2009-08-12

EUの起源②

皆様、いつもブログ記事をよんでいただいてありがとうございます。
今回はEUの起源1に続き、EUは誰が作ったのか、何をしようとしているのかを追求してみたいと思います。 
 
De_Gaulle-OWI.jpg
シャルル・アンドレ・ジョゼフ・ピエール=マリ・ド・ゴール 
 
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金融危機の中で重要な位置にたっているEUですが、そのEUがどうのような考え方で創設されたを調べてみました。 
 
まずEUの理念をおさらいしたいと思います。 

経済・通貨統合の実現,共通外交安全保障政策の設定、国家主権の一部移譲などを中心とする、ヨーロッパの地域統合。
EC加盟国の政治的・経済的統合を推進するもの。

 
前回のブログで紹介したロベール・シューマンやジャン・モネの超国家的統合論はスープラナショナリズムというものが元になっているといわれています。
その理論の中心人物がクーデンホーフ・カレルギーという人です。 
 
クーデンホーフ・カレルギー 

父はオーストリア・ハンガリー帝国駐日特命全権大使のハインリヒ・クーデンホーフ=カレルギー伯爵、母は東京牛込出身の日本人女性青山光子。
父ハインリヒが在日中にミツと出会い日本で結婚。
クーデンホフ夫妻の次男として東京府に生まれる(兄はハンス・光太郎)。
ウィーン大学で哲学を学び、雑誌”Paneuropa”にてジャーナリスト・編集者として働く。
母光子とは19歳のときに絶縁した。
絶縁の原因は、彼が14歳年上のドイツ人女優イーダ・ローラン(en:Ida Roland)と恋愛関係に陥り、それに激怒した光子が彼を勘当したことによる。
二度と復縁することはなかった。

EUの推進者の母親が日本人だったとは知りませんでした。
日本人の気質も反映されたのかもしれません。
 
 
汎ヨーロッパ主義(スープラナショナリズム)

1923年に「汎ヨーロッパ主義」を著しセンセーションを起こす。
翌年に汎ヨーロッパ会議を設立。
しかし、ドイツのヒトラーにとって「汎ヨーロッパ主義」は邪魔であり、1938年のオーストリア併合後彼はチェコスロバキア、ハンガリー、ユーゴ、イタリアを経てスイスへ逃避行。
さらにフランスを本拠にするも、1940年フランスがドイツの手に落ちるとスイス、ポルトガルを経てアメリカに逃げた。
第二次世界大戦後、1947年にはヨーロッパ議員同盟(EPU:European Parliamentary Union)を創設するなど、ヨーロッパ共同体の進展に尽力した。

 
 
クーデンホーフ・カレルギーとドゴール仏大統領

クーデンホーフ・カレルギーはフランスのドゴール仏大統領に接近していました。
しかし,この時期にはEU の歴史では非常に有名な「マラソン政治危機」と呼ばれる、ドゴールがハルシュタインEEC 委員長と対立してEEC の会議を9カ月間ボイコットした事件が起こっています。
この事件によってドゴールは欧州統合の敵であるという印象が欧州連邦主義者の間には強く刻み込まれた、と言います。 
 
ヨーロッパ統合の実現のための政治力を持った人物としてクーデンホーフ・カレルギーはドゴールに狙いを定めていたのに、ドゴールも天才的政治家と申しますか、そんなに簡単に食えるような人物ではなく、なかなか自分の意のままにならない。
従って60年代は、パン・ヨーロッパ運動の活動が暗礁に乗り上げた時期だったのです。

 
 
後に紹介しますドゴールとも関係があったようです。
クーデンホーフ・カレルギーとハプスブルグ家

クーデンホーフ・カレルギーは、戦後何度もノーベル平和賞にノミネートされていますが、特に戦後のクーデンホーフ・カレルギーは非常に反共的な言辞で知られていましたので、スウェーデン、ノルウェーのノーベル賞選考委員会から受け入れられるかというと疑問符が付くところがありました。
ノーベル平和賞はクーデンホーフ・カレルギー本人も取りたがっていましたから、オットー・フォン・ハプスブルクとの書簡などに関連記述があるのですが、その受賞のためにプラスになるものであれば、例えば鹿島平和賞受賞ないしは日本の広島からのメッセージという形でアピールしたかったのではないか。
実際にクーデンホーフ・カレルギーが訪日している最中に、オットー・フォン・ハプスブルクを筆頭とするヨーロッパの留守部隊が、ノーベル賞選考委員会の方に、積極的に推薦文を送る活動をしていました。

 
クーデンホーフ・カレルギーはハプスブルク家と大きな関わりがあったと考えられます。
 
汎ヨーロッパ主義以前の統合理論
初期の欧州統合論

14世紀初め、トルコ軍に対抗する為、フランスのピエール・デュボアは、欧州諸侯間での戦争を防止するために各君主や都市が国家連合型の「キリスト教共和国」の結成を提唱。
これが最初の呼びかけとなった。
15世紀になるとボヘミア王が欧州国家連合を各国に提案した。
連合の多数決決定に対して各国は主権を制限して従わなくてはならない。
これは現在のEU での特定多数決方を巡る論議と似ている。
16 世紀以降、統合論はさらに活発化。文人、宗教人、政治家らが競い合うようにして欧州統合の夢を膨らませていき自由貿易、相互協定、安全保障の形式などは現在の市場統合や、CFSP などの原点を思わせる。

ユーロの起源

ギリシャの殖民地だった南イタリアで通貨連盟を形成。
紀元前5 世紀ギリシャの諸都市が共通通貨を持ち多くの通貨同盟を形成。
→各都市発行の通貨の安定を図ることが目的。
紀元前6 世紀から5 世紀にかけて鋳貨の発行拡大→現金需要の拡大。
素材、重量の統一が中心で、各通貨の為替相場を安定させる制度にはいたらなかった。
古代ローマ帝国→単一通貨の誕生1204 年にコンスタンチノープル陥落まで続き
その後は、各国がそれぞれの自国鋳貨に走ることとなる。

欧州統合の原点

古代ローマ帝国聖地エルサレム奪還のための十字軍派遣
→初の統一行動(イスラム圏への対抗が統合の結束力を強める)

十字軍のころから国を超えた協力関係を築いていたようです。
欧州共同体 (EC)の前身、欧州経済共同体(EEC)の中心人物はフランス初代大統領のシャルル・ド・ゴールです。
シャルル・ド・ゴール
 
言わずと知れたフランスの初代大統領のシャルル・ド・ゴール。
フランスと言えば昨今のイラク戦争ではアメリカの行動に「正義なし」と、断固とした拒否の姿勢を貫いたことが記憶に新しい。
何故、あそこまでかたくなに…と感じた人も多いかと思われる。
その源流を探っていくと、このド・ゴールに行き着くと言っても過言ではない。
彼は強烈な「フランス主義」で知られる。
イギリスのチャーチルやアメリカのルーズベルトとも対等以上に渡り合い、ヒトラーとは敢然と戦うというスタンスを堅持して、政敵も多かったが国民の支持を得て戦後の初代の大統領になっている。
 
東西両陣営の間で冷戦が続く中、ド・ゴールはアメリカとソ連の超大国を中心とする両陣営とは別に、ヨーロッパ諸国による「第三の極」を作るべきだという意識を持ち、これをフランスを中心として図っていこうとしていたことを遺作となった回想録の中でも述べている。
彼自身はヨーロッパ各国が歴史や文化的背景を無視して統合することは無理だと考えていたが、各国が共同して事に当たる連合にはむしろ積極的だった。 
 
まとめ 
 
EU発足の以前から欧州統合という理念はありました。
さかのぼりますと、イスラム圏への対抗処置としての十字軍遠征から国を超えた協力関係を築く考えはあったと考えられます。 
 
さらにその背後にはハプスブルグ家などの欧州貴族の影響もあります。
現在の金融危機によりアメリカと対抗しているEUは歴史的にも国を超えた協力関係を組む思想があったと考えられます。
その先には世界政府を築くという大きな思想があるのかもしれません。
 
 

List    投稿者 warasi | 2009-08-12 | Posted in 07.新・世界秩序とは?11 Comments » 

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コメント11件

 ちひろ | 2010.02.22 21:35

>国の力や進歩を「生産」ではなく「幸福」で測ろうというこの「GNH」の考え方
すご〜い!!面白いですね☆
幸福度を指標にしようなんて考えがあるんですね。基準を定めるのはどうやるのかなって思いますが、そういった動きがあるってなんかいいですね☆

 s.tanaka | 2010.02.26 2:26

ちひろさん、コメントありがとうございます。
社会の姿やあり方を経済や生産ではない物差しで測りたいと人々が感じ始めることは、
“ポスト”物的豊かさの時代における必然的な流れだろうと思います。
ただ「幸福」という抽象概念では、なかなか形にならないだろうとも感じます。
幸福感を生むより普遍的具体的な実態は何か?が答えになるのではないかと考えています。

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