2019-08-29

反グローバリズムの潮流(イギリスの国会を閉会。EU離脱は、秒読み体制?)

_108522834_6f60ff4c-e378-452f-a58f-42df37383a0a前回の反グローバリズムの潮流では、イギリス首相選挙でボリス氏が勝利し、安定よりわくわくする未来を選択したと思われることをお伝えしましたが、ボリス首相は、その期待を受けてEU離脱に向けて突き進んでいます。そして、EU離脱を確実なものにするために、議会を閉会するところまで実行に移しました。一体、何が起こっているのでしょうか。

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ボリス・ジョンソン首相もEUも、どちらも合意した上での離脱を実現したいとは考えていると思われます。しかし、ボリス・ジョンソン首相はバックストップ条項を何としても廃止させようとしており、EUはそれを絶対に認めないという姿勢で臨んでいます。

そこで、ボリス・ジョンソン首相はEUの譲歩を引き出すために、合意なき離脱の準備を開始し、EUに強烈な圧力をかけ始めました。それを受けて、EU派が取った対応が、イギリス国内でのボリス・ジョンソン首相にたいする不信任決議案の準備でした。不信任案が可決された場合、コービン氏は暫定首相となってEU離脱を延期し、解散総選挙を行うとともに、ブレグジットをめぐる2度目の国民投票を求めていく方針でした。

これを阻止するために、ボリス・ジョンソン首相が打った手が、議会の閉会でした。10月31日の離脱期限に対して、議会が再開するのは10月14日。10月17,18日にはEU首脳会議も予定されており、審議の期間は殆ど無い状態です。イギリス政府の離脱協定案に合意するか、合意なき離脱にするか、どちらかしかできない状況を創りだしたのです。

ボリス・ジョンソン首相は、このような状況を作り出すことで、EUがバックストップ条項の見直しに応じざるを得なくなると、期待していると思われます。どちらがこの駆け引きに勝つかですが、EUの存在意義が揺らいでいる今、合意なき離脱によるイギリス経済への影響は限定的である可能性が高く、最終的にはEUが譲歩する事になると予想します。

 

■「合意なき離脱」ならイギリスは食料不足に見舞われる2019年8月9日

ブレグジット(イギリスのEU離脱)に関して、もしボリス・ジョンソン首相が性急に「合意なき離脱」を強行すれば、数週間~数カ月にわたる食料不足に追い込まれると、英食品業界が警告した。EUとの間で離脱協定を結ぶことなく離脱すれば、大型トラックに積み込まれた傷みやすい農産物などの生鮮食品が、通関手続きのため港に留置されている間に腐ってしまい、食料が足りなくなるとしている。

離脱賛成派は、合意なき離脱による混乱は短期的なもので、これを誇張して伝えることは適切ではないと主張する。このような短期的混乱は、イギリスがEU離脱後にさらに成長するために必要な痛みだというのが、賛成派の見方だ。EUの経済圏にとどまり続けてきたことで、イギリスは中国やアメリカに後れを取ってきたと、離脱賛成派は指摘する。

ボリス・ジョンソン首相は、合意なき離脱の確率は「ほぼゼロに等しい」と述べている。だが、このところ報道される同政権の基本姿勢を見る限り、合意なき離脱は避けられない情勢だ。ジョンソンはこれまでEU側代表者との会談を拒否し、離脱協定のアイルランド国境をめぐる「バックストップ条項」も排除すると主張している。貿易協定に合意するまでの間はアイルランド共和国と英領北アイルランドの国境では厳格な国境管理を行わないとする条項。しかしEU側は、ジョンソンの要求を頑として受け入れていない。

■英首相 「合意なし離脱へ準備は順調」  自由な移動は制限へ2019年8月20日

ボリス・ジョンソン英首相は19日、合意なしの離脱準備を着々と進めていると述べた。ジョンソン政権はまた、合意なしブレグジットとなった場合、同国におけるEU市民の移動の自由をただちに終了すると発表した。EUと新たな協定を結ぶ「自信」があると述べた一方、必要であれば合意なしブレグジットも辞さないと強調した。

アイルランド国境をめぐるトゥスク議長に宛てた手紙でジョンソン首相は、バックストップ条項を排除した上で、なおアイルランド国境には検問を置かないと説明している。その上で、「アイルランド島固有の状況に対し、柔軟でクリエーティブな解決策」を提案すると述べた。バックストップ条項に反対する意向をあらためて示した。

一方、EU市民が域内を自由に移動し、就学や就労を認められている現状について、「移動の自由はイギリスのEU離脱をもって10月31日に終了する」と発表した。また、合意なしブレグジットとなった場合でも、段階的な措置を取るとしていたが、ジョンソン政権はそれを否定した格好だ。

最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、次の議会でジョンソン政権に対する内閣不信任案を提出する予定で、野党議員の支援を募っている。不信任案が可決された場合、コービン氏は暫定首相となってEU離脱を延期し、解散総選挙を行うとともに、ブレグジットをめぐる2度目の国民投票を求めていく方針だ。

 ■メルケル氏、ブレグジット国境問題の代替案「30日以内に可能」 英首相に2019年8月22日

メルケル首相は、EU離脱の焦点となっているアイルランドと北アイルランドの国境をめぐる「バックストップ条項」について、30日以内に代替案を策定できるだろうとの見方を示した。一方でメルケル氏は、実現可能な計画を提案するのはイギリス次第だと釘を刺した。

議論の焦点となったバックストップとは、イギリスとEUとの間で通商協定がまとまらない場合に、北アイルランドとアイルランドの国境に厳格な検問所等を設置しないための措置。バックストップでは、北アイルランドはブレグジット後もEU単一市場の一部ルールに従うことになる。そのため、ブレグジット後もイギリスがなおEU法に縛られる懸念が生じている。

こうした中、イギリスの最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首は今週のガーナ訪問を取りやめ、合意なしブレグジットを回避するための協議に応じるよう下院議員らに呼びかけている。コービン氏は、次の議会でジョンソン政権に対する内閣不信任案を提出する予定。不信任案が可決された場合、コービン氏は暫定首相となってEU離脱を延期し、解散総選挙を行うとともに、ブレグジットをめぐる2度目の国民投票を求めていく方針だ。

■英仏首脳が初会談 EU離脱の再交渉めぐりかけひき2019年8月23日

ジョンソン首相がEU側と再交渉を求める離脱協定案について、マクロン大統領は「有益な1カ月を持とう」と述べて代替案の提案を待ち、イギリスの出方をうかがう構えを見せました。また、ジョンソン首相が撤廃を求めるアイルランドの国境管理に関する条項については「不可欠だ」として釘を刺しました。マクロン大統領は「運命を決めるのはイギリス自身で、我々は合意なき離脱も含めて準備ができている」と牽制しました。

 ■EU離脱協定は「きわどい状況」 ジョンソン英首相、G7でも国境問題を強調2019年8月26日

ボリス・ジョンソン英首相は25日、イギリスの欧州連合(EU)離脱について、新たな協定を締結できるか「きわどい状況」にあると話した。ジョンソン氏は「ここ数日で、EUやその他の欧州諸国の間に、何がイギリスにとって問題になっているかという気づきが生まれているように思う」と述べた。また、自分は「楽観主義者」で、EUが「合意にこぎ付ける機会」があると分かってくれるはずだと話した。

■英国、合意なきEU離脱なら390億ポンドの支払い義務ない=首相2019年8月26日

ジョンソン英首相は25日、英国が条件で合意しないまま欧州連合(EU)から離脱した場合、メイ前首相が合意した390億ポンド(478億8000万ドル)の離脱清算金を支払う法的義務はなくなるとの見解を示した。

マクロン仏大統領に近い筋は6月、離脱清算金を支払わなければソブリンデフォルト(債務不履行)に当たるとの見方を示していた。また仏大統領府関係者は21日、合意のないまま離脱しても英国の支払い義務はなくならないと述べた。

■ジョンソン英首相、EU離脱前に議会を閉会 各地で抗議デモ2019年8月29日

イギリスのボリス・ジョンソン首相は28日、9月第2週から5週間にわたって議会を閉会すると発表した。英議会は現在夏休み中で、9月3日に再開される。イギリスは10月31日に欧州連合(EU)離脱を予定しており、9月と10月は離脱をめぐる重要な審議の期間と目されていた。

これにより、議会は9月9~12日のいずれかの日に閉会となり、10月14日に再開される。議員は閉会を阻止することはできないという。10月17日には、ブレグジットをめぐる最後のEU首脳会議が予定されている。

ジョンソン首相は議員への書簡で、議会再開の際には「ブレグジットに関する重要な法的プログラム」を用意するとし、政府がEUと「新たな協定を結ぶ機会を」得るため、議会には「一致と決心」をしてほしいと伝えた。

■「ジョンソン首相は独裁者」 英議会停止の方針に与野党波紋2019年8月29日

グリーブ氏はジョンソン氏が率いる保守党に所属しながらも、合意なき離脱には反対している。グリーブ氏は夏季休会中の議会が再開する9月3日以降に、最大野党・労働党などと協力して10月末の離脱期限の延期をEUに申請するようジョンソン氏に義務づける法案を提出することを検討していた。だが、停会によって法案を審議する時間の大半が失われると指摘する。

ジョンソン氏は停会したとしても、議会で離脱について議論する時間的余裕は「たっぷりとある」と主張する。だが、停会が終了する直後の10月17~18日にEU首脳会議も控えており、現実的に10月末まで時間はほとんど残されていない。

女王は今回、王室が首相の助言に従う英国の慣習により、ジョンソン氏の停会の要求を認めたとみられている。労働党のコービン党首は、認可した女王に抗議するために、女王との面会を求めているという。

EU残留を訴える自由民主党などが、停会は議会制民主主義を基礎とする憲法に違反しているとして、英北部スコットランド行政府の裁判所に訴訟を起こした。違憲と認められれば、停会の撤回につながる可能性もあるが、判決が9月に間に合うかどうかは不透明とみられている。

■「議会の無力化」で暴走するジョンソン英首相の勝算2019年8月29日

今のところ、議会で審議する時間が足りないため、合意なき離脱の可能性が高まったという見方が大勢を占める。だが、あまりにも唐突な発表に、首をかしげる人もいる。ある識者は「EUとの間で極秘で何らかの合意があったのではないか」と指摘する。離脱日の2カ月前のこのタイミングで、政府案を議会の俎上(そじょう)に載せれば、様々な思惑が乱れ飛び、議会が否決する可能性が高い。開会後に審議の時間を十分に与えず、政府案の是非を問い、一気に合意に持ち込むというシナリオがあるのかもしれない。

List    投稿者 dairinin | 2019-08-29 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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