プーチン大統領はトランプ大統領を積極的に支援し始めたが関係改善は遠のく一方
5月26日の記事で、トランプ大統領がロシアンゲート事件で追い詰められ、プーチン大統領はアメリカに期待せず、独自外交で制裁問題などを解決する方向に舵を切ったのではないかと考えましたが、その後のプーチン大統領の発言を見ると、アメリカのマスコミのインタビューにも応えるなど、積極的にトランプ大統領を支援する動きを強めています。にもかかわらず、アメリカ国内ではロシアとの関係改善の気運が盛り上がる気配が全くありません、なぜこんなことになっているのでしょうか。
5月30日に開かれた、ロシアのプーチン大統領とフランスのマクロン大統領との会談で、マクロン大統領は意見の異なるところを率直に意見交換したと言っていますが、フランスは妥協するつもりは無いという姿勢を鮮明にしたようです。いわゆる是々非々という態度で、テロとの戦いなど協力できることは協力するが、ウクライナ問題で手加減は一切しないようです。
これを受けて、プーチン大統領はアメリカとの関係改善に期待し、ロシアンゲート事件の疑惑を払拭するために、積極的にトランプ大統領を擁護する発言を始めたようです。
・6/1トランプ氏を「真っすぐで率直な人物」だと評価。
・6/2愛国心のロシア人ハッカーがやった可能性は否定できないが、国は無関係
・6/3トランプ大統領のパリ協定離脱は話し合い可能で、心配する必要は無い。
・6/4米経済界にトランプ大統領の支援を要請
・6/5NBCのインタビューに応え、数々の疑惑を否定
・6/6改めてインタビューで疑惑を否定
ほぼ、毎日のように、ロシアンゲート事件の疑惑を否定し、トランプ大統領を支援する発言を続けています。これは、フランスのマクロン大統領との会談で、アメリカ抜きでEUと話し合って関係を改善するのは、容易ではないという感触をつかんだからだと思われます。
一方で、プーチン大統領はアメリカが韓国にミサイルを配備した事は、真っ向から批判しており、北朝鮮に対するアメリカの軍事的圧力も含めて、米軍の動きには神経をとがらせています。
ヨーロッパの金貸し勢力は、相変わらずグローバリズムを追求し、EUの存続を確かなものにするためにも、プーチン大統領が支援する極右派勢力と全面対決の姿勢を示し、一定の勝利も得てきています。さらにEUは経済拡大のために東欧諸国からイスラム諸国まで出来るだけ勢力圏を広げようとしており、EUは今後もロシアとの対立が強まることはあっても、関係が改善することは無さそうです。
プーチン大統領は、アメリカに擦り寄る姿勢を示していますが、残念ながらアメリカはトランプ大統領以外、ロシアとの関係改善に消極的なようです。グローバリズム勢力が反グローバリズムの代表であるプーチン大統領に対して否定的であるのに加えて、反グローバリズム勢力と思われる軍産複合体も、その存立基盤の一つが北朝鮮、中国、ロシアと言った社会主義国との対立であり、反ロシアという点はアメリカのグローバリズム派も反グローバリズム派も一致していると思われます。
ロシアンゲート事件に加えて、今度はロシアがアメリカの石油関連企業に買収を仕掛けていて、トランプ大統領が多額の献金を受けているという問題が報道されていますが、今後も、あの手この手を使って、トランプ大統領とプーチン大統領の接近を妨げる手が打たれることでしょう。
首脳会談後の共同記者会見で、マクロン氏はテロとの戦いのため、シリアでもロシアと協力していきたいと述べた。プーチン氏は、フランスとの経済関係を強化していきたいと話した。
ウクライナについては両大統領は、合同作業部会の再開およびドイツでの協議再開に合意した。
マクロン氏は記者会見でプーチン氏を横に、ロシア政府寄りの「ロシア・トゥデイ」や「スプートニック」といった報道機関が、自分の選挙戦に対する「プロパガンダ」を駆使していたと批判した。
ロシアのプーチン大統領は1日、最新鋭ミサイル配備など北方領土の軍備増強について、北朝鮮情勢を理由にミサイル防衛(MD)システムの配備を進める米国への対抗措置だと主張した。
■プーチン大統領:トランプ氏のような人物は好き、関係改善実現したい6/1
プーチン氏はサンクトペテルブルクで開かれた経済フォーラムで外国人記者団に対し、トランプ氏を「真っすぐで率直な人物」だと評価。「トランプ氏を普通の政治家と同じカテゴリーに入れることはできない。個人的にはそれは利点だと思う。新鮮な発想の持ち主だ」と続けた。
■米大統領選介入、「愛国ハッカー」の仕業? プーチン氏6/2
ロシアのプーチン大統領は1日、サンクトペテルブルク経済フォーラムの席上、「愛国的ハッカー」が昨年の米大統領選に介入した可能性があると示唆した。「もし愛国心があれば、(芸術家もハッカーも)ロシアを悪く言う人々と戦うため、自分に合った方法で(国に)力を貸すだろう」とプーチン大統領は述べた。一方でプーチン大統領は、ロシア政府はサイバー攻撃とは無関係との立場を変えなかった。
プーチン大統領は2日、ロシアのサンクトペテルブルクで開かれている経済フォーラムで、トランプ氏の「パリ協定」離脱表明について、「トランプ大統領は拒否したわけではない。見直しや、別の新しい合意を考えている」と述べ、気候変動問題で、依然、国際的に合意する可能性があるとの見方を示した。
ロシアのプーチン大統領が経済を通じ、米国に接近する姿勢を鮮明にしている。サンクトペテルブルクで開催された経済フォーラムでは、トランプ米大統領の「最大の失敗」と批判される温暖化防止の枠組み「パリ協定」離脱表明を擁護し、米ビジネス界にはトランプ氏の“支援”を要請した。ロシア経済の深刻な低迷も背景にあるとみられる。
■プーチン大統領、秘密回線の提案「知らない」 米メディアで否定6/5
4日放映の米NBCとのインタビューで、トランプ米大統領の娘婿クシュナー大統領上級顧問が秘密通信回線の設置をロシアに提案していたとの報道について、「その提案は知らない。そのような提案は報告されていない」と否定した。
プーチン氏はまた、米大統領選でトランプ氏を勝利させるためロシア政府がハッキングなどを用いて干渉したとの米情報機関の分析を改めて全面否定。
辞任したフリン前大統領補佐官についても、2015年にモスクワ(Moscow)で開かれた夕食会で隣同士だったにもかかわらず「短いあいさつをしただけの間柄」だと主張した。
サンクトペテルブルクで先週行われた経済フォーラムで、プーチン氏は米国や北大西洋条約機構(NATO)がロシアを軍事的に包囲する動きを続けていると主張。米国批判の中で、北朝鮮の核武装に理解を示唆する発言をしたり、北方領土での軍備増強を正当化したりするなど不満もあらわにした。
■米情報機関の極秘文書流出、ロシアが票集計操作狙ったか6/6
アメリカの新興メディアの「インターセプト」が5日、NSA=国家安全保障局が先月作成した極秘扱い文書をネットに掲載したものです。
これによりますと、ロシア連邦軍の情報機関GRUが去年8月、投票の集計ソフトを制作する企業にサイバー攻撃を仕掛け、企業側の情報を取得。その情報で正体を偽装したGRUは、選挙直前の去年10月末、ソフトを使用する予定の投票所の担当者とみられる100人以上の人物にシステムに侵入できるメールを送り、集計の不正操作を試みたということです。
プーチン大統領はアメリカNBCテレビのインタビューに応じ「アメリカの大統領や政権与党が代わっても基本的な政治路線は変わらないし、どうなるかはおおよそ見当がつくから、誰が大統領になろうと我々にとっては同じだ」と語り、「ロシアが選挙に干渉する必要はない」と強調しました。
逮捕されたのは連邦政府の契約社員の25歳の女で、先月9日、機密文書を入手し、アメリカのオンラインメディアに渡したという。文書は、国家安全保障局のもので、去年の大統領選挙の前、ロシアの情報機関が投票システムを提供しているアメリカの企業にサイバー攻撃をし、情報を入手したとしている。
■<FBI前長官>「トランプ氏が露疑惑捜査中止要請」声明6/8
コミー氏は、トランプ大統領からフリン前大統領補佐官に対する捜査の中止を要請されたと明言した。また、トランプ氏は合計9回コミー氏と一対一で会話し繰り返し「忠誠」を求めるなどしたという。現職大統領がFBI長官に捜査阻止の目的で圧力をかけていたとすれば司法妨害に当たる恐れがある。野党民主党を中心に弾劾論が強まるなど政権に打撃となる可能性もある。
ロシア国営石油会社のロスネフチが、ベネズエラ国営石油会社PDVSAの米国子会社シットゴー・ペトロリアムの経営権を事実上掌握したとの情報が波紋を呼んでいる。シットゴーは全米30州で展開する米国の石油会社である。ロスネフチは株式取得を通じて米国エネルギー市場への参入を目論んでいるとされる。
米議会は早くも「エネルギー安全保障上の脅威である」と反発し、超党派の国会議員が米金融当局に実態調査を要請。一方、トランプ米大統領がシットゴーから多額の寄付を受けていた事実が判明した。
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