2012-02-10

2012年、新興国はどう動く?(5)〜踊る!?ブラジル〜

ブラジルに注目が集まっている。2014年のワールドカップ、2016年のオリンピックの開催も決まり、広大な土地に眠る鉱物資源に、新たに発見された海底油田とまさに熱気に包まれている。
そんなブラジルに死角はないのか?
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週刊東洋経済「踊る!ブラジル」P54からお借りしました
今回は、新興国はどう動く?シリーズの”ブラジル”第1回目です。
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●ブラジルの強さとは
ブラジルの経済成長について「週刊東洋経済 踊る!ブラジル 2011年2月12日号」が詳しく分析されており以下の4つの強みがあげられている。

1.強い製造業
2.豊富な資源
3.旺盛な国内消費
4.インフラ投資活発

↓↓↓<1〜4の図解>
画像の確認
週刊東洋経済「踊る!ブラジル」P35-36からお借りしました
1.強い製造業
航空機産業で世界第4位。ブラジル最大の輸出産業。「エンブラエル」は1994年の民営化後に中〜小型ジェット機の生産に特化。現在ではエアバス、ボーイングに次いで世界第3位も見えている。また、自動車の生産台数は年々増加している。2010年の生産台数は360万台を超え世界第10指に入る規模。また生産台数の1/4が輸出に振り向けられるなど中南米随一の輸出拠点となっている。

2.豊富な資源

鉱物・原材料資源として鉄鉱石、ボーキサイト、マンガンなどに恵まれており輸出増加で貿易収支が黒字化。また、「ペドロブラス」による沖合いでの油田探索の結果、海底油田が相次いで発見され年々、原油生産量を伸ばしている。実質的に石油自給率100%を達成しており、増産分は輸出にまわせる計算となる。
また、もともと農業国としての存在感が高かったのですが、さらに大豆や食肉、砂糖といった農産品が伸長している。「セラード」と呼ばれる酸性度の強い土壌改質による耕地面積の拡大や、穀物メジャーにより持ち込まれた生産性の高い栽培技術によるところが大きい。
3.旺盛な国内消費
「ボルサ・ファミリア」などで貧困層の所得が向上。対象者は2009年までに4800万人。実にブラジル人の4人に1人が貧困支援を受けたことになる。これにより貧困率が35%(1992年)→16%(2008年)と半減。中間所得層が浮上し、少し無理をすれば耐久消費財を買えるC層以上の「積極的な消費」ができる階層が国内消費を牽引。人生楽しんでなんぼ、という享楽主義、過去のハイパーインフレの経験からおカネをモノに換えたい衝動が強い、という見方もあるよう。内需主導、国内に大きな市場を抱えるというのはメリットも大きい。ブラジルのGDPの約6割が消費を占めるが、日本と同等であり概ね先進国と類似している(中国は約4割であり、国民所得より輸出主導)。
4.インフラ投資活発
2007年から経済成長プログラム「PAC」は2期8年間で80兆円相当を投じてインフラ整備を進める。エネルギー、住宅、交通、都市開発と固定資産投資の景気牽引力が高まっており景気の下支えの役割は十分にあるといえる。

●ブラジルの弱さとは

豊富な天然資源と圧倒的な消費力を背景にした市場拡大なのだが、強さと同時に脆弱さも見え隠れする。
<ファンドの乱立>
ブラジルレアルの政策金利は、2012年2月現在10.50%。2011年7月に12.50%まで利上げしたが世界景気の減速を考えて、9月、10月、11月と0.50%の利下げ、2012年に入っても利下げ。それでも先進国と比べるととんでもない金利だ。そのため、ブラジル関連ファンドも乱立し大量の海外資本が流入している。
金利が大きいということは利息の返済分の市場拡大を求められる。これがブラジル市場急拡大の原動力となっているとも言えるだろう。金貸しにとっては絶好の市場だが、どこかの段階で見切りをつけ資本を撤収するのではないだろうか。
<消費体質>
国民の消費体質もすごい。ブラジルには年収の低い層でも容易に消費できるようにクレジットカードが普及している。日本では考えられないが、ブラジルの「すき家」の牛丼ですらクレジット払いの対象だとのこと。何を買うにも割賦を組む。10回払い、20回払いなどなど・・・。高金利なので一括払いの倍近く払うことになるのだが、そんなことはまったく気にしないのだそうだ。
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大型冷蔵庫の価格表示。134.11という数字が目立つ。一括で1799.00レアルだが、24回の分割でいくと3218.64レアル払うことになる。月利で5.9%、2年間の金利は93.95%と2倍近く支払うことになる。
海外資本依存、消費社会、クレジットカード依存社会の行き着く先は、消費大国として行き詰っているアメリカを想起させる。
<貧富の格差>
ブラジルは貧富の格差は依然として非常に大きい。南米のコロンビアに次いで世界第2位である。貧富の格差とは富裕層上位10%の所得を貧困層下位10%の所得で割った倍率であり、全く平等であれば1になる。日本では8倍、アメリカで14倍程度であるが、ブラジルは40倍を超えている
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(資料)UNDP,Human Development Report 2009
格差があるほどアメリカンドリームのように市場拡大の原動力は増すのは歴史的事実であるが、これほどの格差は国民、国内の分断を呼びかねない。
さて、ブラジルは自ら踊っているのか?それとも踊らされているのか?
次回のブラジルの回ではこのあたりを探っていきます。お楽しみに。

List    投稿者 mago | 2012-02-10 | Posted in 07.新・世界秩序とは?No Comments » 

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