため、様々な政治・経済局面においてわが国にも影響を与える事は必須に思います。
例えば、サハリン・プロジェクトにおけるガスプロム参画も、その王朝の意図を顕著に受けている一つの事例ではないでしょうか。突然降って沸いたように自然環境保護を理由に2007年4月、ロシア・天然資源省はサハリンエナジーの環境是正計画を承認した結果、 ロシアガスプロムがサハリンエナジーの株式の50%+1株を取得し、英蘭シェルが55%から27.5%-1株に、三井物産25%から12.5%、三菱商事20%から10%に減少となりました。今後、ロシアとの政治経済関係は複雑に変化してゆくことでしょう。しかし、「プーチン王朝」政策が背景にあることを明確に認識して対応することが必要なことではないでしょうか。
asia106-baikalu01-pacific-routemap01-new01.jpg図引用先:「サハリン1・2」プロジェクトの進展状況

List    投稿者 unkei | 2007-09-20 | Posted in 07.新・世界秩序とは?8 Comments » 

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コメント8件

 匿名 | 2007.11.08 22:35

 確かに「炭素税」って製造業をはじめとした大企業や国家の環境破壊要因がメインであり、一般庶民や後進国はむしろその公害によって苦しめられているのが実情でしょう。
 豊かな先進国の人々(庶民)は不当な搾取を環境といった美しい言葉で洗脳されても平和ボケは収まらないようだ。
 こんな不可思議な制度が往来する事に疑問が絶えませんね。
                       

 このブログ応援団! | 2007.11.09 19:03

私は(条件つきで)炭素税導入に賛成の立場です。ただ、h100pさんの論点が、いくつかあるので整理してみたいと思います。
①気候変動はCO2が原因ではない。
これに関しては最新のIPCCのレポートを参考にしましょう。世界の科学者は、石油消費、森林破壊によるCO2削減が温暖化につながっていると強く主張しています。それ以上の議論は、それぞれの信念と哲学によるものになってくるとおもいます(ブッシュのように・・)
②炭素税=環境が良くなるという洗脳
炭素税の目的は、化石燃料の外部費用を内部化することにより、持続可能性を促進するための税であります。また、この税により化石燃料に重度に依存した日本社会のゆがみと国際公約であるCO2削減など複数の国家目標を同時に達成する税であると考えられます。
ヨーロッパの炭素税は国により違いますが、基本的には企業の国際競争力の維持と雇用の維持を両立するため炭素税を課税するかわりに社会保障税の低減を行っています。すなわち、気候変動を促進する負の行動には課税を増やし、一生懸命働いたことによる所得への課税は減らすというものです。
エネルギーに関して、国連社会の議論では、化石燃料(石油・石炭)・原子力・大型ダムなどは持続可能ではなく、自然エネルギー(太陽光・風力など)に転換すべきという主張が主流になってきています。(bio-fuelはこのブログにもあったとおり、持続可能でないとうまくいかないでしょう。)また、欧米(あの京都議定書に反対しているブッシュアメリカでも)の自然エネルギーは急速に伸びています。これは温暖化対策のみならず、エネルギー安全保障の観点や雇用対策にもかかわる問題だからです。
また、炭素税の議論ですが、炭素税だけでなく、既存の石油関連税がどれぐらいあって、何に使われているかの議論が重要だと思います。実際、欧米の炭素税では、既存の石油税を炭素税に変え、その使途を温暖化対策に当てたりすることがあります。ですので、この手の議論では既存の石油関連税とその使途を明確にした上で議論するといいと思います。
③炭素税による利益は大企業であり、庶民のものではない。
この主張には(一部)賛成です。
たしかに、例えばCDMの実施で誰が利益をうけたかというレポートに、ほとんどの利益は、CO2を削減した途上国でなく、それをCO2削減プロジェクトをつくったデベロッパー(特にイギリスの)が利益を受けています。日本でいえば、大手商社がCO2を増やす石油プロジェクトに参加する一方で、CO2を減らすというCDM事業で利益を上げているという矛盾があります。(自分で汚して、自分できれいにするビジネス・・)
また、日本は京都公約のため、何兆円〜何十兆円という予算を使って、CO2削減クレジットを買おうとしています。庶民の血税です。
炭素税は、石油を使った人が使った分だけ(CO2を排出した分だけ)、税金を払う仕組みですが、既存の枠組みでは、政府がCO2クレジット購入を通じて、国民全員が責任を平等(使ってなくても負担しないといけないので不平等ですが!)に負担しないといけません。
それでは石油消費を減らすインセンティブも沸きません。
以上の観点から、私は炭素税の導入には賛成です。
ただ、その前提の議論として、
①既存の石油燃料税は、何に使われているのか?CO2排出を相殺するために使うべきでは?そうできれば、使途を変えるだけで、単純に既存の税を炭素税に置き換えることができる。
②炭素税の使途をどうするか?
③炭素税の議論だけでなく、どうすればCO2を削減できるのかについての政策とセットで考える(自然エネルギー・公共交通の整備など)
④おまけですが、post2012の気候変動の枠組みがどうなるかも注視する必要があります(既存の枠組みは穴だらけなので)
ただ、私もこの件については勉強中でもあり、また政府の議論にも注目しています。建設的な議論がこのブログでできることを期待しています。応援しています♪

 h100p | 2007.11.10 21:32

 このブログ応援団!さん。濃厚なコメントありがとうございます。h100pも建設的な議論ができる事を期待しています。
 また、私は専門家では無く素人ゆえに勉強中でありますので、知らない視点があれば間違った事を投稿してしまう事もあります。その時は改善(塗替えて)していきますので御容赦願います。
 しかし。発言無くして議論は進展しないし、どの方向に向かうのが最善なのかは、時代状況に応じて刻々変わってきている事もあり、やはり現時点での皆が納得する答えを出したいものです。そういった考え方で今後もこの「炭素税」に絡む市場経済の様々な視点から投稿していきたいと思いますので応援願います。
 さて、今回投稿では「絶対反対」と言い切ってしまった訳ですが、原則「絶対」はありません。「③炭素税による利益は大企業であり、庶民のものではない。」という部分を強調したかった為の表現です。
 また、「①気候変動はCO2が原因ではない。」に関しては、『自然の摂理から環境を考える』( http://blog.sizen-kankyo.net/blog/2007/06/000144.html )
で、IPCCの実態は?という投稿が参考になります。このサイトはお勧めです。
 最後に「②炭素税=環境が良くなるという洗脳」に関しましては、確かに微妙な所で私は良く分かっていません。人々の意識が環境問題を考えるようになる事は非常に良い事である一方、緑の革命に代表されるような[観念は美しいが現実は環境破壊そのものである]と言えなくも無い事象もあります(当然自然エネルギー活用に向けた正しい事象もあります)。要は方向性(人々の意識)は良くなるが、その肝心の手法が市場原理に絡め捕られて誤った手法で実践される事が多いのでは?という直感であります。
 私はまだこの変の勉強(議論前提の③)が足りないので、次回の投稿では同じ仲間達で調べて、議論前提①〜④の報告ができればと思っています。
 以上ですが、これからも是非応援宜しくお願いします。

 このブログ応援団! | 2007.11.12 2:45

h100pさん、ご返事ありがとうございます!
わたしも専門家ではありませんが、様々な立場の人間がこのような問題にかかわっていくことが大切だと思っています。以下、私のご返答ですが、あまり長くなるといけないので、極力短く書いています。
>今回投稿では「絶対反対」と言い切ってしまった訳ですが、原則「絶対」はありません。「③炭素税による利益は大企業であり、庶民のものではない。」という部分を強調したかった為の表現です。
私も、炭素税は「前提条件つきで」賛成です。「③炭素税による利益は大企業であり、庶民のものではない。」という主張には全面的に支持しています。
京都議定書は最初の一歩であり、今後のpost-2012の枠組みをどう変えていくかが大切だと思います。その決定は、各国の環境政策・気候政策に大きな影響を与えるからです。
>「①気候変動はCO2が原因ではない。」に関しては、『自然の摂理から環境を考える』( http://blog.sizen-kankyo.net/blog/2007/06/000144.html )
で、IPCCの実態は?という投稿が参考になります。このサイトはお勧めです。
こちら拝見しました。まず、IPCCですが、どの国際機関設立に関しても大国の意向(特にアメリカ)が強く反映していると思います。ですので、この手の議論はIPCCに限ったことではなく、国連における人選など、先進国や常任理事国は大きな影響を持っていると思います。その意味でこのサイトの「「IPCC」の実態は科学者組織ではなく、まさに「政治的組織」という見方が正しいように思います。」という主張は半分賛成です。なぜなら、科学者の選考にも政治的要素は入りますし、今回出たIPCCレポートなどは、科学者が出したレポートをたたき台として、各国の代表者がその報告書に修正を加えていきます。今回の場合、温暖化に関する脅威の最終的表現は(確か米国や中国の意向で)科学者が作ったものよりも弱いものになっています。
また「アメリカにとって不利とも思えるIPCCの設置は、排出権取引という新たな市場の設立とその独占を見越したものであったように思われる」について、確かにそういう面はあったかもしれませんが、現状としてアメリカは排出権取引に参加できませんし、それは一つの側面であって、それでIPCCはだめという議論にはつながらないと思います。もう少し多面的な分析が必要と思います。
そして、この「気候変動はCO2が原因ではない。」ですが、この言葉だけを取り上げるのは誤ったメッセージを流す危険性があると思います。なぜなら、この記事を書いた方の別の記事において、温暖化の3つの可能性を取り上げ(①太陽、②ヒートアイランド、③温暖化ガス)、最終的に、「現在の問題は地球温暖化という環境問題ではなく、市場拡大を続けてきたことによる肉体破壊、石油枯渇、食料危機、という社会構造の問題です。」とあります。結局いいたいのは、環境問題=人間の問題なのだということを主張したいがために、「気候変動はCO2が原因ではない。」、CO2のせいにするな!人間の問題だろ!と書いていると思います。(違ったらすいません^^;)
いずれにせよ、「気候変動は人間の(人間にとっての)問題」という主張には賛成です。何故なら、実際に人間が化石燃料の消費や森林破壊を行い、大量のCO2を排出し、アスファルト化により都市温暖化に貢献していることは紛れもない事実でしょう。そして、地球は生命の生存に絶妙なバランスで成り立っているといいます(他の惑星では生きられません)。よって、温暖化で困るのは人間自身なのです。その人為的活動による大量のCO2排出が、この微妙な地球のバランスに今後将来にわたり、どう影響を与えるかが大切なことだと思います。ですので、温暖化=CO2ではないという主張を前面に出すと、本当に伝えたい重要な部分が逆に消されると思います。
>「②炭素税=環境が良くなるという洗脳」に関しましては、確かに微妙な所で私は良く分かっていません。人々の意識が環境問題を考えるようになる事は非常に良い事である一方、緑の革命に代表されるような[観念は美しいが現実は環境破壊そのものである]と言えなくも無い事象もあります(当然自然エネルギー活用に向けた正しい事象もあります)。要は方向性(人々の意識)は良くなるが、その肝心の手法が市場原理に絡め捕られて誤った手法で実践される事が多いのでは?という直感であります。私はまだこの変の勉強(議論前提の③)が足りないので、次回の投稿では同じ仲間達で調べて、議論前提①〜④の報告ができればと思っています。
次の書き込みを楽しみにしております。
「炭素税=環境が良くなるという洗脳」と聞くと、炭素税=悪に聞こえますが、炭素税の中身が大事だと思います(課税内容、税の使途)。既存の税金や予算にはとんでもない、環境にマイナスの税金が多くあると思います。
「市場原理に絡め捕られて誤った手法」についてですが、これだけ社会が「お金」を中心とした仕組みになっている以上、市場原理をどう持続可能な社会のために使うかは大切だと思います。市場はあくまでツールであるので、包丁と一緒でそのツールをどう使うかによって社会がプラスになったり、マイナスになったりすると思います。残念ながら、現状の排出権取引は、企業が利益を得て、国(国民)が支払う構図で、富の配分の観点からも、持続可能な観点からもあまりうまくいっていないのが実情です。その意味でpost2012の議論に注目してますし、日本の政治的決断にも注目です。 (結局、長くなってすみません。。反省)

 h100p | 2007.11.13 19:19

このブログ応援団!さん。またまたコメントありがとうございます。
>環境問題=人間の問題→その通りです。
>市場はあくまでツールであるので、包丁と一緒でそのツールをどう使うかによって社会がプラスになったり、マイナスになったりすると思います。→そうです。市場はツールに過ぎないというのが特に重要だと思います。
それでは、次回の書き込みを期待して下さいね。

 gokuu | 2007.11.13 22:23

環境問題に関してこの様な議論が進むこと大歓迎ですので、少し参加させていただきます。
炭素税、排出権取引で得をするのは、はたして大企業でしょうか?
排出権市場を取り仕切っていく連中なのではないでしょうか?
そのために、CO2神話を打ち立てたと考えると、、、、、「洗脳」との表現が正しいように思います。
排出権市場は、行き詰まりを見せ始めた証券市場の抜け道と感じているのですがいかがなものでしょう?

 hermes handbags cheap | 2014.02.01 23:39

replica hermes bags turkey 金貸しは、国家を相手に金を貸す | 炭素税が成立するという事は、エネルギー利権の制覇者(社)の奴属化を意味する?

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