反グローバリズムの潮流(イギリスのEU離脱、期限延長の長期化はEUの作戦では)
イギリスのEU離脱ですが、イギリス国内の合意形成ができず、結果としてEUが決定権を握ることになりそうです。EUはイギリスの離脱を可能な限り延期して、イギリスの国民投票をやり直しEU残留に転換させることを狙っているのかも知れません。
イギリスが正常にEUを離脱するには、協定案のイギリス国会承認が必要ですが、既に2度否決され、内容の変更がない限り3度目の議案は議決に進めないことになりました。
EUはイギリスが合意できるような案=EUの影響力をなくす案、を認めるつもりは無いようですから、イギリスの国会で合意されることは困難です。イギリスとEUで一致しているのは、合意なき離脱による混乱は避けることで、離脱の延期は長期化することが、ほぼ確実な状況です。
EU推進派は、合意なき離脱の危機感をあおれば、イギリス国会もEUの影響力が残る離脱協定案に合意すると踏んでいたようですが、イギリスの抵抗は強硬で作戦の見直しを迫られています。
EU推進派は、離脱の延期を長期化してイギリスに対する締め付けを厳しくし、イギリス国内の不安、不満をあおる作戦に転換したようです。既に日産がイギリス撤退を決定しましたが、日産はフランスに経営権を握られており、EU推進派の作戦の一つだと思われます。最終的にはイギリス世論を動かし、EU離脱の国民投票をやり直しさせ、EU残留に転換させることも狙っているのではないでしょうか。
■英EU離脱6月末に延期可決 前提となる離脱案 来週採決へ2019年3月15日
可決されたEU離脱延期の動議は、20日までに離脱案が議会で承認された場合、29日に予定されていた離脱を6月30日まで一度だけ延期するもの。離脱延期はEUすべての加盟国の承認が必要で、来週開かれるEU首脳会議で、その対応が協議される。動議には、離脱案が承認されなければ、離脱は長期間延期されるとも明記されていて、「合意なき離脱」に陥る可能性は、依然残されたまま。
■「ブレグジット」はなぜこれほど迷走するのか2019年3月16日
今後はどんな展開が予想されるのか。20日までに行う離脱協定案の再採決を経て、イギリスは離脱延期について21日から始まるEU首脳会議で協議を行う見込みだ。イギリス議会が協定案を再び否決した場合、メイ政権としてはより長期の期限延期をEUに申請すると見られる。ただ、EU側は期限延期の明確な目的を求めており、メイ政権がそれをどう説明するかが問題だ。
最悪の場合、29日までに期限延期が決まらず、「合意なき離脱」に陥る可能性もなお残っている。合意なき離脱となれば、2020年末までイギリスがEUの単一市場、関税同盟に残ったまま新たな通商関係を模索する「移行期間」もなく、ただちにEUから離脱することになる。そうすると、これまでなかった税関手続きなどがいきなり発生し、EUからの輸入の遅れによる商品の品切れや、関税復活による物価の高騰など、生活や経済に多大な影響が出る可能性が高い。
■強硬派「合意なき離脱」訴える 混乱続く英でキャンペーン2019年3月18日
EU(ヨーロッパ連合)からの離脱をめぐり混乱が続くイギリスで、離脱強硬派が、「合意なき離脱」を訴えるキャンペーンを始めた。キャンペーンを主導するのは、イギリス独立党のファラージ前党首で、EU離脱をめぐる2016年の国民投票では離脱派の中心的存在だった。キャンペーン参加者は、「(「合意なき離脱」でもいいのか?)もちろん。自分たちで生き延びていく。自由と主権はお金に代えられない。ファラージ氏を愛している! わたしのヒーローよ」と話した。
■ブレグジット協定「同じ」なら3度目の採決は不可 英下院議長が異例決定2019年3月19日
イギリスのジョン・バーコウ下院議長は18日、テリーザ・メイ首相が推進する欧州連合(EU)離脱協定に変更点がない限り、これを3度目の採決にかけることを認められないと発表した。バーコウ議長は今回、1604年に制定された、一度否決された動議は同じ会期内に再度採決にかけることはできないという慣習を引用。議員が12日に否決した協定と「実質的に同じ」ものを、3度目の「意味ある投票」にかけることはできないとした。
■EU離脱 6月末まで延期要請 メイ首相 書簡を送付2019年3月21日
メイ首相は20日、EUに対して、6月30日まで離脱日を延期するよう要請したと明かし、EUのトゥスク大統領に送った書簡を公表した。延期にはEUの承認が必要で、トゥスク大統領は、短期的な延長は可能としながらも、イギリス議会で離脱合意案を成立させることが条件としている。
■EU首脳会議、イギリスの離脱延期を協議へ2019年3月21日
イギリスの離脱延期は21日からのEU首脳会議で協議されますが、認められるためにはイギリス以外の27の加盟国すべての賛成が必要です。フランスのルドリアン外相は、「メイ首相が会議で自らの戦略をきちんと保証できない限り、離脱の延期は認められないだろう」とけん制しました。
「議員たちは離脱の方法で合意できておらず、離脱協定を結んで3月29日に離脱することは、できなくなりました」(メイ首相)メイ首相は20日夜、テレビを通じて演説し、離脱延期を説明するとともに、離脱協定を承認しない議員たちを批判しました。
■EUがブレグジット延期を承認、英下院の判断が鍵 3月29日離脱は延期確実に2019年3月22日
欧州連合(EU)加盟国の首脳は21日、イギリスのEU離脱(ブレグジット)について、EU基本条約(リスボン条約)第50条に定められている離脱交渉期間を3月29日以降に延長することで合意した。これによって3月29日の離脱は延期確実の見通しになった。
イギリスの下院が来週中に、EUとテリーザ・メイ英首相がまとめた離脱協定を承認すれば、新たな離脱日は5月22日となる見込み。一方、協定が来週中に承認されなかった場合の離脱日は4月12日となる。イギリスはこの日までに引き続き協定可決に向けて動くか、「次の展開を示す」必要がある。
■英国でEU離脱の撤回求める署名殺到、議会への嘆願書に100万人超2019年3月22日
英国民の間で欧州連合(EU)離脱撤回を求める声が広がり、オンラインの嘆願書に100万を超える署名が集まった。特にメイ首相の20日の演説を受けて、離脱反対への支持が急速に高まっている。
議会が用意した嘆願書のウェブサイトには署名が殺到し、サイトは繰り返しダウンしている。ミュージシャンのアニー・レノックスや俳優のヒュー・グラント、コメディアンのデービッド・ミッチェルらが離脱撤回への支持を表明した。英下院で嘆願書を担当する委員会はツイッターで、「毎分2000近い署名が集まっている」とし、過去に例を見ないほどの速いペースだと説明した。
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