見えない戦争 ~“異常な”インフレの構造を読み解く(後編)~
前回は異常なインフレの発生原因を2点(通貨の過剰発行と需要>供給)押さえていきましたが、今回は異常なインフレを具体的に取り上げていきたいと思います。
もし仮にインフレが順当に進み、経済成長を遂げているとするのであれば、好景気の循環構造のスパイラルになっていくはずです。しかし、実態はインフレに市場が追い付いて“実質的に”経済状況が成長しているといえるのでしょうか?
市場の成長に反する不整合ポイントを列挙すると
インフレを上回らない金利設定
関連記事にあるように、金利がインフレより低いので好景気のスパイラルになっていない。また、インフレをパーセンテージにして表記したのがインフレ率(=消費者物価指数)になるのだが、前回記事より貨幣の異常供給→消費者物価指数△という結果に。
そして、インフレ熱を収束させるために、金利を下げるはずが、この指標値より金利は“超”低金利のまま。もはや、インフレ率と金利における相関関係はないと言える。
インフレ率が上昇しても、GDPの上昇率がしていない?!
国内のわかりやすい経済指標であるGDPの拡大率と照らしあわせてみても同じことがいえる。むしろ、今回のコロナの影響によってGDPが急降下しているにも関わらず、インフレ率はあがっているという支離滅裂な状態。これでは、インフレ現象が好景気循環のなかにあるとは言えない。
物価が上がるのに賃金が上がらないのはなぜ?
物価高に対応すべく賃金上昇にむけて春闘が進んでいる。ただ、いずれも物価高・エネルギー高を超える賃金上昇の見込みはないようだ。そうなると生活水準が下がるのにも関わらず、物価高だけ先行くような形になり、本来のインフレにおける物価上昇とは言えない状態になっている。
そもそも大前提のインフレ=好景気の経済動向がおこるということ自体が成り立っておらず、この間の異常なインフレによる実態を表わしてきました。それにもかかわらず、物価高は止まる気配はない。
次回はその大元のカラクリへと迫っていきたい。
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