BRICs徹底分析〜中国編その1.中国市場の拡大と日本の対中輸出は?
世界経済の成長が行き詰まっている。
2008年に生じたリーマンショックを引きずっている米国、2010年ギリシア救済問題を抱えた欧州、米国・欧州に引きずられている日本、かつて20世紀の経済成長を牽引してきた日・米・欧3極それぞれが大きな問題を抱え込み、各国の経済成長は伸び悩んでいる。
そうした世界情勢の中、今もこれからも成長すると言う視点で注目を集めているのがBRICsである。
BRICsとはB(ブラジル)、R(ロシア)、I(インド)、C(中国)の4カ国を示す。
米国の証券会社ゴールドマンサックスが名付けたのが語源である。
今もこれからも成長すると言う視点で注目を集める理由は、大きく下記のように集約される。
(1) 国土が広大で、天然資源が豊富である。
(2) 人口が多く、市場として有望である。
(3) 人口が多く、若い労働力が豊富である。
(4) 労働力単価が安く、低コストで製品を生産できる。
このシリーズ(BRICs徹底分析)では、各国の情勢を徹底分析し、弱点構造は有るのか無いのか?弱点構造が有る場合、弱点はどんな構造なのか?今後はどうなってゆくのか?予測も含めて弱点構造に焦点を充ててみたいと思う。
シリーズの最初は、何と言っても注目度NO1、この5月には上海万博を開場した中国を扱う。成長著しい中国も、弱点構造は幾つか抱えている。これらの分析を3回で明らかにしてみたい。
中国編その1.中国市場の拡大と日本の対中輸出は?
中国市場の成長が著しい。日本の貿易輸出国NO1、対中関係の今を知る!
中国編その2.中国の格差問題の本質は?
地域による格差、都市と農村の格差、個人所得の格差、格差問題の本質は?
中国編その3.指導者交代と経済危機は?
過去の歴史は指導者の交代と経済危機が連動していたことを物語る。今回は?
それでは中国編その1.中国市場の拡大と日本の対中輸出は?をスタートしたい。
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中国市場の成長事例
何はともあれ、まずは、中国市場の成長を顕著に物語る米中日世界上位3カ国の自動車販売台数一覧表を見て欲しい。
一目瞭然、減少激しい米国に対し、中国は一貫して市場成長をとげ、09年度で世界一の自動車市場となった。
(注.09年は1~10月の統計値)
09年の年間ベースでは、中国1,350万台(米国1,040万台)で、中国市場がダントツだ。
成長市場として最も注目される中国と日本の関係はどうなっているか?
具体的内容を「BRICs諸国へ進出している日本企業」より紹介させて頂く。
リンク
BRICsで活躍する日本企業として、まずは自動車メーカーのスズキが挙げられます。スズキはインドの自動車市場において、地元の大財閥系企業であるタタ自動車などを差し置いて、約50%のシェアを持ちNo.1の座に付いています。インドの国民にとって、自動車はまだまだ高級品ですが、安価な小型車なら手が出るという人々は急激に増えてきています。日本の軽自動車市場で培ったスズキの小型車戦略が、そういったインド国民のニーズにマッチしたことで、圧倒的な地位を築き上げたのです。
また資生堂も、中国において化粧品シェア一位の座を獲得しています。実は資生堂は、1981年の段階で既に中国に進出しており、既に20年以上の歴史があります。元来中国では、女性が化粧をする習慣がほとんど無い状態だったので、将来巨大なマーケットになることを見越しての進出でした。今では中国のデパートに行けば、必ずと言っていいほど、資生堂が巨大なブースを構えています。
また大型重機メーカーのコマツも、BRICsなど新興国の成長の恩恵を大きく受ける企業です。コマツは、大型ブルドーザーなど土木建設の重機分野で、米キャタピラー社と世界を二分するシェアを誇ります。コマツでは、重機とITとの融合を図ることで作業効率や燃費を大幅に改善するなど、他社の追随を許さない圧倒的な技術先行力があります。道路や港湾などのインフラ整備が急ピッチで進められるBRICs諸国で、コマツ製重機の評価は非常に高いそうで、予約注文が殺到しているそうです。
他にも、新興国の経済発展に伴い、自動車や携帯電話の普及は急速に進んでいます。自動車タイヤ世界シェアNo.1のブリヂストンや、携帯電話部品の世界標準規格を数多く持つ村田製作所なども、その成長の恩恵に与れる企業だと考えられるでしょう。
このように、BRICs諸国の経済成長の恩恵に預かる日本企業は、数多く存在しています。BRICs市場に進出してその経済成長に乗っている日本企業に投資すれば、我々一般の投資家でも間接的にBRICsの成長の恩恵に預かれることになります。少なくとも日本国内だけで戦う企業よりも、BRICs市場にも進出している企業の方が、売上や利益の増加を計算しやすいことは確かです。
対照的なコマツとトヨタ
中国との関係を一早く結んだコマツと、未だ中間段階と言えるトヨタ、コマツは建設機械を中心にしているが、まずはコマツの売上高、営業利益グラフを見てみよう。(コマツ財務データーより)
続いてトヨタの売上高、営業利益グラフを確認する。(トヨタ財務データーより)
売上高は、それぞれ09年に落ち込んでいるが、コマツの場合は、営業利益はプラスを維持しているが、トヨタはマイナスである。
コマツの営業利益は何故マイナスにならずに済んだか?
コマツの営業戦略から一端を伺う。コマツは、既に、日本・北米・欧州の伝統市場から、中国・アジアを初めとする戦略市場へシフトしているからだと言える。成長市場を考えるなら、中国への依存度は今後とも益々高まる。グラフから中国需要は、09年度も12年度見通しも、1/3を占めている。
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日本の対アジア、対中国依存が高まっている
次に見るのは、財務省統計値を見易く加工した「日本の対米、対中+香港、対中輸出額比較」だ。(05〜09年)
明らかなことは、対米輸出額は減少傾向、日本の輸出相手国No.1は既に中国となっていること。
また中国+香港合計輸出額は、既に2007年に対米を超えていること。
2009年対中+香港輸出額は、13兆2千億円で、対米輸出額の1.5倍になっていることだ。
続いて、日本全体の輸出額はどうなっているか?も見ておきたい。グラフは、財務省「地域別輸出額の推移(年ベース)」だ。(06年〜09年)
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貿易相手国として中国を見る場合、中国単体ではなく、中国+香港が妥当と思う。09年輸出額で(日本の輸出額全体の)24%であった。
さらに、対アジア総体を見ると、日本の輸出量全体の比率が徐々に増え、09年には50%を超えた。日本の貿易輸出は、中国を中心にしたアジア圏にシフトしたことを物語る。
コマツの事例を引くまでも無く、2010年今年、ユニクロは、上海に旗艦店を構え本格的に中国に乗り出してきた。外務省の中国ビザ発給政策についても、中国の所得中間層までとなることも決まった。日本の内需への貢献度も高まることを期待しての政策決定と言っても過言ではない。
日本を取り巻く外需、内需と、中国の成長市場を考えるなら、中国依存度は益々高まる傾向だ。反面、中国の政治体制が反転すれば、大きな痛手をこう可能性も否定できない。予断を許さない状況である。
その分析は、中国編その2.その3.で明らかにしていきたい。
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コメント2件
wholesale bags | 2014.02.09 22:28
金貸しは、国家を相手に金を貸す | 経済破局を超えて、新しい政治経済の仕組みへ 第3回市場の本質は、徹頭徹尾“だまし”である
池田首相の言葉を見ると、今のカン首相のお粗末さがあからさまになりますね。
池田首相は政治から経済へと人々の収束先が大きく転換しつつあった事を察知していたように見えるし、実現の意志のようなモノを感じるが、それに引き替え、コイズミ〜カンと、あまりにもヒドイ!