2012-11-07

米国はどのように衰退してゆくのか?(20)〜『米国人の精神構造は?』シリーズまとめ〜

前回まで、米国の精神構造を「政党、宗教、銃社会、映画文化」の切り口から探ってきました。
・米国はどのように衰退していくか?(16)〜米国人の精神構造は?その1 米国政党から見る精神構造とは?〜
・米国はどのように衰退していくか?(17)〜米国人の精神構造は?その2 アメリカ人にとってのキリスト教〜
・米国はどのように衰退していくか?(18)〜米国人の精神構造は?その3 銃社会から見えるアメリカ人の疑心暗鬼と分裂の予感
・米国はどのように衰退していくか?(19)〜米国人の精神構造は?その4 米国が生み出した最大の文化、映画に見る意識(誇りの時代と堕落の時代)
 
今回、これら様々な分野において見てきた内容から、改めてアメリカ人の精神構造における共通項を整理し、シリーズのまとめとしたいと思います。
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(画像はコチラからお借りしました。)
 
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◆その1 〜米国政党から見る精神構造とは?〜
 

共和党は、もともとは建国前からの北部移民(WASPなど)を中心につくられ、反カトリック=プロテスタントの色合いが強いが、イギリス・ヨーロッパを価値的に否定する色合いがある。
その意識から『孤立主義(→モンロー主義)』であり、反ヨーロッパの裏返しとして『アジア主義』の面をもつ。
そして、孤立主義の裏表にある『膨張主義』→アメリカの大義=世界の大義の意識から『世界主義(世界的に価値観を染め上げる)』に収束しようとする面がある。

WASPとは純粋な白人集団であり、「選ばれた人種である」「アメリカは世界一」という価値観を強く持っています。

2008年リーマンショックで高まる世界金融危機から、2009年、民主党のバラク・オバマ氏が黒人初の大統領として就任。雇用回復、社会的弱者の救済などに取り組み、現在に至ります。

つまり、2008年までの間、米国はこのWASPが中心となる共和党によって統治されており、WASP特有の白人意識が色濃く残った国家であるといえます。
彼らが持つ特有の価値観念は、なぜここまで強くなったのでしょうか。
この記事では、アメリカ人の精神構造の特徴を以下のように締めくくります。

・『排他意識』と『アメリカ価値観の絶対化』
①自由の国、アメリカは移民国家で、見ず知らずの人同士という血縁・地縁(→共同体)とは無縁の多元的な移民人種の集まりで、このことはヨーロッパ的固定的身分制の壁は顕在させないが、強固な警戒心をもった移住民間の“排他的な壁“を頑然と存在させている。
②アメリカは、根底に『排他意識』に侵されながら、一方で、『誰にも自由に私権を獲得する機会が平等にある』というアメリカン・リベラルとデモクラシーに執着するという、相矛盾する意識の混濁を抱え続けており、本音と建前、肉体と観念の混濁を抱え続け、それゆえにその価値を他者に押し付けて絶対化するために拡大(拡張)してきた面がある。

つまり、アメリカ人の意識の根底部分には、「多民族への警戒心」と「価値観の正当化」がある事がわかります。
次の投稿では、その精神構造に至った要因を歴史を遡り扱いました。
 
 
◆その2 〜アメリカ人にとってのキリスト教〜

 

●原住民(インディアン)を排除し、キリスト教によって正当化し続けた民族
ピューリタンは未開拓の地アメリカに千年王国(神に祝福された国)を作るために、原住民を次々に排除して、西へ西へと勢力を拡大していきました。
彼らにとっての一連の行為は「神の導き」であって、元々信仰するキリスト教によってひたすら正当化し続けた歴史とも言えます。
前回エントリーで取り上げたアメリカ人の気質「選民意識」「アメリカこそ世界NO.1」「異教徒排除」が生まれた背景もここにあります。
こうして、プロテスタントの中でも「聖書の解釈が全て」とするパブテスト(原理主義)が中心勢力になっていきました。
●警戒心が強いゆえのキリスト教への強い収束力
共同体の歴史を持つ日本はもちろんのこと、ヨーロッパと比べても、人工国家のアメリカ人は必然的に他人に対して強い警戒心を持つことになります。
共有できる歴史も地域共同体もなく、互いに警戒心の塊になった人々にとってキリスト教という共通の観念は、唯一且つ強力な収束先になっています。

 
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「写真は: キリスト教=パブテスト教会(プロテスタント)の侵略分布」
 
これがアメリカ人の意識において切り離せない要因となっています。
最初にこの土地に目を付けたプロテスタント達に続き、次々と、他の民族がこの新天地を目指しやってきました。
バラバラの人種が、インディアンを侵略し、自分たちの土地を拡大してきた歴史の上に、今のアメリカ人の存在があるのです。
このような侵略の歴史を識れば、彼らアメリカ人が持つ他人への警戒心(排他意識)の根深さも、納得がいきます。
 
また、彼らの多くが信仰するキリスト教が、なぜここまで拡大し強く根付いてきたのか。も、この歴史事実で説明が付きます。
それは、先住民を次々と殺戮してこれたのも、キリスト教という宗教観念に収束することにより殺戮の行為自体を正当化することが出来たからなのです。
そして何より、バラバラの人種を国家として統合しようとした場合、それを統合しきれる強力な観念が必要でした。そういった側面でも、キリスト教という宗教観念は格好の道具でした。
もうひとつ人々を観念統合する上で有効だったものがあります。
それが『映画』です。
 
「その4」の投稿では、映画がどのように人々の統合の役割を担ってきたのかを説明しています。
 
 
◆その4 〜米国が生み出した最大の文化、映画に見る意識(誇りの時代と堕落の時代)〜
 

隆盛期の米国映画は、その技術と産業を米国自身が作り出しているという自負と南北戦争という傷を克服して、米国国民というアイデンティティを形成する役割を担っていたように思います。
まさに、「映画は米国が生み出した文化だ」という意識です。
(中略)
経済全盛期の米国ですが、豊かさの中で、国民意識が分解しかねない事を、最大の文化であり娯楽でもある映画で支えようとしたと見えます。
(中略)
米国経済が衰退の局面に入り、米国の可能性が閉ざされるに従って、国民は現実逃避を強め、中身のない映画に収束していったと結論づけられそうです。
米国が一番世界に誇れる文化「映画」が、かっての力を失い、米国国民の意識統合の役割を担えなくなったのです。

戦争を含め、幾度に渡る侵略により警戒心が強くバラバラだった人種を、映画という手法で統合しようとしました。
数多くのヒット作品を作り出し、今ではアメリカを代表する産業となりました。
 
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キリスト教へ収束することに加え、彼らが安心できる拠り所として、「アメリカナンバーワンorアメリカ絶対」という観念を映画という手法で植え付けることを考えました。
しかし、現代では他国からみる米国の「世界一」のイメージは崩壊寸前まできています。
統合の為の道具として使ったこの観念も、今ではその効力が失われつつあるのです。
 
娯楽に走ることで保ってこれた安泰も、その後ろ盾が崩れたとなれば彼らには再び「他人への警戒心」が顕在化してきます。
現に、その兆候は現れており、アメリカの銃社会の拡大が具体的な現象事実として挙げられます。
 
「その3」の投稿では、銃社会について扱いました。
 
 
◆その3 〜銃社会から見えるアメリカ人の疑心暗鬼と分裂の予感〜
 
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アメリカ全体では2.4億丁の銃が存在し、1.28人に1丁、約4分の3の国民が銃を保有しているそうです。(VMAX未来予想)
2010年のクリスマスにはクリスマスプレゼントとして銃をプレゼントするという光景が多く見られたとのこと。

このような事実は、私達日本人からしてみれば、非常に驚くべきことです。
なぜ、アメリカの銃所持率はここまで増大したのか、次に説明しています。

彼は映画の中で、アメリカの銃社会の特殊性を「アメリカ建国の経緯に大きくまといつく先住民族大虐殺・黒人奴隷強制使役以来、アメリカ国民の大勢を占める白人が彼等からの復讐を未来永劫恐れ続ける一種の狂気の連鎖が銃社会容認の根源にある」と結論づけています。

幾度となく侵略・虐殺を繰り返してきた文化であるため、アメリカ人にとって他人を警戒する意識が極めて強いということを如実に表現した一文です。
この投稿ではこれらの事を、以下のように締めくくっています。

銃社会の分析を通じてアメリカ人の精神構造に焦点をあててきましたが、歴史的に見ても彼らは常に何かに強い不安を抱いており、同じ国民さえも信用できず、だからこそ自分を守ってくれる銃に強く執着しているのだということがわかりました。そして近年急速に増加している一種のテロ行為である乱射事件をみると、何かを機に対立が激化し、分裂や内戦に至る可能性も十分に考えられます。あるいは人びとはそれを潜在的に予感しているから銃を求めるのかもしれません。

 
 
軍需・金融・実態経済など、様々な産業の場面でトップを走り続けてきたアメリカも、とうとう崩壊への最終局面へと追い込まれてきています。
国が崩壊するということは、アメリカ人の誇りである「アメリカこそ世界一」という今まで彼らを繋ぎとめていた統合観念が崩れ去ることを意味します。
一体、この先アメリカはどのようになっていくのでしょうか。
 
今日は、連作『米国はどのように衰退していくのか?』のうち、「米国人の精神構造は?」シリーズのまとめを行いました。
次回は、この永きに渡る「連作のまとめ」をしたいと思います。

List    投稿者 kuwamura | 2012-11-07 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨, 07.新・世界秩序とは?No Comments » 

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