中国政府系ファンド(CIC)参入で経済戦争の様相
「求ム「敏腕」外国人 中国政府ファンド、運用担当を公募」
「■海外投資、高利回り狙う 2000億ドル(約22兆円)規模の外貨準備を海外に投資する中国の国家ファンド、中国投資公司(CIC)が、世界各国から“投資のプロ”の公募を始めた。運用ノウハウの不足を外部人材で補い、中東国家ファンド並みの積極投資で平均利回りを3%上回る運用成果を狙う。」
以上はフジサンケイビジネス12月15日の記事である。(FujiSankei Business i. 2007/12/15)
http://www.business-i.jp/news/china-page/news/200712150005a.nwc
サブプライムローン問題で揺れている株式市場や各種金融投資市場にも、いよいよ政府系ファンドによる経済戦争の様相となってきた。世界中の投資機関に続々と大型投資が可能なファンドが手を挙げつつある。
その前に中国政府系ファンドについて紹介しておきたい。(富士通総研のサイトで紹介)
「これまで中国の外貨準備資産は、安全性や流動性を前提に国家外貨管理局がその運用責任を持ち、主に米国債に投資してきている。しかし、膨大な外貨資産を運用部門や運用先に集中しすぎるリスクや為替リスクなどが高まり、高収益の長期運用するためのポートフォリオの再構築や運用先の多様化が必要となってきた。2006年半ばごろから中国政府は、「超過」外貨資産の運用について研究調査を重ね、2007年9月に登録資本2,000億ドルの100%国有の政府投資ファンド:中国投資有限公司(CIC)を設立した。」
http://jp.fujitsu.com/group/fri/report/china-research/topics/2007/no-71.html
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では世界の政府系ファンドはどうなっているのか?(こちらもサイトを紹介)
「世界の政府系ファンド(SWF)」
「政府系ファンドとは、各国の政府や中央銀行など国営・公的な機関が運用している投資ファンドのこと。近年、その運用金額が激増してきており、株式市場での影響力が高まっています。」
「政府系ファンド(SWF)の運用資金源は、為替介入によって積みあがった外貨準備を原資とする国と、単純に国営企業などが上げた利益(国益)を原資とする国があります。中国やシンガポールのSWFは前者、ロシアやサウジアラビア、ドバイのSWFは後者に分けられます。」
名 称 | 国 | 設 立 | 推定運用資金 |
クウェート投資庁 | クウェート | 1953年 | 2130億ドル |
ドバイ・インターナショナル・キャピタル | UAE | 2004年 | 100億ドル |
アブダビ投資庁 | UAE | 1976年 | 1兆ドル |
カタール投資庁 | カタール | 2006年 | 400億ドル |
サウジアラビア通貨庁 | サウジアラビア | 1952年 | 3200億ドル |
中国投資責任有限公司 | 中 国 | 2007年 | 2000億ドル? |
韓国投資会社 | 韓 国 | 2005年 | 200億ドル |
ロシア安定化基金 | ロシア | 2008年 | 1275億ドル |
ノルウェー政府年金基金 | ノルウェー | 1990年 | 3220億ドル |
テマセク | シンガポール | 1974年 | 1080億ドル |
「現在の所、政府系ファンドで最も規模の大きいのはドバイ(UAE=アラブ首長国連邦)のアブダビ投資庁で、その運用額は1兆ドル(約110兆円)にものぼります!昨今の原油高で中東の産油国は大量の利益を上げており、それを積極的に金融市場で運用して更なる利益を上げようと目論んでいるのです。
この中東のオイルマネーに、アメリカ経済も助けられている面も大いにあります。サブプライムローンの焦げ付き問題で、多額の損失を抱えて経営が傾いていたシティーグループに対して、アブダビ投資庁が75億ドルという多額の出資を行ったことは記憶に新しいです。
そして中国が政府系ファンドの運用を積極化させれば、さらに株式市場を中心に資金流入が起こることになります。中国の外貨準備高は1兆ドルを超えており、そのほとんどがアメリカ国債で持たれているとされています(⇒ドルペッグ制)。しかしサブプライム問題でアメリカの信用力ががた落ちしている現在、利下げが続いている低利息なアメリカ国債を持っておくよりも、他で運用したほうが有利なのは間違いありませんから。」
http://www.777money.com/torivia/seifu_fand.htm
日本でも政府系ファンドを設立し資金運用すべしとの発信もあるようです。経済は他人事と思って考えることを避けているだけでは大きな現実に目をつぶっているのと同じです。
目先の市場経済ばかりでなく、投機資本のぶつかり合う投機市場にも目を向ける時代に突入していると認識すべきかと思いました。
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