トランプ大統領の対中戦略は予想以上に慎重な対応、中国経済の悪化を懸念か?
1月20日のトランプ大統領就任から、そろそろ2か月、この間、入国禁止に関する大統領令や、TPP永久離脱の大統領令など、矢継ぎ早に公約を実行しているトランプ大統領ですが、中国に対しては意外と慎重な対応をしています。
大統領選挙の時には中国からの輸入品に45%の関税をかけると中国を厳しく非難していましたが、大統領就任後は中国に対してはトーンダウンというよりも、歩み寄る姿勢すら見られました。何故このような変化が起きたのでしょうか。
2月7日には、中国から輸入される道路舗装工事用の素材がダンピングと認定され、大幅な課税が決定しましたが、翌8日にはトランプ大統領が習近平国家主席に書簡を送り、9日には、電話会談で一つの中国支持を表明しています。2月24日にはトランプ大統領は中国を「為替操作のグランドチャンピオン」と批判していますが、持論を「後退させてはいない」と強調した、とも報道されており、言い訳のように聞こえます。
3月8日には中国の2月の対米貿易黒字が半減し、トータルでは貿易赤字に陥ったとの報道があり、翌9日には中国はトランプ大統領が申請した38の商標を承認しています。中国が追い詰められつつあるのかも知れません。
トランプ大統領が、中国への姿勢を軟化させた理由として、中国ロビーの懐柔に屈服したという見方もあるようですが、いい格好しいのトランプさんが、お金に転ぶとも思えません。中国を徹底的に叩くつもりだったのが、大統領に就任して中国の実情を知ることができ、予想以上に中国経済の状況が危機的で、破局が怖くて叩けなくなったとは考えられないでしょうか。
■トランプ大統領の対中強硬姿勢に〝報復カード〟切る中国 米進出の中国企業に黄信号2017年01月31日
トランプ米大統領の対中国強硬姿勢をめぐり、中国側は“報復カード”を相次いで切っている。昨年12月23日、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)の中国の販売統括会社に対し、独占禁止法に違反したとして罰金2億100万元(約34億円)を科した。習主席は2015年9月に訪米した際、米ボーイングから737型機など計300機(当時の為替レートで約4兆6000億円)を購入すると発表しており、この約束をほごにすることも可能だ。
■米国が中国製素材への制裁課税を確定 トランプ政権下で初2017年02月08日
米国際貿易委員会(ITC)は7日、中国から輸入される道路舗装工事用の素材が不当に米国内で安く販売され、米国企業に被害を与えていると認定した。この結果、商務省が決めた372・81%の反ダンピング(不当廉売)税率と、最大152・5%の相殺関税率の適用が確定した。
トランプ大統領は8日、中国の習近平国家主席に書簡を送った。両国に利益となる関係発展に「協力することを楽しみにしている」と記載。書簡をきっかけにトランプ政権の中国対応に変化がみられるか注目が集まる。
■トランプ米大統領「一つの中国」支持 習主席に電話で 2017年02月10日
米ホワイトハウスは9日、ドナルド・トランプ大統領が習近平・中国国家主席と電話会談し、中国本土と台湾は不可分だとする「一つの中国」の原則を尊重すると伝えたと発表した。
■トランプ大統領が中国批判、「為替操作のグランドチャンピオン」2017年 02月 24日
トランプ米大統領は23日、ロイターとの独占インタビューに応じ、中国は為替操作の「グランドチャンピオン」と表明した。中国が人民元相場を操作しているという持論を「後退させてはいない」と強調した。ただ大統領就任初日に中国を為替操作国に認定するという約束は果たさなかった。
■中国、対米黒字が半減=全体は貿易赤字に-2月2017年 03月08日
中国税関総署が8日発表した2月の貿易統計によると、対米黒字は104億ドル(約1兆2000億円)と、前月に比べ半減した。全体では輸入が前年同月比4割増と大きく伸び、2014年2月以来3年ぶりに赤字に転じた。対米黒字は1月が214億ドルとなっていた。16年2月の145億ドルと比べても縮小した。
■中国、38のトランプ商標承認=米大統領への便宜か2017年 03月09日
中国政府はトランプ大統領と家族が申請した「トランプ」ブランドなど38件の商標を事前承認した。中国が大量の商標をまとめて承認するのは極めて異例とされる。米国では、公職者が外国政府から便宜を得ることを禁じた憲法に抵触するとの批判も出ている。
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