2010-08-14

シリーズ「市場は環境を守れない、社会を統合できない」10〜市場はどこまでも私権闘争の抜け道〜

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前回の記事では、市場と国家の共犯関係を明らかにしました。
シリーズ10回目の今回は、何故市場では社会を統合できないのか、その構造を明らかにします。現在の私たちの生活に当たり前のように市場が取り巻いていますが、この状況は社会を統合していると言えるしょうか。
市場の誕生を捉えて、どのように今まで生き延びてきたか、その構造をおさえることで市場が社会を統合する機能を持ち合わせるのか否か、答えを提示しようと思います。

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「身分」も「お金」も、評価指標として夫々の社会で固く共認されており、その共認圧力が夫々の社会での最大の圧力源=活力源にもなっている。しかし、この両者には大きな違いがある。
その違いは、根本的には、身分を作り出す国家が闘争圧力に対応した「集団(統合)適応」の存在であるのに対して、お金を作り出す市場は闘争圧力からの抜け道としての「共生(取引)適応」の存在である点に由来している。
身分(という評価指標)は、肉体的に備わった統合原理である力の序列共認を下敷きにしており、それが上から下まで貫通する身分という観念に置換された事によって、社会全体を統合する機能を持ち得ている。
それに対してお金は、私的な交換の場での評価指標にすぎず、交換の行われる局部・局部では統合機能を持ち得ても、社会全体を統合する機能は持ち合わせていない
「闘争(能力)適応」や「集団(統合)適応」なら、その最先端の闘争機能や統合機能は、闘争圧力に対応する最先端機能であるが故に、全体を収束⇒統合することが出来る。しかし、もともと市場は、「共生(取引)適応」の存在である。共生(取引)適応は、あくまでも闘争圧力からの抜け道に過ぎず、共生適応の最先端機能たる取引⇒お金では、(闘争圧力が消えて無くなった訳ではないので)闘争圧力に対応することが出来ない。つまり、共生(取引)適応はあくまで抜け道機能しか生み出さないのであって、それは闘争圧力に対する真の最先端機能ではない。従って、全体を収束⇒統合することはできない。
これが、市場が社会を統合する機能を持ち得ない、究極の理由である

事実、市場は社会生活を営む上で不可欠の社会基盤(道路や港湾や上・下水道etc)さえ、決して自らの手で構築しようとはしなかった。それどころか、自ら(=市場の拡大)が作り出した貧困(⇒福祉)や戦争さえ、その遂行と尻拭いの全てを国家に押し付てきた。そして自力で拡大することが出来なくなった今では、自分自身の拡大さえも国家(国債)に押し付け、国家(地方を含む)は700兆もの借金で首が廻らなくなって終った。
ここまで来れば、市場が国家の寄生物でしかないことは、誰の目にも明らかだろう。
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要するに、市場はどこまでも私権闘争の抜け道でしかなく、従ってそれ自体では決して自立して存在できず、国家に寄生するしかない。だから、市場は、云わば国家というモチに生えたカビである。カビがどんどん繁殖すれば、やがてカビ同士がくっつく。世間では、それをグローバル化などと美化して、そこに何か新しい可能性があるかのように喧伝しているが、それも真っ赤な嘘であって、市場が国家の養分を吸い尽くせば、市場も国家も共倒れになるだけである。国債の暴落をはじめ、その可能性は充分にあると見るべきだろう。
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現在の私たちの暮らしは市場ありきとなってしまい、さも市場原理でまとまっているかの様ですが、それは社会統合とは呼べず、「局部的な」統合であるという内容がポイントです。市場に可能性があると思い込んだままでは、市場も国家も共倒れになってしまう危険性をがあるのです。
社会統合という視点から現在の社会を捉えると、人々の中に不安という意識が存在しているので、古い秩序に収束しており、その点では統合されていると言えるでしょう。しかし、今のままではまずい!と考える人達によって、新しい可能性を探索する動きが芽生えています
柔軟な思考を持って、市場や国家という枠を超えた次元で考えていく必要性を感じます。
次回は、最終回になります
市場と国家の関係を軸に、可能性の提示をしていきたいと思います

List    投稿者 wacky | 2010-08-14 | Posted in 07.新・世界秩序とは?2 Comments » 

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コメント2件

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