2012-01-23

北朝鮮、これからどうなる?4〜朝鮮半島を狙う中国とロシア

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北朝鮮シリーズの第4回です。
 
第1回〜傀儡政権として出発した金日成が、政権を掌握していく過程〜
第2回〜国際関係−瀬戸際外交〜
第3回〜北朝鮮の実態〜
 
第1回から第3回までは、金日成から始まる金一族による独裁の歴史、そして経済・軍事をはじめとする北朝鮮の実情を見てきました。
 
今回は、金正恩体制に引き継がれた現在以降の北朝鮮そして周辺諸国の動きに注目し、北朝鮮の今後を見ていきたいと思います。
 
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■中国と北朝鮮
食料事情をはじめとする経済情勢を立て直す必要に迫られている北朝鮮ですが、08年以降は、張成沢と金敬姫夫妻の手によって経済改革が進められています。08年といえば、金正日の体調が悪化した年です。金正日はこの頃から信頼のおける側近や実子に、主要な権限の引き継ぎに着手していたのです。(張成沢は党中央行政部長兼国防委員会副委員長。金敬姫は金正日の妹で、労働党政治局員。夫婦そろって人民軍の大将の称号を金正日より授かってます)
 
彼らによる経済改革は中国を参考に進められています。つまり、中国型の社会主義市場経済体制へとシフトしていくことが予想されます。
 
もともと北朝鮮と中国は、物資面で非常に強力なつながりがあります。
1991年、それまでの頼みの綱であったソ連からの食料支援が途絶え、深刻な食糧不足下にあった1990年代に、中国は北朝鮮へ食料支援を大幅に増やしています。そして今では北朝鮮が輸入する食料の45%、さらにエネルギーに至っては90%を中国が担っています。
 
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こちらよりお借りしました
 

張成沢と金敬姫は、北朝鮮の指導に沿って、中国型の社会主義市場経済の体制にしていくことを目標としている。彼らを摂政役として金正恩の政権が続く限り、北朝鮮は中国の傘下で動き続ける。中国は、北朝鮮が輸入するエネルギーの90%、食料の45%を供給している。中国は、北朝鮮が対中貿易で未払いを増やしても北の中枢が中国式の経済政策を採っている限り、北との貿易を切らない。逆に、金正恩が張成沢らを失脚させて中国の言うことを聞かなくなると、エネルギーや食料の輸出を静かに止め、北を制裁するだろう。北朝鮮は、中国の属国になっている。(田中宇の国際ニュース解説より)

 
 
中国が未払いを許してでも、北朝鮮を傘下に置きたい理由は、豊富な鉱物資源にあると考えられます。たとえば04年には中国の通化製鉄所が、北朝鮮最大の鉄鋼山で埋蔵量10〜13億トンあるといわれる茂山鉄鉱の50年間の開発権を得て、巨大な投資を始めたと言われており、国を挙げて北朝鮮の鉱物資源の獲得に乗り出していることが伺えます。参考
 
実際、北朝鮮には鉄鉱以外にもタングステンやモリブデンをはじめレアメタルと呼ばれる希少鉱物資源が多く埋蔵されているのは、すでに知られた事実です。
 

北朝鮮には 220種余り以上の有用鉱物がある。 このうち埋蔵量と生産量を考慮して経済性がある鉱物だけでも 43種だ。 このうち南北の埋蔵量の比較が可能な鉱物 20種を 2004年の韓国の経常価格で単純評価すると、北朝鮮が 2287兆ウォン、韓国が 95兆ウォンだ。 北朝鮮が韓国の 20倍を越える資源を持っているということになる。
北朝鮮の鉱物は世界記録も持っている。 咸鏡北道茂山鉄鉱はアジア最大の露天鉱山だ。タングステン、モリブデン、ニッケル、マンガン、コバルト、タンタル、ジルコニウム、ベリリウムなど ‘鉄の仲間’と呼ばれる金属工業の核心原料が豊かだ。 このうちタングステンは埋蔵量 66万トンで世界 2位。. 耐火物原料で代表的な非金属鉱物であるマグネサイト鉱は埋蔵量 36億トンで世界 1位だ。 金・銀鉱は日帝時代から朝鮮半島が ‘産金国’という評価を聞くほどに幅広く分布している。るいネット投稿

 
北朝鮮を傘下に置くことが出来れば、こうした豊富な鉱物資源を、中国が独占的に獲得できることになります。北朝鮮への莫大な支援は、このための先行投資だと言ってよいでしょう。
 
  
■ロシアと北朝鮮
一方、北朝鮮の建国前夜から金日成を支援し、軍事同盟まで結んだ旧ソ連すなわちロシアも動いています。ソ連崩壊以降しばらくは北朝鮮との国交が消滅していましたが、次第に北の大国としてその影響力を朝鮮半島にまで及ばせつつあるようです。
 
ロシアは2011年9月に豊富な天然ガスを韓国へ供給するためのパイプライン敷設計画を発表しました。(参考)このパイプラインですが、全長1100キロのうち700キロ分が北朝鮮領内に位置しています。故・金正日総書記がこれについて同意したと、各メディアは報じました。
 
この敷設が実現すれば、北朝鮮は年間1億ドルの通貨料が見込めるらしく、非常に利のある話です。しかしロシアにしてみれば、この先にもっと大きなプランがあるらしいのです。
 
ロシアがパイプライン敷設で韓国との国交を強化しようとする先には、日本海を挟んで日本というより大きなマーケットが待っている。原発事故により、代替のエネルギーを求める声が日増しに高まる日本。天然ガスの供給先は、この情勢を踏まえたプランをも備えていることは容易に想像できます。かつては樺太から北海道へのルートを想定していたくらいです。(参考
 
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そして、もうひとつ。プーチンは「北朝鮮は国際社会への参入を果たさなければならないが、その際には北朝鮮社会の一定の変化、国家構造と国家建設の原則の変更が不可欠となる」と言っている。クレムリンは北朝鮮の体制崩壊を予測しているらしく「北朝鮮は5年から長くて15年で政治地図から消滅する」と言っているらしいのです。(参考
 
この見解は、近い将来に北朝鮮が韓国に取り込まれることを予測しています。リンクのように天然ガス供給国である韓国が取り込めればよし、また仮に中国が北朝鮮を傘下に治めることになったとしても、ロシア国籍のパイプラインがその土地を通貨しているため、そこは治外法権として主張することも可能です。そうすればロシアは朝鮮半島に物理的な領土拡大を可能に出来ます。パイプラインの敷設は、そのための布石なのではないでしょうか。そういう意味では北朝鮮領内における通過ラインは、ロシアにとって地理的にも外交的にも非常に重要な戦略となっていることがわかります。
 
また、ロシアは北朝鮮に農地を賃借し、食料難打開にも手を貸しています。今後、ロシアと北朝鮮の距離が次第に縮まっていくことになるでしょう。こうした戦略も、近未来の朝鮮半島をイメージたものであることが見えてきます。
 
金正恩体制として日の浅い北朝鮮。今後、急展開していく国際情勢のなかで、この国も激しく揺れ動くことでしょう。中国とロシア、2つの大国と国境を持つ北朝鮮は、どちらの野望に巻き込まれていくのでしょうか。
 

List    投稿者 heineken | 2012-01-23 | Posted in 07.新・世界秩序とは?No Comments » 

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