2010-07-10

シリーズ「市場は環境を守れない、社会を統合できない」5〜金銭犯罪の五つの類型〜

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今回はシリーズ5回目です。
前回は、「緑の革命」の背後に潜む欺瞞性を明らかにし、善意と情熱を傾けた発展途上国での慈善活動が、根本原因の解決に一切寄与していないと同時に、慈善事業が実は金貸しの思惑の一助になっていた事実が明らかになりました
今回は切り口を替えて、犯罪という視点から歴史的に市場拡大を捉えていこうと思います。意識潮流を幹として、市場拡大と犯罪が密接に繋がっていることが明らかになりました。
いつもありがとうございます。

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>市場時代を通じて、市場を拡大させた主動因は、私権の強制圧力による抑圧からの解脱としての快美幻想への可能性収束=快適さや便利さの希求である。逆に云えば、人々が私権の強制圧力からの解脱手段としての快適で便利な快美生活を手放せないことが、何をするにもお金がかかる社会が出来上がった原因である(そしてそれこそ、人々が精神を破壊し、環境を破壊して止まない原因でもある)。(超国家・超市場論10 何をするにもお金がかかる社会
現代人は一旦手に入れた「快適で便利な快美生活」をもはや手放すことができず、それを維持していくため、また更に「より快適でより便利な快美生活」を求めて、人間の欲望は飽くことなく増幅していく・・・・・・。ということを改めて実感しました。この欲望は「何をするにもお金がかかる社会」において、精神破壊の極限ともいえる犯罪までも産みだしています。
 
 現代における犯罪の多くは金銭犯罪です。この金銭犯罪を五つの類型に分け、人間の欲望を時代の意識として捉えた興味深い記事が「朝日百科」に載っていました。以下はその抜粋と要約です。
  * *  * * * * * * * * * *  * * * 
1.「生存のための犯罪」——-戦後の混乱期
 この時期はまだ貧困に喘ぐ人々も多く、恐喝や侵入犯にしても、直接自分や関係者が生きて行く為の犯罪だったといえる。
 例えば窃盗常習犯たちの多くは、知能も低く、厳しい生存競争に立ち向かうことができずに、窃盗を生存の手段とせざるを得ない状態にあった。
2.「相対的剥奪による金銭犯罪」——高度成長期前半
 経済成長につれて給与が増え、急速に都市生活に移行していった人々は、様々な消費の欲望を刺激される。しかし、彼らは決して生来の都会人ではなく、ムラ人的意識のままであり、都市的な新しいコミュニティーは形成できず、家庭は孤立したまま、会社や故郷のムラ社会に繋がっていた。
 だから彼らは都会にありながら周囲を伺い、「都会の人」には物質的には負けまいとするムラ人的意識を持ち続け、自分だけが相対的に剥奪されているように思い込んでなされる金銭犯罪が生じた。
3.「生き急ぎ型」——–高度成長後半
 この時期になると金銭犯罪の被害額も大型になっていく。1968年に起こった「三億円事件」やこれ以外にも多数の銀行強盗事件がこの年には多く発生している。
 1960年代の後半の賃金の年平均上昇率は13.8%であり、こういった時代背景のもと、20代後半から30代までの若い男達は、一生生きられるだけの金を一気に取得しようとして金銭犯罪を目論んだのであろう。
 彼らは人生を、生きて様々な体験をすることに意味があるとは思えずに、観念的に生き急いでしまった。また人々は「三億円事件」のような、自分とは無関係な企業の金を計画的に見事に奪うと言うことに対して、ゲームの観客として事件を楽しむという傾向が生じつつあった。
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4.「得べかりし金をめぐっての金銭犯罪」——-1970年代後半
 この時期からサラ金に追われての金銭犯罪が急増する。かつて借金は、現在の生活を維持するためのものであった。
 だから借金をめぐる犯罪は、とりもなおさず生存のための金銭犯罪であった。しかし、ローンに追われ、サラ金に追われて行う犯罪は、得られるはずの将来の金を先に使ってしまい、そのツケが回っての犯罪であった。
 現実の変化と欲望の惰性のギャップを、サラ金やローンが埋め、その返済請求に対し、彼らは犯罪で借金を返済しようとしたのである。ここに幻想と現実が混ざり合う時代が到来したのである。
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5.「カネ共同体をつくる金銭犯罪」———1980年代
 昔から成功した詐欺事件は、詐欺師と被害者が金銭のやり取りだけでなく、感情の交流をもって成立していた。
 このような比較的旧い意識の層に依拠して、犯罪者と被害者は金銭欲を軸とする擬似的な共同体をつくり、その共同体の成立そのものが、金銭犯罪の母体となっていく事件が多く生じたのである。
 昭和46年におきた「天下一家のネズミ講犯罪」、昭和60年に破局を迎えた「豊田商事事件」はまだ記憶に新しい。ここでは加害者と被害者が純金ファミリーという「カネ共同体」を作ったのであった。
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* *  * * * * * * * * * *  * * * 
 
 以上の金銭犯罪の五つの類型のいずれをとっても、高度経済成長の時代、物や金が豊かになるに連れて、人々は人生を表現するのに金を手段とするようになったこと、そしてそれにつれて金銭犯罪もまた、人々のそのような意識の変化を映し出しながら推移してきたことを物語っています。
 そして、「快適さや便利さ希求」が金銭によってすべて獲得できるということが、これらの金銭犯罪へと現代人を駆り立てているように思います。
 市場社会は人間の欲望を限りなく増幅させ、精神破壊の極地としての犯罪までをも誘発することを再認識するとともに、人間を欲望から解き放つ一日も早い共認社会の実現の必要性を痛感します。

市場あり方は常に右肩上がりが望ましいと思われ、戦後の混乱期から一貫して経済成長を目指し続けてきました。しかし、そこで主役となる人々の意識は刻々と変わり、現在は共認社会へ転換するにいたりました。人々の意識を無視して現在においても経済成長が豊かさの象徴という欺瞞観念は人々の意識を混乱させています。まさに、市場が精神崩壊を誘発していると言えます
現在、快美充足を求める層は少数に成り下がり、これからの時代の可能性は「人の役に立ちたい」という意識を筆頭にすでに芽生えています。私権原理から共認原理へ転換した、みんなの意識は「儲け一番」より「みんなの期待に応えたい」というものに変化したのです。今後は、市場を考えていく上でもお金の流れが、人にとの活力に直結しているか否か、という視点が重要になってくると思います。
次回は、私権社会では当たり前の、私有という概念を元にした記事を紹介したいと思います。「オレのもの、オレの勝手にさせてくれ」という意識は今でも残存していますが、その存在意義は薄れる一方です。今後の市場を考える上で、この考え方をどのように転換したら可能性があるのか、一緒に考えて生きましょう☆

List    投稿者 wacky | 2010-07-10 | Posted in 07.新・世界秩序とは?10 Comments » 

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コメント10件

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時間がないので要点のみ.これは阿修羅♪掲示板にめちゃホリディさんが投稿した3月29日の記事『福島原発事故、周辺の地下水や海「著しい汚染」の恐れ=科学者団体…

 もえおじ | 2011.03.31 20:39

震災の被害(特に津波)によって、多くの町が全・半壊して以前の状態に戻すことが不可能な状態にあります。 そういう地域では、ゼロから新たな町づくりが必要ですが、逆に既存の町づくりでは出来ない「理想都市建設」が可能になる利点もあります。 例えば、すでに旧インフラが存在する街では難しい、地下共同ライフライン(電気、通信、ガス、上下水道)、最適な交通網・公共施設の建設ができます。 電力供給に関して、燃料電池による分散電源方式のまちづくりも可能になります。
産業としては、原発(エネルギー産業)、農業・漁業が目立った被害が出ていることから、これらの分野において改革の余地があると考えます。 例えば、福島第一原発の周辺地は、農業地、住宅地としての使用が困難になることから、東京電力の責任で風力発電・太陽光発電地帯にすることが期待されます。 また、将来の脱石油・脱原子力のための新エネルギー技術研究機関・新産業工業団地の建設や、第一次産業での企業化林業・企業化水産業(ノルウェーのような近代的漁船方式による漁業も含まれる)、工業化農業・企業農業などの試みも有効であると思います。

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